ビジネスを始めると作成が必須になる請求書。フォーマットは無数にあり、作成方法も紙、Excel等データ作成、請求システムによる作成等に分かれますが、どの方法を採用しても、請求書にまつわるビジネスマナーを守っている必要があります。
本記事では請求書作成時に良く用いられる印鑑について、詳細を説明します。
- 請求書に印鑑を押すことは、取引上の信頼性と唯一性を担保することが重要な場合に、求められることがある!
- 法人には、丸印、銀行印、角印の3種類の印鑑が利用され、用途によって使い分けることが重要!
- 個人には、個人用と事業用に印鑑を使い分けることが重要
目次
請求書に印鑑を押すことが義務なのか
請求書にまつわる法律
請求書は取引の都度発行されており、法律に基づいてビジネスが行われていると思われがちですが、実際は特に法律上の規定はありません。
口頭でも双方が了承すれば取引は成立し、請求書の発行をする必要はないのですが、重要な金銭の取引であることから、相手先、金額、納付日、納付先等の情報を残さないと円滑な取引が実現しません。
当該事情もあり、請求書という形で取引上の金銭の取り決めを残した書面を取り交わすことが慣例となっています。
電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法とは、各税法で原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について一定の要件を満たした上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた法律
この法律が施行されるまでは、国税に関する書面はすべて紙の状態で保存しておく必要がありましたが、施行後はDVDやCD、COM(電子計算機出力マイクロフィルム)、スキャンによる保存が可能になりました。
7年間という保存期間は変わりませんが、書面をすべて印刷する必要がなくなったことで、法人や青色申告者の帳簿に費やす手間は大きく低減しています。
また、PDF化した請求書をメールに添付して送信したりWeb上でデータ化して送信したりできるため、印刷代とともに送付に掛かるコストの削減が可能になっています。
請求書に印鑑が必要な場面とは?
上述の通り請求書の発行は必須ではないため、請求書の印鑑も必須ではありません。
しかし、印鑑を付すことが取引上の信頼性と唯一性を担保することが重要な場合に、求められることがあります。
具体的には、印鑑がない場合には、電子データで簡単に複製をすることができてしまい、その請求書を作成したが本人なのか、別の人間なのか、そもそも偽造されたものなのかを判別することができません。
特に上場企業等の内部統制が厳しい企業ほど、請求書の偽造等による不正の発生を防ぐために、正しい請求書に基づく正しい経理・入金/支払処理が求められます。
こうした事情から、請求書については印鑑を求めるケースも実務上は発生します。
請求書に押印する印鑑の種類
法人の場合
法人では主に、丸印、銀行印、角印の3種類が利用されます。
丸印は、代表者印とも呼ばれ、経営者が会社を代表して対外的に使う印鑑となります。
丸印は、契約書、登記申請書、官公庁に対する届出書、委任状等に利用されます。
銀行印は、その名の通り、法人の銀行口座を開設する際に金融機関に届け出る印鑑となります。
小切手や(今は使用される場面は減りましたが)手形等の金銭のやり取りを行う際に利用されます。
角印は、四角形の印鑑です。
主な用途は社内利用となり、規程等の社内文書から、領収書や請求書、郵便物の受け取りなど幅広い用途があります。
いわゆる認印となり、印面には会社名を彫刻します。
- 丸印・・・
経営者が会社を代表して対外的に使う印鑑。
契約書、登記申請書などに利用される。 - 銀行印・・・
法人の銀行口座を開設する際に金融機関に届け出る印鑑 - 角印・・・
主に社内で利用される印鑑。
社内文書から、社内の領収書や請求書受領の際などに利用される
個人の場合
個人の印鑑は大きく個人用と事業用に分かれます。
個人用としては、市役所などに登録する「実印」が主なものとなります。
個人証明のために用いるため、多くの用途で利用されます。
事業用としては、丸印と角印の2種類となります。
用途の差は法人の場合と大きく変わらず、丸印については代表者としての契約書等への押印、角印については、請求書等の書面への押印の場面で使われることが多いです。
◎個人が利用する印鑑は「個人用」と「事業用」に分かれる
- 個人用としては、市役所などに登録する「実印」が利用される
- 事業用としては、丸印と角印の2種類が利用される
また、個人事業主(フリーランス)の方におすすめな請求書の豆知識を以下の記事にまとめていますので、併せてご確認ください。
請求書への印鑑の押し方
社名の右側に重ねて押印する
請求書の印鑑は、通常社名の右側に重ねて押印します。
押印する箇所に特に決まりはありませんので、間違えてしまったとしても書類の効力がなくなりません。
印影が残るように綺麗に押印する
押印する際は、印影が綺麗に残るように押印しましょう。
印影の複製や請求書の偽造を防止するために、文字の上にかぶせるようにして押すと効果的です。
印影がはっきりしていない状態であれば、請求書の再発行も検討しましょう。
訂正印は使用しない
請求書に訂正印を使用することはおススメできません。
金銭のやり取りに関する重要な書類であるため、ミスをした場合には作り直すことが無難であり、実務上も訂正印のある請求書を見ることは通常ありません。
請求書に印鑑を綺麗に押すコツ
朱肉は適量をつけ、別紙に試し押しをしてみる
朱肉は少なすぎるとかすれてしまいます。
強く押し付けすぎても、朱肉内部の油分が角に付着してしまい、印影がにじんでしまう、発送の手続きの際に油分が他の場所に付着してしまい、紙面を汚してしまう可能性もありますので、適量を見極めて押すことが必要です。
印鑑に両手を添えて、丸を描くイメージで押す
印面が満遍なく紙面に移るように、紙に対して垂直になるように押して、丸を描くイメージで押すと上手に押すことができます。
印影の余分な朱肉は、ティッシュで軽く押さえる
朱肉は渇きにくさから、紙を汚してしまう可能性があります。
印影の余分な朱肉をティッシュで軽く押さえることで、色移りを防止できます。
取引先に提出した請求書の管理方法
紙のまま保管、電子データにして保管、どちらでも法的に問題ない
請求書の保管形態について、現状は法的な縛りはありません。
例えば企業の出社形態が出社中心/リモートワーク中心によって、どちらの請求書の閲覧方法が適切かが変わります。請求書を扱う方の執務がしやすい保管方法にすることがおススメです。
電子帳簿保存法は改正される予定である
ただし最近では、電子帳簿保存法の改正により、2024年1月から、電子データで受け取った請求書については電子データのまま保管しなければいけない義務が発生します。
これはペーパーレス化を目指す国による施策の一環であり、対応しない場合は重加算税等のペナルティが発生する可能性もありますので注意が必要です。
一方で、紙で受領した請求書は従来は紙保存が通例でしたが、同法令の改正により電子保存の要件が大幅に緩和されました。
請求書の保管場所が紙と電子で分かれていると、何がどこにあるのかの管理が難しくなってしまいますので、電子データ保存に統一することを検討しても良いかもしれません。
法改正に関して、より詳細な情報は以下にまとめてありますので、以下の記事からチェックしてみてください。
電子請求書の保管はセキュリティに注意
セキュリティについては、アクセスと偽造の2点について注意が必要です。
まずアクセスについて、請求書には取引情報、個人情報等が記載されています。
特に個人との業務委託に関する請求書には、個人名、住所、連絡先、口座情報、取引金額等の多くの個人情報が記載されています。
電子請求書として保管した場合にセキュリティ対策が甘いと、社内外の方がアクセスできてしまい情報漏洩に繋がる危険があります。
セキュリティには注意しましょう。
次に偽造について、電子データの場合には複製が容易です。せっかく偽造防止のための印鑑を利用していたとしても、電子データの場合には簡単に複製できてしまい偽造防止の効果が薄れてしまうため、印影に識別情報を含む電子印鑑を用いる等により、作成者や押印者が明示することで複製を困難にする対策を採りましょう。
また、電子請求書のデメリットと、その対策を踏まえて上手に電子請求書を利用する方法に関して、以下の記事にまとめてありますので、併せてご確認ください。
請求書管理は大変な業務
請求書といえば、請求に対する振り込み忘れや、面倒な経理の作業がつきものです。請求書関連の仕事は複雑でありながら、ミスがあるとトラブルが起きかねない大変難しい業務の1つです。
皆さんも、請求書に関する業務がラクになったらと考えたことがあるのではないでしょうか。
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- 「ペイトナー請求書」の製品概要と主な機能
- 「ペイトナー請求書」を導入することによるメリット
- 「ペイトナー請求書」が選ばれている理由
まとめ
- 請求書に印鑑を押すことは、取引上の信頼性と唯一性を担保することが重要な場合に、求められることがある!
- 法人には、丸印、銀行印、角印の3種類の印鑑が利用され、用途によって使い分けることが重要!
- 個人には、個人用と事業用に印鑑を使い分けることが重要!
本記事では、請求書と印鑑の関係性について、必要となる背景や、印鑑の効果、請求書の管理方法に分けて解説しました。
請求書は適切に作成することが当たり前とされているため、請求書の信頼性を担保する効果のある印鑑の使い方を間違えることは最大限避ける必要があります。
また、印鑑を押された請求書自体についても、紛失や偽造防止を注意しつつ、探しやすさの観点から自社に合わせた管理方法を検討する必要があります。
請求書と印鑑の関係を適切に把握して、取引が円滑にできるよう努めましょう。