2022年1月の電帳法改正で請求書の電子化が進むと言われていますが、イマイチ実感のない方はいませんか?
「実際どこが変わったかわからない」「どんな影響があるのかよくわかっていない」「施行されているので今さら訊けずに困っている」といったお悩みを抱えている方は少なくないでしょう。
今回は2022年1月に施行された電子帳簿保存法の改正ポイントを徹底解説し、今後とるべき行動を紹介する記事となっています。ぜひ最後までご一読ください!
- 電子帳簿保存法改正の背景とは?
- 電子帳簿保存法3つのポイント!
- 電子帳簿保存法に対応するメリット4選!
- 電子帳簿保存法の改正に対する対応策とは?
目次
「電子帳簿保存法」とは?なぜ2022年度に改正されたのか?
最初に電子帳簿保存法とは何か、また今回改正された背景について解説します。
そもそも電子帳簿保存法って何?
電子帳簿保存法(略して電帳法)とは、国税関係の帳簿書類について、一定条件を満たせば電子化して保存できる法律です。
電子帳簿保存法は1.電子帳簿保存、2.スキャナ保存、3.電子取引データ保存の3つに分類できます。
電子で作成した帳簿書類を電子データのまま保存することです。
例.会計ソフトで作成したデータをそのまま保存するなど。
紙で受け取ったものを画像データで保存することです。
例えば、紙で受け取った請求書や領収書をスキャニングして保存することです。
領収書や請求書などをデータで受領した場合に、そのデータを保存することです。
自分で作成した場合区分①、紙を画像データで保存する場合区分➁、電子で受け取った場合区分③となります。受け取り方によって分かれていると考えると覚えやすいと思います。少しややこしいので整理しておいてください。
電子取引についての詳しい解説はこちらをご覧ください。
なぜ改正が繰り返されている?2022年の改正の理由は?
電子帳簿保存法は1998年に施行されてから何度も改正されています。
電子帳簿保存法の目的は、各産業のデジタル化が進む中で、経理・会計事務分野でもITの活用を促進しコスト削減や業務効率化につなげることです。
しかし、当初よりなかなか普及が進まず、要因の一つに電子保存要件の厳しさがありました。保存要件の厳しさは徐々に緩和され、少しずつ導入企業が増えてきました。そして、2022年1月の大規模な緩和により、これまで以上に帳簿書類の電子化が容易になりました。特に近年のコロナ禍におけるリモートワークの増加や脱ハンコ、ペーパーレス化の推進など社会はデジタル化に向けて進んでいます。2023年にはインボイス制度の開始が控えており、電子インボイスが導入されます。そうなると大きく業務のあり方が変わる可能性があります。
こうした流れに合わせて多くの企業がデジタル化を推進できるよう、改正されました。
参考資料:国税庁HP
なお、インボイス制度については、以下の記事で詳しく解説しています。インボイス制度に不安がある方は、以下の記事をご覧ください。
2022年1月からの改正電子帳簿保存法3つのポイント
今回の電子帳簿保存法の改正ポイントは3つです。
- 国税関係の帳簿や書類の要件緩和
- 電子データ取引情報のデータ保存義務化
- 罰則の強化
以下でそれぞれの詳細について、詳しく見ていきます。
1.国税関係の帳簿や書類の要件緩和
①税務署長の事前承認制度廃止
電子帳簿保存とスキャナ保存の際、以前は事前に税務署長の事前承認が必要でした。改正後は、事業者の事務負担を軽減するため、事前承認が不要になりました。
電子取引では、以前より事前承認不要でしたので、実質全ての帳簿において税務署長からの事前承認が不要になったことになります。これによりいつでも国税関係帳簿・書類の電子データ保存を開始できるようになりました。
➁優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置整備と要件の緩和
これまで、電子帳簿の保存要件は詳細に決められていました。
2022年1月の改正以降は、正規の簿記の原則による3要件を満たした電子データの保存が認められるようになりました。また従来の厳しい要件を満たしている帳簿は「優良な電子帳簿」と認められ、過少申告加算税が5%軽減される措置が整備されました。
出典:国税庁パンフレット
③スキャナ保存と電子取引に係るタイムスタンプと検索要件の緩和
- タイムスタンプの要件緩和
これまで、スキャナ保存のタイムスタンプは、受領者が自署した上で3営業日以内にタイムスタンプの付与が必要でした。これからは、自署不要、最長2年と概ね7営業日以内に延長されました。
また、電磁的記録を削除・訂正する場合や、これらの事実や内容を入力期間内に電磁的記録の保存を行なったことを確認できる場合は、タイムスタンプの付与の代わりにできるようになりました。
- 検索要件の記録項目の緩和
検索要件の記録項目について今後は「日付」「取引金額」「取引先」の3項目に限定されました。また、税務職員による質問検査権に基づく電磁記録のダウンロードの求めに応じるときは、範囲指定と項目を組み合わせて条件設定できる機能が必要とされていましたが、不要と変更されました。
- スキャナ保存と同様のタイムスタンプの付与期間の延長と検索要件が緩和されたことに加え、売上高が1,000万円以下である方で、※一定の条件を満たす方は、検索要件が全て不要になりました。
※一定の条件・・・税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じれるようにしている場合
- 適正事務処理要件の廃止
スキャナ保存に関して、これまでは相互けん制、定期検査と再発防止策の社内規程整備等が必要でしたが、廃止されました。これで、定期検査に必要だった紙の原本の保管が不要となり、スキャン後に廃棄できるようになりました。また適正事務要件があることにより、1名で対応できなかった事務処理が今後は1名で実施できるようになりました。
参考資料:国税庁パンフレット
2.電子データ取引情報のデータ保存義務化
これまで緩和された部分を見てきました。ここでは義務化された項目について解説します。緩和は知っておくといいことですが、義務化は知らなければならないことですので、正確に押さえてくださいね。
電子取引(区分③)において、電子データで受け取った請求書は電子データとして保存することが義務化されました。
つまり電子データとして受け取ったものを紙に印刷やスキャンして保存できなくなりました。
ただし猶予期間が設けられており、2023年12月末まで2年間は移行期間として猶予されることになっています。
以下の記事では、電子取引の中で義務化されたことについて詳しく解説しているので、義務化された事項が不安な方はご覧ください。
3.罰則の強化
罰則の部分も一部強化されていますのでご紹介いたします。
電子取引の取引情報のデータ記録に関して隠ぺいや仮装された事実があった場合は、生じた申告漏れ等に課される重課税が10%加重される措置が取られました。
つまり隠ぺいや改ざん等の事実が発覚した際の罰則が強化されたことになります。
また、電子帳簿保存法に違反した際は、青色申告の取り消しになる恐れがありますので注意が必要です。
参考資料:国税庁Q&A資料問42
改正電子帳簿保存法に対応することで得られるメリット4選!!
電子帳簿保存法は法律ですので、改正に対しどのような意見を持っていても、当然対応していく必要があります。メリットを理解しているとスムーズに動けますし、関係者や取引先への説明の際に使えると思います。
業務効率化と生産性の向上
ここで紙ベースの保存を続けた場合にかかる手間を考えてみましょう。
- 印刷や押印の手間
- 承認者が不在のために対応が遅れること
- 目視と入力作業による時間的コスト
- 手作業によるファイリングや郵送の準備
これらが電子帳簿保存法に対応することでほぼすべて解消できます。
コスト削減
電子帳簿保存法に対応することでペーパーレス化が進み、コスト削減効果もあります。
- 紙代、インク代などの印刷コスト
- 郵送料や封筒、切手代
- 保管期限後の文書の廃棄コスト
- 紙であるため生じる作業の人件費
- 保管スペースに係る家賃コスト
ここで、人件費と家賃コストについて少し説明します。例えば、紙の請求書の場合、発行側は印刷・封入して切手を貼って住所に送るまでに要した時間を削減できます。受取側も封筒を開く、ファイリングして入力、保管するなどの作業が不要になります。結果、その時間で他の作業ができたり、人員が不要になったりします。また、帳簿関連資料は数年単位で保存する義務があります。数年の書類は莫大な量になります。そのスペースが不要になれば、小さい事務所に変更したり、余ったスペースで別のことができたりします。
このようにコスト削減効果も見込まれます。
リモートワークに対応した環境構築
近年多様な働き方が認められています。例えば、感染症の影響で出社できないことでリモートワークが急速に普及しました。特に事務作業において、決済の印鑑受領や原本郵送のためだけに出勤しなければならない問題が新たに明るみにでました。
電子帳簿保存法に対応して電子化が進むことで、インターネット環境とパソコンやタブレットなどがあるだけで完結できる仕事が増えます。
そのため、リモートワークで多様な働き方ができるようになります。
セキュリティ強化
電子帳簿保存法への対応はセキュリティ強化の面でも有効です。
例えば、電子帳簿保存法で定められた要件を満たすとき。文書改ざんへの対応や情報漏洩などに必然的に対応できるようになります。
電子帳簿保存法の改正に対する具体的な対応策
ここまで読んできて「具体的に何からやったらいいの」という疑問があるかもしれません。
ここからは、電子帳簿保存法改正の対応策を述べていきます。2年間の猶予期間があるとはいえ、電子データのまま保管する手順も考えなければなりません。
1.既存のシステムや役割で対応可能か確認
まず現状のシステムのまま電子帳簿保存法改正に対応できるか考えます。するとどうしても変更が避けられない部分が明確になるはずです。
特に義務化された「電子データ取引情報のデータ保存」を実際に実現できるかを検討する必要があります。
できるとしたらどのように処理するかを決めることが重要です。他は緩和された方ですのでこれまでより移行がしやすくなったというだけですが、義務化を守れないことは避けなければならないからです。
2.これを機にクラウド会計の導入し環境を構築する
次に義務を果たせる環境が作れたら、どこまで電子化を進められるか検討しなければなりません。これを機にメリットの大きい電子化に舵を切ることも選択肢かと思います。
電子化のメリットについては、こちらで詳しく説明しています。電子化のメリットを知っておきたい方だけでなく、請求書管理サービスについても解説していますのでぜひご覧ください。
クラウド会計や電子請求書サービスをお試しすることがオススメです。なぜならクラウド会計や電子請求書サービスはサポート体制やシステムがしっかりしているサービスもあり、一挙に電子帳簿保存法改正に対する変更点を解決できる可能性があるからです。特に電子請求書サービスを利用することで義務化された「電子データ取引情報のデータ保存」にも対応できるようになります。実際にいくつか試す中で改善点や足りない部分がよりはっきりしてくるはずです。
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この記事のまとめ!
2022年1月の法改正について、「実際どこが変わったかわからない」「どんな影響があるのかいまいちわかっていない」「施行されているので今さら訊けずに困っている」このようなお悩みに対処する知識を解説してきました。
改正点がすっきりわかり、具体的にどのような行動を取ればいいか理解できたかと思います。
変化を嘆くのではなく、変化を活かしてアナタのビジネスを楽により効率的にしていきましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。
- 請求書の電子化は電帳法の改正によって促進される。
- 改正のポイントを押さえることが大切で、これを機に企業全体の電子化を行うことも検討するとよい。
- 請求書管理サービスへの委託もおすすめ。