個人事業主のなかには、家族を従業員として雇って、給与を支払っている人もいるでしょう。この場合、家族への給与は経費になるのか気になる方もいるのではないでしょうか?
家族への給与は、条件を満たせば経費にできます。今回は、個人事業主が家族へ支払った給与を経費にできるかを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
- 家族への給与は、専従者に該当するなら経費にできるよ
- 生計を一にしない家族なら、特に条件なく経費計上が可能!
- 「生計を一にする・しない」が重要な判断ポイントになるので、条件をしっかり確認しよう
目次
家族が専従者に該当するかがポイント!
個人事業主が、家族への給与を経費にできるかは、家族が「事業専従者」に該当するかが判断ポイントになります。
原則として、個人事業主が家族に給与を支払っても、そのお金は経費になりません。経費にできてしまうと、家族に給与を払って経費額を増やし、節税し放題になってしまいます。
そのため、家族への給与を経費にするためには、家族が事業専従者に該当する場合のみという制限を設けています。
事業専従者の条件
事業専従者とは、生計をともにしている15歳以上で、事業に6か月以上従事している人を指します。まず、白色申告をしている個人事業主の事業専従者について、条件を見てみましょう。
- 白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
- その年を通じて6か月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること。
参考:国税庁『No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除』
青色申告をしている事業者の専従者「青色事業専従者」も条件はほぼ同じですが、従事期間に関して若干の違いがあります。
- 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
- その年を通じて6か月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
参考:国税庁『No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除』
ただし、青色事業専従者給与控除を受けるためには、給与額を算出する年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しないといけません。専従者給与の額や人数などに変更があった場合には、変更届の提出も必要です。
また、青色事業者になるためには、青色申告承認申請書を提出している必要があります。青色申告承認申請書については、以下の記事をご覧ください。
いくらまで?白色申告・青色申告での専従者給与控除の違い
専従者給与を経費にできる「専従者給与控除」の内容は、白色申告と青色申告で異なります。それでは、それぞれの条件について解説します。
白色申告の場合
白色申告の場合は、以下のうち金額の低い方を控除にできます。
- 事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円
- この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額
例えば、事業専従者が配偶者1人で、給与控除前の事業所得等の額が600万円だった場合は、以下のようになります。
- 86万円(配偶者1人分)
- 600万円 ÷ (1人 + 1) = 300万円
上記の計算結果から、今回のケースの控除額は低い方である「86万円」となります。
青色申告の場合
青色申告の場合、事業専従者へ支払った給与は全額経費にできます。
ただし、労務の対価として相当であると認められる範囲のみで、税務署が過大と判断した場合は、必要経費に認められないので注意しましょう。
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【別生計】生計を一にしない家族の給与の手続き
生計を一にしない家族については、通常の給与と同様に経費にできます。
ここまで解説したのは、事業専従者給与に関する条件です。生計を一にしている家族に払った給与に関しては、前述した条件を満たす必要があります。
- ひとつの財布から生活費を出している夫婦
- 別居しているが、生活費や学費などを送金している
- 家は別々だが、余暇は帰省してきて寝食を共にしている
しかし、生計を一にしない家族の給与は、通常の給与と同じ扱いになるため、経費として計上できるのです。
「生計を一にしない家族」の具体例
それでは、具体的にどういったケースを「生計を一にしない家族」と言うのでしょうか?
- 同じ建物に住んでいるが、財布が別々で生計費をそれぞれ出している
- 事実婚、同棲など法的契約のない夫婦
- 別世帯で自立して生活している子ども
- 貯蓄や年金のみで生活している親
つまり、事業者と同じ財布で生計を立てていなければ、生計を一にしない状態となります。
生計を一にしない家族の給与を経費計上する条件
生計を一にしない家族の給与を経費計上するための条件は、特にありません。ただし、あまりにも高額な場合、労働に対して過剰すぎると判断された場合には、税務署からチェックが入ります。
正当な対価と認められなかった場合は、経費控除が無効となってしまうので、社会通念上あまりに多い額とならないよう注意しましょう。
生計を一にしないメリット
生計を一にしないメリットは、自治体によっては国民健康保険料が安くなる点です。ただし、自治体ごとに保険料の算出方法が異なるため、住んでいる場所のルールをご確認ください。
個人事業主の家族給与の経費計上に関する質問
個人事業主の家族給与の経費計上に関しては、以下のような疑問を抱く方が多くいます。
- 家族をアルバイトとして雇っている場合は?
- 家族でも給与明細は必要?
- 生計を一にしない家族の給与の勘定科目は?
以下では、よくある3つの質問に回答しますので、参考にしてください。
家族をアルバイトとして雇っている場合は?
生計を一にする家族をアルバイトとして雇っている場合、事業専従者に該当する場合は、給与を経費にできます。事業専従者の条件を満たさない場合は、経費計上できません。
また生計を一にしていない場合は、通常のアルバイト給与と同様の扱いになり、経費計上できます。
家族でも給与明細は必要?
家族給与に関しても、給与明細を発行したほうが良いでしょう。
発行しなくても法的には問題ありませんが、給与明細があると、何らかの手続きで給与明細が必要になった場合に便利です。
ただし、実際に支払った証拠はあったほうが良いので、振込にして出勤履歴を残すか、出金伝票を切るようにしましょう。
なお、給与明細がなかったとしても、確定申告書の第一表および第二表で専従者給与額は確認できるので、給与明細の代わりとして使用できるケースが多くあります。
生計を一にしない家族の給与の勘定科目は?
生計を一にしない家族へ支払った給与は「給料賃金」「給与」という勘定科目を用いて仕訳します。生計を一にする・しないに関わらず、勘定科目は同じです。
まとめ
個人事業主が家族へ給与を支払った場合、生計を一にする家族なら、専従者に該当する場合のみ経費計上が可能です。生計を一にしない家族については、特に条件なく経費計上できます。
ただし、あまりに給与額が多すぎると、税務署から調査が入ってしまう可能性があるので注意しましょう。また、専従者の給与額を変更する場合は、必ず変更届を提出してください。
本記事を参考にして、給与をしっかりと経費計上し、節税対策をしていきましょう。
- 家族への給与は、専従者に該当するなら経費にできるよ
- 生計を一にしない家族なら、特に条件なく経費計上が可能!
- 「生計を一にする・しない」が重要な判断ポイントになるので、条件をしっかり確認しよう
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