高額になりがちな固定資産税ですが、新築物件や土地などに関しては軽減措置があります。家を建てて数年の方であれば利用できる可能性があるので、ぜひ活用してください。本記事では、固定資産税の軽減措置について、適用条件や申請方法などを解説していきます。
- 固定資産税の軽減措置は、物件と土地、そして改修(リフォーム)によって適用条件が異なるよ!
- 割合自体は低くても、軽減額はとても大きなものになるケースが多いので、ぜひシミュレーションしてみてね。
- 申請期限を過ぎると軽減措置を利用できなくなるので注意しよう!
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目次
固定資産税とは?
固定資産税とは、土地や住宅などにかかる税金のことです。一般的には、不動産関係の税金と思われがちですが、工具や車などに課税されるケースもあります。事業用の機械や車、工具なども対象となる場合があるので、どんなものが課税対象になるのかしっかりと把握しておきましょう。
種類 | 具体例 | 計算方式 |
土地 | 田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地(雑種地) | 課税標準額 × 税率1.4% |
家屋 | 住家、店舗・工場(発電所・変電所含む)、倉庫、その他の建物 | 課税台帳に登録されている価格 × 税率1.4% |
償却資産 | 構築物、機械・装置、工具・器具及び備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税法又は所得税法上、減価償却の対象となるべき資産 | 課税標準額 × 税率1.4% |
上記のうち、今回ご紹介する軽減措置が容易されているのは「土地」と「新築住宅・マンション」そして「改修(リフォーム)」です。
固定資産税の軽減措置とは?
住宅や土地を所有している人に課される固定資産税には、軽減措置が用意されています。住宅や土地の建築・購入を促進するとともに、優良な物件を増やしていくためです。具体的には、以下のような軽減措置が利用できます。
対象物 | 軽減される金額 | 軽減措置の期間 |
住宅 | 固定資産税の1/2 | 戸建:3〜5年度分 マンション:5〜7年度分 |
土地 | 課税標準額の1/6〜1/3 | なし |
改修 (リフォーム) | 翌年度分の固定資産税額の1/3〜2/3 | 翌年度1年度分のみ軽減 |
住宅では、固定資産税の半額が軽減されるので、最短の3年であってもかなりの軽減額になります。また、土地はずっと軽減措置が適用されるので、長期で利用すると考えると非常にお得な制度です。
軽減措置の適用条件
固定資産税の軽減措置の適用条件は、土地・住宅・改修(リフォーム)などによって異なります。また、住宅も一般住宅と認定長期優良住宅で条件が異なるので、それぞれ確認しましょう。以下では、軽減措置の適用条件を対象物ごとに解説します。
住宅用地
区分 | 軽減措置 |
住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分 | 価格×1/6 |
小規模住宅用地以外の住宅用地 (200㎡を超える部分) | 価格×1/3 |
条件を満たしている土地は、上記のとおり軽減措置を利用できます。200㎡までであれば「小規模住宅用地の特例」が利用でき、それ以上の部分に関しては「一般住宅用地の特例」が利用可能です。なお、土地には「住宅用地」と「非住宅用地」があります。具体例を見ながら、どんな土地が住宅用地に該当するかを確認しましょう。
- 住宅用地:戸建やアパートの敷地、住宅の庭・自家用車の駐車場
- 非住宅用地:店舗や工場の敷地、駐車場、資材置き場、住宅建築予定地、空き地、住宅を建築途中の土地
参考:東京都主税局『【土地】2 住宅用地及びその特例措置について』
具体的には、人が住むための建物が建っている土地を「住宅用地」といいます。東京都主税局の資料をもとに定義を解説しますので、ご確認ください。
- 人が居住するための建物を建てる場所で、建っている建物の床面積の10倍までの土地
- 居住部分が建物全体の1/4以上ある「併用住宅」が建っている場所で、定められた率を乗じて得た面積に相当する土地
参考:東京都主税局『【土地】2 住宅用地及びその特例措置について』
なお、併用住宅に関する割合は以下のとおりです。
家屋の種類 | 居住部分の割合 | 率 |
地上階数5以上を有する耐火建築物である家屋 | 1/4(25%)以上1/2(50%)未満 | 0.5 |
1/2(50%)以上3/4(75%)未満 | 0.75 | |
3/4(75%)以上 | 1.0 | |
下に掲げる家屋以外の家屋 | 1/4(25%)以上1/2(50%)未満 | 0.5 |
1/2(50%)以上 | 1.0 |
上記のような土地に関しては、固定資産税の軽減措置を利用できます。一時的に空き家になっていても原則利用できますが、特定空き家(倒壊の恐れがあったり、衛生上の問題があったりする空き家)に指定されていて、勧告を受けている空き家に関しては対象外となるのでご注意ください。また、将来的に住む予定がまったくない建物に関しても対象外となりますので、不安な場合は税事務所に問い合わせましょう。
新築住宅・マンション
対象物 | 軽減される金額 | 軽減措置の期間 |
戸建 | 固定資産税の1/2 | 3年度分 |
マンション等 | 固定資産税の1/2 | 5年度分 |
新築住宅は、条件を満たせば上記のような軽減措置を利用できます。新築住宅は、床面積の条件が細かく規定されているので、しっかり確認しましょう。
住宅の区分 | 平成17年1月2日〜令和6年3月31日 までに新築された住宅の条件 | |
一戸建住宅 | 床面積 | 50㎡以上280㎡以下 |
住宅に店舗などが 含まれている併用住宅 | 居住部分の床面積 | 50㎡以上280㎡以下 |
アパートなどの 共同住宅 | 独立的に区画された居住部分ごとの床面積に、 廊下や階段などの共有部分の面積をあん分し、 加えた床面積 | 50㎡以上280㎡以下 【貸家の場合】 40㎡以上280㎡以下 |
マンションなどの 区分所有の住宅 | 専有部分のうち居住部分の床面積に、 廊下や階段などの共有部分の床面積をあん分し、 加えた床面積 | 50㎡以上280㎡以下 【貸家の場合】 40㎡以上280㎡以下 |
上記における「あん分」とは、廊下や階段などの面積に、居住部分の割合をかけることです。
居住部分が60%の場合:廊下や階段等の面積 × 60%
居住部分とは別のスペースがある場合に、廊下や階段などの面積すべてを除いたり加えたりすると、実態とは異なる床面積になってしまうために「あん分」を利用します。
中古住宅
中古住宅に関して、固定資産税の軽減措置はありません。ただし、不動産取得税の軽減措置はあります。不動産取得税を算出するにあたって100万〜1,200万円ほどを控除できるので、忘れずに利用しましょう。
認定長期優良住宅
対象物 | 軽減される金額 | 軽減措置の期間 |
2階建までの耐火・準耐火建築物 | 固定資産税の1/2 | 5年度分 |
3階建以上の耐火・準耐火建築物 | 固定資産税の1/2 | 7年度分 |
認定長期優良住宅とは「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に定められた基準を満たしている住宅のことです。新築住宅に比べて、軽減措置の期間が長くなっています。認定長期優良住宅の主な認定基準は、以下のとおりです。
- 劣化対策
- 耐震性
- 省エネルギー性
- 維持管理・更新の容易性
- 可変性(天井の高さに関する基準)
- バリアフリー性
- 災害配慮
- 居住環境、住戸面積、維持保全計画
参考:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会『長期優良住宅認定制度の概要について 新築版』
認定基準は、新築・増築・分譲マンションなどによって異なります。詳しくは国土交通省のページをご確認ください。
そして、認定長期優良住宅に関する軽減措置の適用条件は、以下のとおりです。
- 平成21年6月4日から令和6年3月31日までの間に新築された住宅であること
- 長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅であること
- 居住部分の床面積の割合が当該家屋の2分の1以上であること
- 1戸あたりの床面積が50㎡以上280㎡以下であること(ただし、一戸建て以外の貸家の用に供する住宅にあっては、40㎡以上280㎡以下)
- 新築した年の翌年の1月 31 日まで(1月1日新築の場合はその年の1月 31 日まで)に所管の都税事務所に減額の申告が行われていること
引用:東京都主税局『認定長期優良住宅を新築し、1 月 31 日までに申告された場合、固定資産税が減額されます』
なお、「新築住宅・マンション」に記載したものと同様の、床面積に関する適用条件も定められています。床面積の条件が細かく定められていますので、あらかじめ確認しておきましょう。
住宅改修(リフォーム)
改修(リフォーム)の種類 | 軽減される額(120㎡相当分まで) |
耐震化 | 翌年度分の固定資産税額の1/2 |
バリアフリー改修 | 翌年度分の固定資産税額の1/3 |
省エネ改修 | 翌年度分の固定資産税額の1/3 |
長期優良住宅化の改修 | 翌年度分の固定資産税額の2/3 |
住宅改修(リフォーム)は、条件を満たしている場合に限り、翌年度の固定資産税が一定額軽減されます。なお、耐震化・バリアフリー化・省エネ化・長期優良住宅化それぞれで条件が異なるので注意しましょう。
耐震化に関する軽減措置の適用条件
- 2006年1月1日~2022年3月31日の期間に工事をした
- 1982年1月1日以前から所在する住宅
- 現行の耐震基準に適合する改修工事
- 1戸あたり50万円(税込)を超える工事費用
- 居住部分が全体の1/2以上
耐震化に関する軽減措置の適用条件
- 2008年4月1日〜2022年4年3月31日の期間に工事をした
- 賃貸住宅でない
- 65歳以上、要介護・要支援、障がい者のいずれかが居住
- 新築から10年以上が経過
- 工事後の床面積が50㎡以上280㎡以下
- 工事後の居住部分の割合が1/2以上
- 工事費用が50万円(税込)以上
省エネ化に関する軽減措置の適用条件
- 2008年4月1日〜2022年4年3月31日の期間に工事をした
- 2014年4月1日以前から所在する住宅である
- 賃貸住宅でない
- 工事後の床面積が50㎡以上280㎡以下
- 工事した家屋の1/2が居住用
- 平成25年(2013年)省エネ基準相当に適合している
- 窓の断熱改修工事を含む工事が対象
- 工事費用が50万円(税込)以上
- 50万円(税込)以上、太陽光発電や高効率空調機等の工事を行う場合は、工事費用総額が60万円(税込)以上
長期優良住宅化に関する軽減措置の適用条件
- 2022年3月31日までに工事をした
- 床面積が50㎡以上280㎡以下
- 工事した家屋の1/2が居住用
- 対象となる工事を行っている
- 一定の省エネ改修工事とあわせて行う
- 長期優良住宅の認定を受けている
- 耐震改修、省エネ改修、耐久性向上改修それぞれの工事費用が50万円(税込)以上
改修に関しては、上記のようにとても細かな条件が設定されています。リフォーム会社としっかり相談をして、条件を満たせるようにしましょう。
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固定資産税の軽減措置シミュレーションと計算方法
土地 | 住宅 | |
購入価格 | 2,000万円 | 3,000万円 |
評価額 | 1,500万円 | 1,500万円 |
評価率 | 75% | 50% |
面積 | 200㎡ | 150㎡ |
上記のケースをつかって軽減措置のシミュレーションをしてみましょう。今回は「新築」と考えて、1年間の固定資産税の金額がどのくらい変わるのかを計算します。
軽減措置なし | 軽減措置あり | |
土地 | 2,000万円 × 1.4% =28万円 | 2,000万円 × 1.4% × 1/2 =14万円 |
住宅 | 1,500万円 × 1.4% =21万円 | 1,500万円 × 1.4% × 1/6 =17万5千円 |
合計金額 | 49万円 | 31万5千円 |
上記のように、年間で17万5千円もの差が出てきます。新築物件の場合は3年度分、認定長期優良住宅であれば5年度分まで軽減されるので、最大で87万5千円ほど軽減されるのです。この後の項目では、軽減措置の申請方法を詳しく解説しますので、ぜひ忘れずに申請していきましょう。
固定資産税の軽減措置の申請方法
固定資産税の軽減措置を利用する際は、必要書類を期限までに忘れずに提出しましょう。提出し忘れてしまうと減税を受けられないのでご注意ください。以下では、軽減措置の申請期限と申請方法を解説します。
申請期限
申請期限は、住宅を建てたのか、住宅や土地に何らかの変更があったのか、改修したのかによって変わります。
場合 | 申請期限 |
住宅を建てた場合 | 新築した翌年の1月31日まで |
増築や建て替えなどがあった場合 | 変更があった年の翌年の1月31日まで |
改修(リフォーム)した場合 | 工事完了日から3カ月以内 |
なお、1月1日新築の場合はその年の1月31日までに申請しなくてはならないので、建設中に準備を進めましょう。不動産取得税と異なり、固定資産税に関しては遡って還付をうけることができません。申請忘れがないように注意しましょう。
土地に関する申請方法
土地に関する軽減措置の申請をする場合は、「固定資産税の住宅用地等申告書」に必要事項を記入のうえ、最寄りの税事務所の土地班で手続きをしましょう。なお、建て替えなどを行った場合には、以下の書類も必要になります。
- 以下いずれかの写し
- 建築確認申請書(受領印があるもの)
- 建築確認済証
- 中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例等に基づき行政庁に出した書類
- 建て替え前の住居所有者と建築主との関係を証するもの(戸籍謄本など、同一人物の場合は不要)
参考:東京都主税局『住宅を建て替える土地の特例措置のご案内』
住宅に関する申請方法
住宅に関する軽減措置の申請をする場合は「固定資産税減額申告書」に必要事項を記入して、期限までに最寄りの税事務所で手続きを行ってください。ただし、新築の場合は、東京都をはじめとして申請不要とする地域が増えていますので、あらかじめ申請が必要かどうかを確認しておきましょう。
また、認定長期優良住宅に関しては「長期優良住宅の認定通知書の写し」が必要になるので、あわせて準備してください。なお、住宅の改修(リフォーム)に関しては、以下の書類を提出する必要があります。
バリアフリー改修で軽減措置を申請する場合の必要書類
- 固定資産税減額申告書
- 納税義務者の住民票
- 条件7を証明できる住民票、被保険者証
- 自己負担額が50万円以上の改修だったことを証明する書類(領収書、工事明細書など)
- 補助金などの支給決定通知書(交付されていない場合は不要)
- 平面図などの書類
省エネ改修で軽減措置を申請する場合の必要書類
- 固定資産税減額申告書
- 納税義務者の住民票
- 工事証明書
- 平面図などの書類
耐震化で軽減措置を申請する場合の必要書類
- 固定資産税減額申告書兼減免申請書
- 耐震基準を満たしていると証明できる書類
- 平面図などの書類
認定長期優良住宅化で軽減措置を申請する場合の必要書類
- 固定資産税減額申告書
- 増改築等工事証明書
- 長期優良住宅の認定通知書の写し
- 床面積が50㎡以上であることを証明する書類
- 補助金等の額を証する書類(交付されていなければ不要)
- 設計図面や写真など改修を行ったと証明できる書類
申請方法の注意点
軽減措置をする場合、税額があっているか、使用する書類は適切か、空き家になっていないかといった点に注意しましょう。
- 税額の計算があっているか
- 使用する書類の種類はあっているか
- 空き家になっている、またはなる予定がないか
- 申請期限を過ぎていないか
申請期限を過ぎた場合に関して、救済措置は特に用意されていません。新築も含めて全ての固定資産税の軽減措置を自ら申請しないといけない自治体もありますので、申請の必要があるか、そしていつまでにどうやって申請するのかを、しっかりと確認しましょう。
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まとめ
固定資産税の軽減措置は、金額や利用年数によっては数十万円もの軽減効果が見込める制度です。新築住宅は申請不要な自治体も増えているものの、申請期間を過ぎると制度を利用できないので、申請忘れがないようしっかり確認してください。
- 固定資産税の軽減措置は、物件と土地、そして改修(リフォーム)によって適用条件が異なるよ!
- 割合自体は低くても、軽減額はとても大きなものになるケースが多いので、ぜひシミュレーションしてみてね
- 申請期限を過ぎると軽減措置を利用できなくなるので注意しよう!
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