土地や建物を所有している場合、固定資産税に悩まされることも多いでしょう。しかし個人事業主が固定資産税を支払っている場合、状況次第では納税額を経費にできる可能性があります。
本記事では個人事業主が固定資産税を経費にできる条件と計上方法、軽減措置などについて解説します。
- 個人事業主は、固定資産税を経費にすることができるよ!
- 固定資産税を経費にすることで節税できて、とってもお得だよ!
- 固定資産税以外にも経費にできる税があるから、確認しておこうね!
目次
固定資産税とはどんな税制度?
そもそも固定資産税とはどのような制度なのかが分からないと、経費への計上が難しくなります。以下では、固定資産税の基本について解説します。
固定資産税とは土地や建物にかかる税金
固定資産税とは、所有している土地や建物にかかる税金を指します。住居、店舗、建物を建てている土地の所有者である場合、固定資産税の納税が義務となっています。
固定資産税の課税条件に職業は関係ないため、個人事業主でも納税が必要です。個人事業主として店舗を経営している場合なども、所有している土地や建物にかかる固定資産税の納税が求められます。
固定資産税はいつ納税する?
固定資産税は、毎年4〜6月ごろに納税通知書が送付されるため、その内容に従って納税をします。市町村税(東京23区は都税)として課税され、一括納付か4回の分納を選べます。
6月ごろには固定資産税のほかにもさまざまな税金の支払いが重なるため、負担になる場合には4回の分納を選択すると良いでしょう。
個人事業主は固定資産税を経費にできる
個人事業主として仕事を営んでいる場合、納税した固定資産税は経費に計上できます。以下では、個人事業主が固定資産税を経費にするための基本・ポイントを解説します。
固定資産税は経費として計上可能
個人事業主の固定資産税は、正しい手続きを踏むことで経費として計上できます。毎年きちんと納付している個人事業主は、固定資産税の申告によって節税が可能です。
確定申告時にスムーズに経費計上ができるように、仕訳方法などを確認しておくのがおすすめです。
固定資産税のすべてが経費になるわけではない
固定資産税のすべてが経費になるわけではなく、実際に事業に使用している部分のみが申告可能です。例えば自宅で事業をしている場合、プライベートの部分と仕事で使っている部分を明確に分けた上で、合理的な基準のもとで計算する必要があります。
プライベートと事業で使用している比率を計上することを、「家事按分」と呼びます。固定資産税のすべてが経費になるケースばかりではないため、事前に家事按分を実施して正確な金額を計上できるように準備すると良いでしょう。
個人事業主が経費にできる税金
個人事業主の経費にできる税金や租税公課には、以下のものがあります。
ただし、具体的な規則や条件は所在地や状況によって異なることがあります。具体的な状況に合わせて専門家や税理士に相談することをお勧めします。
住民税
住民税も所得に基づいて課税されますが、一部の地域では事業税として取られることもあります。支払った住民税も、経費として控除できます。
消費税
一部の商品やサービスには消費税が課されます。個人事業主が消費税を支払った場合、支払った消費税を経費として控除できることがあります。
ただし、消費税の取り扱いは地域によって異なるため、詳細は地元の税務当局や専門家に確認する必要があります。
登記料や印紙代
事業を開始する際に必要な登記料や契約書に必要な印紙代なども、経費として控除できることがあります。登記料とは法人登記をする際の手数料です。印紙代は、証書や通帳など課税対象となっている文書を発行する際にかかる税金を指します。
例えば個人事業を法人化する場合、登記料を経費にできる可能性があるのです。
その他
所得税、住民税、消費税以外にも、固定資産税や自動車税、国民健康保険料など、事業に関連するさまざまな税金があります。これらの支出も経費として控除できる場合があります。
個人事業主が固定資産税を経費にする際の仕訳方法
固定資産税を経費にする際には、仕訳方法を把握する必要があります。仕訳方法が分からないと、確定申告の際に時間がかかり、ミスを誘発する原因になり得ます。
以下では、個人事業主が固定資産税を経費にする際の仕訳方法を解説します。
固定資産税を納付した日に計上する方法
固定資産税は、納付した日に計上することで経費にできます。納付日を基準に仕訳をする際には、以下の形が基本になります。
借方勘定科目 | 租税公課 |
金額 | 〇〇円 |
貸方勘定科目 | 現金 |
金額 | 〇〇円 |
摘要 | 固定資産税の支払い |
借方に「租税公課」、貸方に「現金」を使って計上します。分納で固定資産税を納税した場合には、上記と同様の形で納付日ごとに仕訳を記録します。
固定資産税の金額が決まった日に計上する方法
固定資産税の仕訳は、金額が決まった日に計上する方法も可能です。金額の決定時を基準にする際には、以下の仕訳方法となります。
借方勘定科目 | 租税公課 |
金額 | 未払金 |
貸方勘定科目 | 現金 |
金額 | 〇〇円 |
摘要 | 固定資産税の支払い |
上記のように仕訳したあと、実際に納付した際にあらためて以下の形で仕訳をします。
借方勘定科目 | 未払金 |
金額 | 未払金 |
貸方勘定科目 | 租税公課 |
金額 | 〇〇円 |
摘要 | 固定資産税の支払い |
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固定資産税以外で経費にできる租税について
固定資産税のほかにも、経費にできる租税はいくつかあります。租税とは、個人事業税や印紙税などです。
以下では、固定資産税のほかに経費にできる租税について解説します。
経費に計上できる租税公課
租税公課とは、国に納める「租税(税金)」と、地方公共団体に納める「公課」をあわせた言葉です。経費に計上できる租税公課には、具体的に以下のものがあります。
- 個人事業税
- 都市計画税
- 自動車税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 印紙税
- 利子税
上記の税金を納税している場合には、条件を満たした上で仕訳・計上することで経費として活用できます。上手く利用すれば節税につなげられるため、確定申告に向けて今一度自分が納税している租税をチェックしてみると良いでしょう。
以下では、いくつかの租税について、節税方法を解説していきます!
都市計画税の節税
都市計画税とは、公共の水道や公園など、街づくりのための税金です。
土地を持っていて、それに都市計画税がかかっている人は、その土地を更地ではなく、建物が経っている状態に変えると、節税になります。従来の3分の1にまで減税できる場合もあるので、当てはまる場合は必ず検討するようにしてみましょう!
印紙税
印紙代を節約する方法もあります。印紙税を節約する方法のひとつは、契約を電子書類で結んでしまうことです。紙の書類を使わなくてよくなるため、自然と印紙代の節約につながります。加えて、以下の関連記事では、それぞれの租税での節税方法について紹介しています。
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固定資産税には特例の軽減措置が利用できる
固定資産税の納税時には、特例の軽減措置が利用可能です。特例の軽減措置を活用することで、納税の負担を軽くできます。以下では、固定資産税の納税時における特例の軽減措置について解説します。
新築住宅に係る税額の減額措置について
「新築住宅に係る税額の減額措置」とは、新築住宅にかかる固定資産税を3年間(マンションなどの場合は5年間)の間、1/2に減額する特例制度です。
適用期間は令和6年3月31日までとなっているため、それまでに新築住居を購入した場合には固定資産税が抑えられます。
住宅用地の特例について
住宅用地の特例とは、住宅やアパートなど、人が住むための家屋を建てている土地に関する特例措置です。住宅用地の特例に該当する場合、固定資産税と都市計画税が減税されます。
小規模住宅用地 (住宅やアパート等の敷地で200平方メートル以下の部分) | 固定資産税:価格×1/6 都市計画税:価格×1/3 |
一般住宅用地 (住宅やアパート等の敷地で200平方メートルを超える部分) | 固定資産税:価格×1/3 都市計画税:価格×2/3 |
認定長期優良住宅における特例措置
認定長期優良住宅における特例措置とは、「一定の認定長期優良住宅の新築又は取得を行った場合」に税金が軽減される制度です。固定資産税だけでなく、所得税、登録免許税、不動産取得税が軽減される点が特徴です。
固定資産税の特例措置では、5年間(マンション等の場合は7年間)の間、固定資産税が1/2に減額されます。
既存住宅の改修における特例措置
既存住宅を改修することでも「既存住宅の改修における特例措置」を受けられます。バリアフリー改修、省エネ改修、耐震改修といった種類があり、それぞれ以下の特徴があります。
- バリアフリー改修:一定のバリアフリー改修工事をした場合、改修後に居住を始めた年の所得税額が一定額控除される
- 省エネ改修:省エネ性に優れた住居を改修した際に適用され、改修後に居住を始めた年の所得税額が一定額控除される
- 耐震改修:耐震性を強化して次世代に資産として継承できる住居に改修した際に適用され、改修工事を完了した年の所得税額が一定額控除される
課税標準額が低い場合には非課税になる
課税標準額が低い場合、固定資産税は非課税になります。具体的には土地は30万円未満、建物は20万円未満で非課税になるため、事前に確認がおすすめです。
固定資産税を経費に計上することは個人事業主にとって重要!
固定資産税をきちんと経費計上することは非常に重要です。固定資産税を経費にすることで、節税につながります。個人事業主は、会社に勤めるサラリーマンよりも納める税額が大きくなることがほとんどです。
その分、できる節税はなるべく行うことで、手取り金額を増やすことができます。手取り金額を増やすことで、新たな仕事の元手にしたり、生活の安定にもつなげることができます。
固定資産税の計算方法は?
最後に、固定資産税の計算を自分でしたいという方向けに、固定資産税の計算方法を紹介します。固定資産税は以下の方法で計算します。
固定資産税評価額 × 1.4%
1.4%はあくまで標準税率であり、自治体が個別に設定するため場所によって異なる点に注意が必要です。事前に自分の属する自治体の税率を確認し、固定資産税を計算できるように備えましょう。
固定資産税評価額とは、各市町村が個別に決める評価額のことで、土地なら時価の80%、新築物件なら工事にかかった額の50~60%が目安になります。
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まとめ
個人事業主として固定資産税を納税している場合、経費として計上が可能です。固定資産税は毎年かかる税金であるため、事業継続の負担になるケースも多いです。経費に計上することで、節税につなげられるため、この機会に固定資産税の基本を確認して仕訳方法などを把握してみてください。
固定資産税に関わる制度に、特例の軽減措置があります。条件を満たすことで住居に関する固定資産税を軽減できるため、積極的な活用が望ましいです。また、個人事業主は固定資産税のほかにも、さまざまな租税を経費にできます。経費にできる租税を見逃さないように、それぞれの詳細を確認するのもおすすめです。
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