インボイス制度のスタートに伴い、消費税課税事業者になる方も多くいるでしょう。消費税を納税する場合「どういった計算方法を用いるか」を考えておく必要があります。具体的には、簡易課税制度を利用するのか、本則課税で計算するのかといった点です。どの方式で計算するかによって、計算にかかる手間や納税額が異なるので、慎重に検討しましょう。
本記事では、簡易課税制度とは何か、どのように計算や手続きをするのかについて詳しく解説します。
- 簡易課税制度は、売上税額を簡単に計算できる方法だよ!
- 簡易課税制度を利用したい場合は事前の申請が必要だから注意しよう
- 10月1日から簡易課税制度を利用する場合、締め切りは9月30日だよ!
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目次
簡易課税制度とは消費税計算方式の一種
簡易課税制度とは、消費税の納税額を計算する方法のひとつです。名称のとおり、通常の計算方式に比べて簡単に消費税額を計算できるようになっています。なお、簡易課税制度を利用できるのは以下の条件を満たす事業者のみです。
- 事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している
- 前々年(法人は前々事業年度)の課税売上が5,000万円以下
上記のように、簡易課税制度は主に中小規模の事業者を対象としています。中小企業や個人事業主の業務負担軽減を目的として導入されているのが、簡易課税制度なのです。
消費税計算方式には「簡易」と「本則」がある
消費税の計算方式は「簡易課税」と「本則課税」の2種類があります。具体的な違いは、以下のとおりです。
簡易課税 | みなし仕入れ率を用いて売上税額(消費税額)を計算 |
本則課税 | 積上げ・割戻しいずれかの計算方法で消費税額を計算 |
簡易課税では「みなし仕入れ率」という割合を使って、売上税額を計算していきます。通常、仕入税額を細かく計算して控除額を算出しなくてはなりませんが、簡易課税ではみなし仕入れ率を用いるので、仕入税額をひとつひとつ計算する手間がかかりません。
一方、本則課税は積上げ・割戻しいずれかの計算方法で、仕入税額や売上税額を算出する計算方法です。仕入税額を細かく計算しなくてはなりませんが、うまく利用すれば若干の節税効果が期待できるケースもあります。
簡易課税制度と本則課税はどっちが良い?
フリーランス(個人事業主)の場合、業種や仕入れ状況などによって、簡易課税と本則課税どちらが良いかが異なってきます。例えば、以下のようなケースであれば簡易課税制度のほうがよいでしょう。
- 売上税額:300万円 / 仕入税額100万円 / みなし仕入れ率60%
- 本則課税での控除後の税額:200万円
- 簡易課税での控除後の税額:120万円
上記のように、本則課税だと100万円しか仕入税額控除を利用できなかったのが、簡易課税だと「300万円 × 60% = 180万円」の控除を利用できるケースがあります。こうした簡易課税のほうが納税額が減る場合は、簡易課税制度を活用したほうがよいでしょう。
一方で、簡易課税制度のほうが納税額が多くなってしまうケースもあります。
- 売上税額:300万円 / 仕入税額200万円 / みなし仕入れ率60%
- 本則課税での控除後の税額:100万円
- 簡易課税での控除後の税額:120万円
上記の場合、簡易課税制度を利用してしまうと納税額が20万円増えてしまいます。こうしたケースの場合は、本則課税にしたほうがよいでしょう。
簡易課税制度のメリット
簡易課税制度を利用するメリットは、以下のとおりです。
- 売上税額を簡単に計算できる
- 本則課税よりも税額が少なくなる可能性がある
売上税額を計算する手間が少なくなるのは、簡易課税制度を利用するうえでの大きなメリットです。また、みなし仕入れ率が高い業種の場合、納税額が少なくなる可能性があります。つまり、業務負担を軽減しつつ節税できる可能性があるのが、簡易課税制度のメリットです。
簡易課税制度のデメリット
簡易課税制度のデメリットは、以下のとおりです。
- 仕入れの実態が把握しにくくなる
- 本則課税よりも納税額が増えるリスクがある
- 簡易課税制度を選択すると2年間は変更できない
簡易課税制度を利用する場合、仕入税額を計算しなくてもよくなるので、仕入れの実態を把握できなくなる可能性があります。また、気付かぬうちに本則課税よりも納税額が増えてしまうリスクがあるのも、気を付けたいポイントです。また、簡易課税制度を選択した場合、2年間は変更ができません。本則課税のほうが消費税額が少なくなりそうでも、変更がきかないのはデメリットといえるでしょう。
本則課税のメリット
本則課税を利用するメリットは、以下のとおりです。
- 簡易課税制度よりも納税額が減る可能性がある
- 仕入れの実態を細かく把握できる
本則課税を選択した場合、仕入税額を必ず計算しなくてはなりません。計算自体は面倒ですが、仕入れの実態を正しく把握できるのは大きなメリットです。また、業種によっては簡易課税制度よりも納税額が少なくなる可能性があります。仕入れの状況によって控除額が変わるので、ある程度の調整ができるのもメリットといえるでしょう。
本則課税のデメリット
本則課税のデメリットは、以下のとおりです。
- 仕入税額を計算する手間がかかる
- 簡易課税制度よりも納税額が多くなるリスクがある
- 途中から簡易課税制度には移行できない
本則課税のデメリットは、とにかく手間がかかる点です。会計作業まで自分でやっている個人事業主の場合、事業を進める時間が取りにくくなるリスクがあります。さらに、簡易課税制度よりも納税額が多くなる可能性があり、途中で簡易課税制度に移行ができないというのも注意すべき点です。
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簡易課税制度でもインボイスに対応できる?
簡易課税制度であっても、インボイス対応は可能です。どういった計算方式であっても、正しく消費税を納税すれば問題ありません。なお、インボイス制度の導入にあたっては、激変緩和措置がいくつか設けられています。これから課税事業者になる方は、そうした緩和措置・支援措置も活用しましょう。
インボイス制度はどう対応すべき?
インボイス制度(適格請求書保存方式)とは、請求書の発行・保存方式を定めた制度です。制度が導入されると、以下の点が変更になります。
買い手 | 仕入税額控除を利用するためには、適格請求書を正しい方法で保存しなければならない |
売り手 | 適格請求書を発行するためには、事前登録が必須 |
インボイス制度を理解するうえでポイントになるのが「仕入税額控除」と「適格請求書」です。以下では、それぞれの用語について詳しく解説します。
「仕入税額控除」とは?
仕入税額控除とは、事業に関する仕入をした際に、仕入にかかった消費税額を納税額から差し引ける制度です。例えば、以下のような流れで仕入税額控除を利用できます。
- 売上税額300円 – 仕入税額100円 = 納税額200円
仕入税額控除は、二重課税を防ぐために導入された制度です。例えば、税込1,100円の商品を仕入れた場合、仕入税額控除がないと、仕入れ時と販売時どちらにも消費税が発生してしまいます。こうした二重・三重の課税を防ぐために導入されたのが、仕入税額控除なのです。
インボイス制度が導入された場合、適格請求書を規定の方式で保存しないと、仕入税額控除が利用できなくなります。適格請求書でないと、正確な消費税額を把握するのが難しいと考えるためです。仕入税額控除が利用できなくなった場合、今までよりも多くの消費税を納税しなくてはいけなくなります。
「適格請求書(インボイス)」とは?
適格請求書(インボイス)とは、インボイス制度において定められている事項を記載した請求書です。具体的には、以下の事項を記載している必要があります。
- 発行者名(事業者名)および登録番号
- 取引をした年月日
- 取引の内容(商品名等)
- 税率ごとの合計金額(税込または税抜)と税率
- 税率ごとの消費税額
- 購入者名
適格請求書は、事前に事業者として登録を行った「適格請求書発行事業者」のみが発行できます。
適格請求書発行事業者になるメリット
適格請求書発行事業者になるメリットは、以下のとおりです。
- 適格請求書を発行できるようになる
- 取引先が仕入税額控除の利用を継続できる
- 取引停止や報酬減額を防げる
- 取引先が増える可能性がある
適格請求書発行事業者になれば、適格請求書を発行できます。取引先は仕入税額控除を利用し続けられるので、取引停止や報酬減額になるリスクもありません。また「適格請求書発行事業者でないと取引しない」という会社でも取引できるので、取引先が増え、結果として売上が増える可能性があります。
適格請求書発行事業者になるデメリット
適格請求書発行事業者になるデメリットは、以下のとおりです。
- 消費税の納税義務が生じる
- 免税事業者だった人は所得が減る可能性がある
- インボイス対応や消費税計算などの業務負担が発生する
適格請求書発行事業者は、消費税が免税になりません。消費税免税事業者だった個人事業主でも、消費税を納めなくてはならないので、所得が減ってしまう可能性が高いといえます。また、インボイス対応や消費税計算・納税といった業務負担が増えるのも、適格請求書発行事業者になるデメリットです。業務負担が増えてしまうので、事業に時間を割きにくくなるリスクがあります。
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簡易課税制度で消費税を計算する流れ
簡易課税制度で消費税を計算し、納税するためには、事前の手続きが必要です。具体的な流れは、以下のとおりです。
- 「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出
- 自分の事業区分とみなし仕入れ率を確認する
- 消費税額を計算し、納税する
以下では、簡易課税制度で消費税を計算し、納税する流れを解説します。
①「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出
まずは、所轄の税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出します。以下では、記入方法が分からなくなりやすい部分に絞って、記載内容を解説します。
項目 | 記入内容 |
①の基準期間 | 個人事業主は、適用開始期間の前々年を記入 |
②の課税売上高 | 適用期間前々年の課税売上高を記入。5,000万円以下である必要がある。 |
提出要件の確認 | 「既に課税事業者である人(本則課税で計算していた人)」はイ、「設立1・2期目の期首段階で資本金1,000万円以上である法人」などはロ、「1単位で1,000万円以上の仕入をしている人」はハをそれぞれ記入上記以外は「いいえ」を選択 |
税理士署名 | 税理士の署名、自分でやる場合は不要 |
「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出期限は、課税期間初日の前日までです。例えば、1月1日〜12月31日を課税期間とする場合、前年の12月31日が提出期限となります。提出は、以下の方法で行えます。
- 所轄の税務署の窓口に持ち込む
- 所轄の税務署に郵送する
- e-Taxで提出する
②自分の事業区分とみなし仕入れ率を確認
届出書を作成する際にも確認しますが、消費税額を計算する際にも、あらためて「事業区分」と「みなし仕入れ率」を確認しましょう。
事業区分 | みなし仕入率 | 該当する事業 |
第1種事業 | 90% | 卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。 |
第2種事業 | 80% | 小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第1種事業以外のもの)、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業)をいいます。 |
第3種事業 | 70% | 農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業および水道業をいい、第1種事業、第2種事業に該当するものおよび加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。 |
第4種事業 | 60% | 第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業および第6種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業などです。なお、第3種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第4種事業となります。 |
第5種事業 | 50% | 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第1種事業から第3種事業までの事業に該当する事業を除きます。 |
第6種事業 | 40% | 不動産業 |
事業区分とみなし仕入れ率を確認したら、消費税の計算に進みます。
③消費税額を計算
簡易課税制度を選択した場合、以下の流れで売上税額(納税額)を計算します。
- 売上税額 × みなし仕入率 = 仕入税額
- 売上税額 – 仕入税額 = 売上税額(納税額)
上記のように、売上税額にみなし仕入れ率をかけたものを、そのまま仕入税額として控除できます。仕入税額を細かく計算しなくてよいので、税理士を雇っていない個人事業主でも簡単に計算できるのが魅力です。
【補足】納税方法
消費税の納税方法は、以下から選択できます。
- 電子納税(e-Tax)
- 口座振替
- ネットバンクからの納税
- クレジットカード納付
- アプリからの納税
- コンビニ納付
- 金融機関や税務署窓口での現金納付
参考:国税庁『税金の納付』
納税期限は、原則として課税売上が発生した翌年の3月31日までです。確定申告期限と同じ日が納税期限となりますので、申告時に併せて納税しましょう。
簡易課税制度に関するよくある質問
インボイス制度のスタートにあわせて課税事業者になる人は、届出書の提出方法や、出し忘れなどについて疑問を抱くかと思います。以下では、簡易課税制度に関するよくある質問2つに回答していきます。
「消費税簡易課税制度選択届出書」はe-Taxで提出できる?
「消費税簡易課税制度選択届出書」は、e-Taxで提出することも可能です。e-Taxで提出する場合でも、所轄の税務署がどこかを選択する必要がありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
「消費税簡易課税制度選択届出書」を出し忘れたら?
「消費税簡易課税制度選択届出書」を出し忘れた場合、やむを得ない理由があった場合は、送れて提出しても問題がないケースがあります。
- 天災・人災・火災などにより提出できなかった
- 災害に準ずる状況にあって提出できなかった
- 課税期間末日の1ヶ月位内に相続したため間に合わなかった
- そのほか、税務署長がやむを得ないと認めた場合
また、課税期間を特例で短縮して対応することも可能です。「消費税課税期間特例選択・変更届出手続」を提出すれば、課税期間を3ヶ月ごと、もしくは1ヶ月ごとに変更できます。例えば、年始に気付いた場合、2月から3ヶ月ごとに課税期間を設定することにして、1月末までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する、といった対応ができます。
ただし、提出が遅れ課税期間にできなかった期間に関しては、適格請求書発行事業者でなくなりますのでご注意ください。
事業年度を変更してしまうといった対応方法もあります。1月1日でなく、2月や3月を事業年度のスタートとして、1月末日を提出期限にするという対応方法です。ただし、この方法でも1月中は免税事業者扱いになるので、適格請求書発行事業者ではなくなる点に注意しましょう。
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まとめ
簡易課税制度は、売上税額を簡単に計算できる制度です。事務作業の手間が低減し、かつ売上税額が少なくなる可能性もある魅力的な制度となっています。しかし、仕入税額の把握がしにくくなる点や、通常よりも納税額が多くなるケースがある点には注意が必要です。実施に前年の仕入税額と売上税額を計算するなどして、本則課税と簡易課税どちらにすべきかを検討しましょう。
- 簡易課税制度は、売上税額を簡単に計算できる方法だよ!
- 簡易課税制度を利用したい場合は事前の申請が必要だから注意しよう
- 10月1日から簡易課税制度を利用する場合、締め切りは9月30日だよ!
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