アメリカの隣にあるカナダは、自然豊かで経済的にも発展しており、ビジネスに適した地です。移民や新規労働者の受け入れも盛んで、日本からビジネスのために移住する方も少なくありません。
本記事では、そんなカナダの税金について詳しく解説します。カナダでの起業についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
- カナダは治安がよく行政サービスも充実していて、かつ税金負担も重すぎずビジネスに適している国だよ!
- これからカナダでの起業を考えている人は、スタートアップビザを活用するのがおすすめ
- ただし物価高騰や住宅不足といった社会問題もあるから、現地の最新情報を調べたうえで、関係機関にも相談しながら進めよう!
目次
カナダの基礎知識
カナダは、北アメリカ大陸の北側に位置する国です。首都はオンタリオ州オタワで、国土は909万k㎡と世界二位の広さを有しています(一位はロシア)。
しかし、国土の半分以上は森林が占めているため、人が住める面積は決して広くありません。人口も約3,200万人とアメリカの1/10、日本の1/4ほどです。
使用通貨はカナダドル(CAD、以下:ドル)、公用語(言語)は英語とフランス語です。英語とフランス語は、どちらもカナダ式のものとなっています。多くの地域では英語が公用語となっていますが、ケベック州や隣接するオンタリオ州やニューブランズウィック州では、フランス語を話す人もいます。
時差とサマータイム
カナダとの時差は、首都オンタリオ州オタワとは14時間、バンクーバーとは17時間となっています。
国土が東西に長いため、サスカチュワン州以外の全州ではサマータイムを導入しているのも特徴です。毎年3月の第2日曜日に1時間時計を進め、11月最初の日曜日に戻します。
そのため、サマータイム中は日本との時差が1時間縮まります。
アメリカとは異なる言語と通貨
アメリカに隣接しているため、言語や通貨も一見同じように思えますが、厳密には異なります。言語は英語ですが、イギリス英語とアメリカ英語両方の特徴を持っているカナダ英語を話します。
通貨はカナダドルで、アメリカのUSドルとは異なる通貨です。しかし、特に硬貨は見た目が似ているため、カナダドル硬貨にアメリカドル硬貨が混ざっていることもしばしば。
アメリカドルを使用できる場所もあるようですが、そもそもアメリカドルとカナダドルはレートも異なる別通貨ですので、基本的には使用できないと考えましょう。
安い or 高い?カナダの税金一覧!
カナダの税金には、以下のようなものがあります。
- 消費税
- 法人税
- 給与税
- 炭素税
- 贅沢税・物品税
- 株式買い戻し課税
- 固定資産税
- 譲渡税
- 連邦資本税
- 州都税
- 関税
- デジタルサービス税
それでは、それぞれの税金についてどういって税金なのか、税率は何%かを解説します。なお、情報は執筆時点(2025年1月)のものです。最新の情報は、日本政府およびカナダ政府のホームページをご確認ください。
消費税
カナダの消費税は、州によって税率がまったく異なります。まず、どんな消費税制度があるかを見てみましょう。
- 連邦消費税(Goods and Services Tax:GST):いわゆる消費税
- 州消費税(Provincial Sales Tax:PST):いくつかの州が課税している消費税
- 連邦売上税(Harmonized Sales Tax:HST):GSTとPSTをあわせた税金
それでは、州ごとにどの消費税(売上税)を導入しているのか、また税率は何%かを紹介します。
州 | GST | PST | HST | 合計 |
アルバータ州 | 5% | – | – | 5% |
ブリティッシュコロンビア州 | 5% | 7% | – | 12% |
マニトバ州 | 5% | 7% | – | 12% |
ニューブラウンズウィック州 | – | – | 15% | 15% |
ニューファンドランド・ラブラドール州 | – | – | 15% | 15% |
ノバスコシア州 | – | – | 15% | 15% |
オンタリオ州 | – | – | 13% | 13% |
プリンスエドワードアイランド州 | – | – | 15% | 15% |
ケベック州 | 5%: | 9.975% | – | 14.975% |
サスカチュワン州 | 5% | 6% | – | 11% |
ノースウエスト準州 | 5% | – | – | 5% |
ヌナブト準州 | 5% | – | – | 5% |
ユーコン準州 | 5% | – | – | 5% |
参考:カナダ政府『GST/HST calculator (and rates)』
課税対象、非課税となるもの、各種控除などについては、州ごとに異なります。
なお、カナダでは2024年12月14日から2025年2月15日までの間「全国民のための減税法」が施行されました。飲食料品・外食・子供服・書籍といった対象品目について、期間中はGSTやHSTが免除となります。
参考:カナダ政府『GST/HST break』
法人税
カナダの法人税には「連邦法人所得税」と「州法人所得税」があります。
- 連邦法人所得税:15%(条件を満たす中小企業は9.0%)
- 基本税率38% – 州法人所得税控除10% – 減税13% = 15%
- 州法人税所得税:州や企業規模などにより異なる
つまり、カナダの法人税は「連邦法人所得税 + 州法人所得税」の合計で決まるのです。州法人所得税は税率が2つあり、どの税率になるかは企業規模や業種によって異なるため注意しましょう。
州 | ハイレート | ローレート |
アルバータ州 | 8% | 2% |
ブリティッシュコロンビア州 | 12% | 2% |
マニトバ州 | 12% | なし |
ニューブラウンズウィック州 | 14% | 2.5% |
ニューファンドランド・ラブラドール州 | 15% | 2.5% |
ノバスコシア州 | 14% | 2.5 |
オンタリオ州 | 11.5% | 3.2% |
プリンスエドワードアイランド州 | 16% | 1% |
ケベック州 | 11.5% | 3.2% |
サスカチュワン州 | 12% | 1% |
ノースウエスト準州 | 11.5% | 2% |
ヌナブト準州 | 12% | 3% |
ユーコン準州 | 12% | 0% |
*:アルバータ州の最小レートは、居住金融関係法人の税率を参照しています。
*:ローレートは事業限度額$500,000以下の中小企業に適用されます。
参考:カナダ政府『Corporation tax rates』
参考:アルバータ州『ALBERTA CORPORATE TAX ACT』
参考:ケベック州『Taxation in Québec』
上記の税率は変更となる可能性があります。最新情報は、国または州のホームページをご確認ください。
個人所得税
カナダの個人所得税は、法人税と同様に連邦税と州税がかかります。まずは、連邦所得税率を見てみましょう。
カナダの連邦所得税率
課税所得基準 | 税率 |
57,375ドル以下の部分 | 15% |
57,375ドル超〜114,750ドル以下 | 20.5% |
114,750ドル超〜177,882ドル以下 | 26% |
177,882ドル超〜253,414ドル以下 | 29% |
253,414超 | 33% |
上記のプラスして、州所得税がかかります。
カナダの州所得税率
州 | 税率 |
アルバータ州 | 10〜15% |
ブリティッシュコロンビア州 | 5.06〜20.5% |
マニトバ州 | 10.8〜17.4% |
ニューブラウンズウィック州 | 9.4〜19.5% |
ニューファンドランド・ラブラドール州 | 8.7〜21.8% |
ノバスコシア州 | 8.79〜21% |
オンタリオ州 | 5.05〜13.16% |
プリンスエドワードアイランド州 | 9.8〜16.7% |
ケベック州 | 14〜25.75% |
サスカチュワン州 | 10.5〜14.5% |
ノースウエスト準州 | 5.9〜14.05% |
ヌナブト準州 | 4〜11.5% |
ユーコン準州 | 6.4〜15% |
参考:ケベック州税務局『Income Tax Rates』
おおよそ9〜18%ほどですが、例えばヌナブト準州は最低税率4〜11.5%、ニューブラウンズウィック州は9.4〜19.5%と税率が大きく異なります。最新の州所得税率については、カナダ政府および各州の政府・主税局ホームページをご確認ください。
給与税
給与関連の税金には、社会保障税、州(準州)給与税、非居住従業員の源泉徴収税があります。
まず社会保障税は、従業員1人あたり年金拠出金を最大4,055.50ドル、雇用保険料として最大1,468.77ドル納める必要があります。*1
そして、州(準州)の給与税は、以下の州が対象となっており、最大1.95〜4.3%を納めます。* 2
- ブリティッシュ・コロンビア州
- マニトバ州
- ニューファンドランド・ラブラドール州
- オンタリオ州
- ケベック州
非居住従業員に対しては、個人所得税の源泉徴収が必要となります。源泉徴収税率は原則15%です。なお、適格非居住従業員や非居住雇用主認定には一定の条件があります。
*1:雇用主がケベック州居住だった場合は、年金拠出金を最大4,348.00ドル、雇用保険料を最大1,167.94ドル、州育児保険拠出金として最大650.48ドル納めます。 年金保険料は段階的に引き上げられることが決定しています。
*2:追加で、給与総額200万ドル以上のケベック州の雇用主は給与総額の1%を、ノースウェスト準州とヌナブト準州の雇用主は、従業員給与から雇用収入の2%相当の給与税を差し引きます。
炭素税
カナダは気候変動への対応と、クリーンで持続可能な成長を目指し、炭素税を導入しています。税率は段階的に引き上げられ、最終的には2030年にはCO2e 1tあたり170ドルになるようです。
現在は、CO2e 1tあたり80ドル、ガソリンなら1Lあたり0.1764ドル、ディーゼルは1Lああり0.2139ドル相当となっています。
なお、温室効果ガス排出量が50kt CO2e を超える産業施設は「OBPS(Output-Based Pricing System)」の対象となり、設定した排出枠を下回ればGHGオフセット・クレジットを獲得、超過した場合は違約金支払いが必要になります。
このほかにも、バックストップ管轄区域・管轄外区域における取り組みや、クリーン燃料規制など、環境保護のためのさまざまな対策をしています。
贅沢税・物品税
贅沢税は、高級車や個人用航空機、船舶などが対象です。10〜20%が課税されます。物品税は酒やタバコが対象で、州によって異なりますが、約10〜20%、もしくは一定金額を納める必要があります。
株式買い戻し課税
株式買い戻し課税は、2023年12月31日以降に、にカナダ居住法人が買い戻した株式に対して課税されます。税率は10%です。
固定資産税
固定資産税は、国内不動産の推定市場価格に基づいて納税額が決定します。税制は州ごとに異なり、居住者・非居住者でも異なるので注意しましょう。税率は約0.5〜2%です。
譲渡税
譲渡税は、土地を譲渡・登録した場合に土地購入者に対してかかる税金です。税率は0.04〜5%で、州ごとに異なるので確認しましょう。
連邦資本税
カナダ国内で運用している課税資本が10億ドル超の場合が対象となる税金です。税率は1.25%となっています。
州都税
州の金融機関を対象とする税金です。払込資本金の額や、内容によって対象や税率が異なります。
- マニトバ州:6%
- ニューブラウンズウィック州:4〜5%
- ニューファンドランド・ラブラドール州:6%
- ノバスコシア州:4%
- プリンスエドワード州:5%
- サスカチュワン州:4%
また、例えばケベック州では金融機関従業員の給与に対して2.8%の補償税が課せられているなど、州ごとに税制が大きく異なるので注意しましょう。
関税
カナダへ輸入される商品への関税は、分類や原産国、申告額などによって関税額が異なります。自由貿易協定(FTA)を結んでいない多くの国に関しては「最恵国(MFN)」の関税率が対象となります。
カナダ・米国・メキシコ協定 (CUSMA) や、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)などの加盟国に関しては、協定の内容に応じて課税額が異なる場合があります。
また、物品によっては反ダンピング関税や物品税などの対象となるケースもあります。
関税は非常に複雑です。カナダへの輸出を検討している場合は、税関や日本貿易振興機構(JETRO)などに問い合わせのうえ、最新情報を確認しましょう。
参考:JETRO『カナダ 関税制度』
デジタルサービス税(DST)
デジタルサービス税(以下、DST)は、前年の全世界収入が7億5,000万ユーロ以上で、特定年のカナダ人関連収益が2,000万ドル超の法人のうち、デジタルサービスで収益を得ている大規模グローバル企業に対して課される税金です。条件を満たす事業収益に対して課税され、税率は3%となっています。
なお、DSTに対してはアメリカ等から批判を受けており、2024年8月30日には、米国通商代表部が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づく紛争解決協議を要請したと発表しました。
参考:JETRO『米USTR、カナダのデジタルサービス税に対してUSMCAに基づく協議要請』
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カナダと日本の税金を比較してみよう!
カナダへの移住や現地起業を考えている方は「日本と税金はどう違うの?」と疑問を抱くでしょう。では、事業に大きく関わる「所得税」「法人税」「消費税」がそれぞれどう違うのか、詳しく解説します。
個人所得税
カナダの個人所得税は、日本と同じく累進課税(所得額に応じて税率が変動)となっており、連邦所得税と州所得税がそれぞれかかります。あらためて、税率を確認してみましょう。
- カナダ
- 連邦所得税:15〜33%
- 州所得税:州により大きく異なる。9〜17%前後
- 日本
- 5〜45%
- 別途、個人事業税(3〜5%)がかかる。
カナダと日本どちらも累進課税なので、どちらが税率が高いかは課税所得額によります。最低税率で考えれば日本のほうが低税率ですが、高所得者の場合は、州によっては日本のほうが税率が高くなるでしょう。
参考:カナダ政府『Income tax rates for individuals』
参考:東京都主税局『個人事業税』
法人税
法人税については、財務省が『諸外国における法人実効税率の比較』についての資料を公開しています。
法人実効税率とは、企業が実際に負担している税率のことです。法人税だけでなく、地方法人税や法人事業税なども含めた税率を意味します。それでは、カナダと日本の法人実効税率を紹介します。
- カナダ:26.50%
- 日本:29.74%
カナダの法人税は、州や業種などによって異なりますが、おおよそ10〜30%ほどと考えておくと良いでしょう。一方、日本の法人税はおおよそ15〜23.20%です。
税率だけを見ると大きく変わらないように見えますが、ほかの税制も含めると、税負担は日本のほうが大きいようです。
参考:財務省『諸外国における法人実効税率の比較』
参考:カナダ政府『Corporation tax rates』
参考:国税庁『No.5759 法人税の税率』
消費税
消費税に関しては、カナダは幅広い品目が軽減税率の対象になっており、対象のものは0%です。2025年2月15日まではより幅広い品目の消費税が免税となっているため、日本より低税率と言えるでしょう。
しかし、前述したように、カナダは州によって消費税率が大きく異なります。日本の消費税率は8〜10%ですが、カナダは15%の税率となっている州も珍しくありません。
とはいえ、食料品・水道代・医療費など、生活に欠かせないものの多くは免税なので、やはり日本よりも消費税負担は少ないといえるでしょう。
カナダで起業したい!ビザや手順について
カナダで起業する場合、ビザや法人登録などさまざまな手続きが必要です。以下では、カナダでの起業に関するおおまかな流れを解説しますので、起業を検討している方はぜひ参考にしてください。
カナダでの起業に向けた準備
カナダで起業する場合、ビザ取得や銀行口座開設などの準備が必要です。
- 会社種別の選択
- ビザの取得
- 銀行口座の開設
- 申請書類の作成
- 会社登録
カナダの会社種別には「個人事業主」「パートナーシップ」「法人」があります。パートナーシップは誰かと共同で起業するケースです。
スタートアップビザについて
カナダのビザにはさまざまな種類がありますが、今回は「スタートアップビザ」を紹介紹介します。スタートアップビザは、将来性のあるビジネスの起業家に対して、永住権申請を可能にするビザです。
以下のようなビジネスを対象としています。
- 革新的であること
- 世界規模で競争できること
- カナダ国民の雇用機会を創出できる
参考:JETRO『カナダのスタートアップ・ビザ・プログラムについて』
そして、以下の条件を満たす必要があります。
- 対象ビジネスである
- ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家グループ、政府公認インキュベーター等から推薦を受けている
- CLB5やNCLCなどで設定された最低限の言語能力を有している
- 自身と自身の家族が生活するための十分な資金を持っている
- 必須ではないが、高校以上の学校を卒業している場合は有利になるケースがある
引用:JETRO『カナダのスタートアップ・ビザ・プログラムについて』
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家グループ等から推薦を受けるため、一定のお金が必要になる点には注意しましょう。
スタートアップビザの申請手続きの流れは、以下のとおりです。
- 事業計画書の準備
- 指定機関からの推薦の確保
- 永住権申請
- 健康診断の受診、犯罪経歴証明書の取得
- スタートアップ・ビザ・プログラムの枠組みでカナダへ入国
引用:JETRO『カナダのスタートアップ・ビザ・プログラムについて』
カナダでの会社設立手続き
カナダで起業する際には、会社名・所在地・取締役会名簿・役員署名・定款などの情報を法人庁に申告します。申請は、オンラインやEメールのほか、郵送でも可能です。
申請費用は、オンライン申請の場合は200ドル、Eメールや郵送の場合は250ドルかかります。オンラインは1営業日、Eメールや郵送は10営業日ほどかかりますが、追加100ドル払うと優先的に処理してもらうことが可能です。
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カナダで起業するメリット
カナダで起業するメリットは、以下のとおりです。
- 移民受け入れを推進しており移住しやすい
- 行政サービスが充実している
- GDPランキング上位の経済先進国
それでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。
移民受け入れを推進しており移住しやすい
カナダは、多くの移民を受け入れている国として有名です。
そもそもカナダは先住民とイギリス・フランス移民によって作られた国家です。多文化主義政策を初めて導入した国でもあり、さまざまな国の人種・文化を受け入れ、形成されてきました。
そんなカナダは、現在も多くの移民を受け入れており、2016〜2021年の間で130万人もの新規移民が移住しています。日本人も7万人ほどが住んでおり、世界4位の多さです。こうした多民族国家では、日本人でも過ごしやすいと言えるでしょう。
一方で、昨今は移民の急増による住宅・行政サービスの逼迫が問題となっており、移民受入数を2割程度減らす方針を打ち出しました。とはいえ、国外の人でも過ごしやすい環境というのは変わらないでしょう。
行政サービスが充実している
カナダは福祉が充実していることでも有名です。例えば医療面では、日本と同様に医療保険制度が整備されており、診察や検査が無料です(適用外あり)。
また教育面では、幼稚園から高校卒業までの授業料が無料、ケベック州は20歳まで義務教育の対象として、授業料が無償化されています。教育水準も非常に高く、OECDの学習到達度調査(PISA)では、OECD加盟国中で数学的リテラシー5位、読解力5位、科学的リテラシー4位と素晴らしい結果を収めています。
参考:文部科学省 国立教育政策研究所『OECD生徒の学習到達度調査 PISA2022のポイント』
GDPランキング上位の経済先進国
カナダは、GDPランキング10位、一人あたりGDPも10位と経済的にも豊かな国です。
- 1位:アメリカ(277,207億ドル)
- 2位:中国(177,948億ドル)
- 3位:ドイツ(45,257億ドル)
- 4位:日本(42,045億ドル)
- 5位:インド(35,676億ドル)
- 6位:イギリス(33,809億ドル)
- 7位:フランス(30,518億ドル)
- 8位:イタリア(23,009億ドル)
- 9位:ブラジル(21,737億ドル)
- 10位:カナダ(21,425億ドル)
引用:財務省『主要経済指標』
税制上ビジネスに適した国は多くありますが、国内市場が小さくビジネスをスケールしにくい国が少なくありません。税制や行政サービスの面でビジネスがしやすく、さらに経済的に豊かで一定の国内市場があるのは非常に魅力的です。
また、世界トップの経済大国であるアメリカに隣接しているため、よりビジネスを拡大していきたいときにも有利でしょう。
カナダで起業するデメリット
経済面や行政サービスなどがハイレベルなカナダですが、起業するうえではいくつかのデメリットもあります。
- 国内起業と比べてコストがかかる
- 州ごとの税金も納める必要がある
- 州によって税制が違う
デメリットもしっかりと把握したうえで、起業するかを判断しましょう。
国内起業と比べてコストがかかる
カナダ起業の大きなメリットは、やはりコストです。
渡航費、土地や物件の取得費、現地通訳や弁護士等への依頼費用、ビザの取得費用など、さまざまなコストがかかります。また、カナダに住むための住居も必要です。
昨今は円安が進み、2000年代は1ドル=100円前後、2010年代は85円前後だったのが、110円ほどになっています。
さらに、カナダは物価が高いことでも有名です。日本での生活コストの約1.2〜1.8倍ほどかかると考えておきましょう。特に首都圏は家賃が高いため、日本在住時よりも生活コストが飛躍的に上がることは大きな懸念点です。
もちろん、そのぶん大きな売上も見込めますが、初期費用や生活コストが高いことはしっかりと考慮したうえでビジネスプランを考えましょう。
州によって税制が違う
カナダは連邦税と州税がわかれている税金があります。代表的なのは、消費税や法人税です。
日本も、自治体に納めるものと国に納めるものが合算になっているケースはありますが、地域ごとに税率が大きく異なる、といったことはほぼありません。
カナダの税金に関するよくある質問
カナダで起業したい方は、以下のような疑問を抱くのではないでしょうか。
- カナダの所得税は廃止されたの?
- バンクーバーの税金は高い?
- カナダが抱えている社会問題は?
それでは、カナダの政治や税金に関するよくある質問について、以下で回答します。
カナダの所得税は廃止されたの?
カナダの所得税は廃止されていません。個人所得税、法人所得税、給与税などを納める必要があります。
一方で、2024年12月14日〜2025年2月15日まで、日用品のGSTやHSTが免税となる「全カナダ人のための減税法(Tax Break for All Canadians Act)」が可決、施行されました。そのため、日本でいう消費税に関しては、一部品目は免税となっています。
バンクーバーの税金は高い?
バンクーバーの税金は、他の州と比較して著しく高いということはありません。バンクーバーのあるブリティッシュコロンビア州の税金を見てみましょう。
- 消費税(GST+PST):12%
- 法人税:2〜12%
- 所得税:5.06〜20.5%
他州と比較すると丁度平均的、もしくは若干高い程度です。
カナダが抱えている社会問題は?
カナダが抱えている問題としては、移民や経済面などの問題があります。
- 先住民問題の長期化
- パリ協定に基づいた温室効果ガス排出削減への取り組み
- 都市部の住宅価格高騰
- 移民問題と受け入れ削減
多くは、日本をふくむ多くの国が抱えている問題であり、現状や対策が参考になる部分も多いでしょう。
先住民問題の長期化
カナダには、ファースト・ネーションやメティス、イヌイットなどの先住民が住んでいます。こうした先住民について、格差や土地権、行政サービスへのアクセスのしにくさが長く問題視されています。
パリ協定に基づく温室効果ガス排出削減への取り組み
カナダは自然資源豊かな国ですが、化石燃料依存の経済となっており、環境汚染が問題視されています。また、オイルサンド開発も盛んで、開発による環境への影響もあるとされています。
都市部の住宅価格高騰
首都圏の住宅価格が高騰しており、格差拡大の一因となっています。また、所得格差も拡大傾向で、経済格差是正に向けた取り組みが課題となっています。
移民問題と受け入れ削減
カナダはこれまで多くの移民を受け入れてきました。1950年代のベビーブーム以来の人口増加率となった2024年ごろは、増加分の98%が移民を占めていたほど。
しかし、急激な移民増加による住居不足や社会サービスの逼迫などが問題となり、2025年からは、年50万人程度から36.5万人まで受け入れ人数を段階的に削減していく方針を表明しました。
まとめ
カナダは移民受け入れに寛容で、行政サービスが充実しており、経済的にも発展しているビジネスに適した国です。海外での事業展開を検討している方は、ぜひカナダでの起業も検討してみてはいかがでしょうか。
- カナダは治安がよく行政サービスも充実していて、かつ税金負担も重すぎずビジネスに適している国だよ!
- これからカナダでの起業を考えている人は、スタートアップビザを活用するのがおすすめ
- ただし物価高騰や住宅不足といった社会問題もあるから、現地の最新情報を調べたうえで、関係機関にも相談しながら進めよう!
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