個人事業主は経費を計上することで、所得を抑えて節税ができます。経費を活用した節税方法は多数あるため、自分にできることを把握するのも重要です。
本記事では個人事業主が経費を使って節税するテクニックと、利用できる控除について解説します。節税の勉強をしている人は、こちらで経費を活用したテクニックをぜひ学んでみてください。
- 個人事業主は経費を使った節税テクニックがたくさんあるよ。
- 経費はきちんと計上して申告していれば、節税になって手取りを増やすことにつながるよ!
- 一方で計算ミスや証拠の書類を出せないものは経費として認められないこともあるから気を付けようね!
目次
節税のテクニックってあるの?
個人事業主として働く際には、さまざまな出費が経費になり得ます。経費は節税につながるお金であるため、基本を押さえて活用することがポイントです。
経費や控除を使って課税所得を抑えることが可能
個人事業主は経費や控除を使って、課税所得を抑えることが可能です。「収入 ー 経費」で所得を割り出せるため、経費が多いほど節税につながります。
個人事業主の経費を節税として利用するには、自ら申告しなければなりません。税務署は個別に経費についての確認をしてくれないため、自分の意思で経費の計算と計上をする必要があります。
【基本】個人事業主が支払う税金の種類について
経費による節税のテクニックを把握する際には、まず個人事業主が支払うことになる税金の種類を、事前に確認しておくことが重要です。
所得税について
所得税とは、個人事業主が年間に稼いだ所得の総額をもとに計算される税金です。所得税の課税対象となる所得の額は、「売上 ー 経費 + 控除」といった形で計算できます。
住民税について
住民税とは、住民票がある都道府県および市町村に収める税金です。前年の所得をもとに納税額が計算され、毎年送付される納付書で納税します。住民税は一括で支払う方法と、分割で支払う方法を選べます。
消費税について
商品やサービスの購入・利用時に発生する税金です。消費税自体は消費者が支払いますが、納付は事業者が行います。年間の売上が1,000万円以下の事業者は、免税事業者となるため消費税の納税が免除されます。
個人事業税について
個人事業税とは、特定の事業を営んでいる事業者に課税される税金です。事業の種類ごとに、3〜5%の税率がかかります。どのような事業が個人事業税の対象となるのかは、各都道府県のホームページなどで確認可能です。
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個人事業主が経費を使って節税するテクニック6選
個人事業主が経費を使って節税を実現するには、いくつかのテクニックを把握することがポイントです。以下では、節税につながるテクニックを紹介します。
普段から使用している消耗品はすべて経費にする
事業に必要な事務用品などは、消耗品費として経費にできます。しかし、普段から使用している消耗品はつい忘れがちになり、金額も少ないため放置してしまうことが多いです。年間を通すと消耗品費も大きな金額になるため、積極的に経費として計上することがテクニックの1つです。
事業に使っている水道光熱費や家賃は家事按分で経費にする
自宅やオフィスを借りて仕事をしている場合、事業用の支払いを経費にできます。特に家賃などは大きな出費となるため、経費にすることで課税所得を大きく抑えられます。
事業の経費にする際には家事按分をし、プライベートと明確に区別をつけておく必要があります。事業で使用している範囲以上の金額を経費にすると、税務調査で問題視される可能性があります。
通信費や車にかかる費用も経費にできる
ネットを活用して仕事をする場合、通信費を経費にできます。また、車が事業に欠かせない場合には、修理代、ガソリン代、駐車場代なども経費として計上可能です。
事業の中身に合わせて、固定費を経費にすることは節税のテクニックになります。通信費や車にかかる費用も、プライベートで使用している場合には、家事按分が必要です。
食事代や交通費も事業に必要であれば忘れず経費にする
食事代や交通費も、事業に必要なものなら経費にできます。レシートや領収書を受け取り、忘れず経費に計上する習慣を身に付けると良いでしょう。
しかし当然ながら、通常の食事やプライベートの旅行などにかかった交通費は、経費の対象外となるため注意しましょう。
経費にならない出費を見直すのもテクニック
経費にならない出費を確認し、全体のコストを見直すのもテクニックの1つです。プライベートで使用するものを購入したお金は、基本的にすべて経費になりません。
そのためプライベートに関する部分の出費を抑えめにすることで、手取りを増やすことが可能です。無駄な出費を削るという点では、一般的な節約方法に通じるものがあります。
減価償却資産に関する特例
減価償却資産とは、購入時の金額が10万円以上の資産で、かつ時間が経つにつれてそのものの価値が減っていく資産のことを指します。
個人事業主は、青色申告をしている場合には減価償却資産に関する特例を利用できます。具体的には、20万円未満の減価償却資産を、経費として計上することができます。3年で償却することも選べるので、自分に合った方を選びましょう。
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控除を活用する節税テクニック6選
個人事業主は控除を活用して、節税を実現することも可能です。以下では、個人事業主が活用できる控除の種類を5点解説します。
社会保険料控除で節税する
社会保険料控除とは、生活に欠かせない社会保険に必要な保険料を控除する制度です。健康保険、国民年金、国民年金基金、介護保険などの支払い額は、全額を控除できます。
家族の分も支払っている場合には、それらの合わせて全額を控除可能です。確定申告の前に年間で支払った各種保険料の総額が通知されるため、内容を確認して控除に利用しましょう。
生命保険料控除で節税する
生命保険などに加入している場合、その掛金も控除対象になります。具体的には民間の生命保険、介護医療保険、個人年金の掛金などが該当します。生命保険料控除の金額には上限があり、120,000円が最大となります。新契約の場合は、以下の計算式で控除額が決まります。
年間の支払い保険料 | 控除額 |
20,000円以下 | 全額 |
20,000〜40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000〜80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円以上 | 一律40,000円 |
配偶者控除(配偶者特別控除)で節税する
生計を一緒にしている配偶者がいる場合、配偶者の所得に応じて控除を受けられます。控除を受ける本人の所得が1,000万円以下であり、かつ配偶者の所得が48〜133万円以下の場合には、配偶者特別控除が受けられます。配偶者の所得が48万円以下の場合には、配偶者控除となります。
どちらも所得次第で、最大38万円が控除されます。
寄附金控除(ふるさと納税)で節税する
寄附金控除とは、国や市町村、認定NPO法人などに寄付した際に受けられる控除です。近年話題となっているふるさと納税も、この寄附金控除に含まれます。寄附金控除額は、「その年中に支出した特定寄附金の額の合計額 - 2,000千円 」で計算できます。
青色申告特別控除で節税する
個人事業主として「所得税の青色申告承認申請書」を管轄の税務署に提出すると、青色申告特別控除が受けられます。
最大で65万円の控除を受けられるため、個人事業主として活動していくのなら、早めに青色申告を始めるのがおすすめです。
医療費の控除を利用する
医療費が年間10万円を超えていなくても医療費の控除を利用できることがあります。
年間の総所得額が200万円を超えない場合は、総所得金額等の5%分、医療費の控除を利用することができます。自分の総所得額を計算して、給与所得控除を引いた総所得が200万未満の場合は、医療費の控除を受けられるので、使える可能性があれば検討してみましょう。
確定申告の際に使える節税テクニック2選
個人事業主は、年間の所得が48万円を超えた場合には確定申告が必要になります。年間の所得が48万円を超えていないフリーランスも確定申告を行うこと自体は可能です。確定申告をすることによってフリーランスは様々なメリットがあるため、フリーランスは確定申告をするのがおすすめです。
そんな確定申告を利用した際の節税テクニックがあるのでご紹介します。
絶対に無申告にならないようにする
前述の通り、個人事業主は、年間の所得が48万円を超えた場合は確定申告をしなければなりません。自分が該当すると自覚をしたときは、すぐに無申告にならないように確定申告のやり方について調べましょう。そして必ず期限内に申告するようにしましょう。
無申告の場合は無申告加算税が追加で課税されてしまいます。追加で税がかからないようにするのも必要なテクニックですので忘れないようにしましょう。
小規模企業共済に加入する
小規模企業共済とは、個人事業主が退職金の代わりに利用できる制度です。本来、個人事業主は、会社勤めのサラリーマンと違って退職金はありません。そのため、老後の貯蓄が不安な人が多いです。そんな個人事業主向けに、毎月一定の金額を支払うことで、退職時や老後に退職金のようにお金を受け取ることができる制度です。
毎月の掛け金は自由に決めることができ、その掛け金は全て所得控除となります。老後の備えとなるだけでなく、節税テクニックの1つとなりうるのです。
経費を使った節税時の注意点
経費を使った節税テクニックを実践する際には、いくつかの注意点があります。以下では、経費による節税方法を実践する際の注意点を解説します。
根拠のない経費は調査対象になる
根拠のない経費を計上していると、税務署の調査対象になる可能性があります。事業に関係のない経費を計上していた場合、本来よりも多くの税金を納めなくてはなりません。きちんと事業に必要な経費であることを、いつでも証明できるように備えるのがポイントです。
経費の計算間違いに注意する
経費の計算を間違えて過剰に申告した場合にも、ペナルティが発生します。特に消耗品費など大量の経費を申告する場合などは、計算間違いがないように備える必要があります。
領収書やレシートはすべて保管する
領収書やレシートなど経費の証明になる書類は、すべて保管して管理します。仮に税務調査が入った際に領収書やレシートがないと、これまで経費として計上していたものが認められなくなります。経費の証明書類と管理するプロセスと方法を確立し、万全の体制を整えることも重要です。
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まとめ
個人事業主は、経費を活用した節税テクニックを確認しておくことがポイントです。経費はただの出費ではなく、きちんと計上することで節税につながるお金です。経費の仕組みや関連制度を理解し、節税を実現する方法を確認しておくと良いでしょう。
経費のほかにも、控除を利用することで、さらに効果的な節税が可能です。自分が利用できる控除の種類を把握し、確定申告の際に申告できるように備えましょう。
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