人事業主として活動している場合、支払った社会保険料を控除できる場合が少なからずあります。節税を図るために、控除対象となる社会保険料をチェックして申請したり、確定申告による控除申請の手続きを理解することが不可欠です。この記事では、個人事業主が適用できる社会保険料の種類や申請手順、確定申告における対応方法などを詳しく説明します。
- 個人事業主が控除の対象にできる社会保険には、一般的に健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険、国民年金だよ!
- 控除の適用対象は、個人事業主の所在地や事業によって変わるよ!
- しっかり申請することで、大幅に節税ができるから必ず取り組もう!
目次
社会保険料控除について
個人事業主として活動していく場合、社会保険料控除は節税につながる重要な知識です。まずは社会保険料控除の概要を、以下で確認しましょう。
年間に支払った社会保険料は控除対象
個人事業主が支払った年間の社会保険料は、全額控除の対象となります。支払った社会保険料を証明して申告することで、所得税の節税につながります。収入が増えて所得税が高くなることに悩む前に、社会保険料控除を活用する方法の把握がおすすめです。
個人事業主が支払う社会保険料の種類
個人事業主が支払う社会保険料には、いくつかの種類があります。事前に支払いが必要な種類と金額を把握しておけば、スムーズな納付が可能です。以下では、個人事業主が支払うべき社会保険料について解説します。
①国民健康保険料
個人事業主となった場合、「国民健康保険」に加入する義務があります。国民健康保険料の金額は自治体や所得によって変わり、世帯主が納税義務者となる点が特徴です。国民健康保険には控除証明書がないため、申告の際に証明書の納付は不要となります。
②国民年金保険料
年金の1種である国民年金保険料も、控除対象になります。金額は令和4年で1か月あたり一律で1万6,590円となるため、申告することで20万円程度の控除につながります。
③厚生年金保険料
原則として会社員は、厚生年金保険に加入します。厚生年金保険は基本的に年末調整で控除されますが、年の途中で退職した場合には源泉徴収票をもらって確定申告をする必要があります。
④介護保険料
国民健康保険の加入者で40歳以上65歳未満の場合、介護保険料が別途かかります。対象者の場合には国民健康保険の控除を申請することで、同時に介護保険料も控除されます。
⑤労働保険料
労働保険料とは、労災保険料と雇用保険料を合わせた保険料のことを指します。一人親方で仕事をしている個人事業主などは、自分で支払っている労災保険料と労災保険料を控除可能です。
⑥国民年金基金・厚生年金基金の掛金
国民年金基金と厚生年金基金の掛金は、両方とも控除対象になります。国民年金基金は、「国民年金基金連合会」から送付される控除証明書を使って控除を申請します。また、会社が厚生年金基金に加入している場合には、年末調整で控除が可能です。年の途中で退職した場合には源泉徴収票をもらい、厚生年金基金分の控除を確定申告しましょう。
個人事業主の控除対象となる社会保険料とは?
上記のようなさまざまな種類があるなか、個人事業主が控除できる社会保険料は限られます。以下では、個人事業主が控除に活用できる社会保険料について解説します。
社会保険料を控除可能
個人事業主として働く場合、一般的に国民健康保険料、国民年金保険料、介護保険料、国民年金基金などを控除できます。介護保険料は国民健康保険に加入して40歳以上65歳以下であること、国民年金基金は制度に加入する必要があることが条件ですります。
また、事業者本人だけで事業を営む一人親方などは、労災保険に任意で加入できるため、その支払額も控除対象になります。まずは自分が加入することになる社会保険の種類を把握し、控除対象になるものをチェックしてみましょう。
家族の社会保険料も控除対象
個人事業主が妻や子どもなど家族の社会保険料を支払っている場合、それらも全額控除の対象になります。家族の分をまとめて支払っているのなら、確定申告時に申請して控除すると大きな節税につながります。
一方、家族が社会保険料を自身で確定申告して控除している場合、支払っているのが個人事業主でも改めて控除はできません。
厚生年金保険料や労働保険料には加入できない
個人事業主は、会社員でないと加入できない厚生年金保険料や労働保険料を利用できません。そのためこれらの保険料に関しては、社会保険料の控除にならない点に注意が必要です。会社員限定の社会保険制度があることを、この機会に確認しておくのが重要です。
従業員の社会保険料も控除できない
個人事業主として従業員を雇用している場合、一部事業を除いて社会保険に加入しなければなりません。加入した社会保険料の半分を負担することになりますが、この保険料は控除の対象にはできないので注意が必要です。一方で、「福利厚生費(法定福利費)」として、経費への計上は可能となります。
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個人事業主が社会保険料控除を申請する方法
個人事業主として社会保険料を控除する際には、基本となる申請方法を確認するのが最初の一歩です。具体的な手順を以下で把握し、社会保険料の控除を申請してみてください。
令和5年分(2023年分)分の確定申告の期間は、令和6年(2024年)2月16日〜3月15日まで!
確定申告で社会保険料控除を申請する
基本的に個人事業主は、毎年の確定申告で社会保険料の控除を申請します。控除申請の際には「控除証明書」を確定申告書に添付した上で、期限内に税務署に提出する必要があります。
各種控除証明書は、郵送によって毎年送付されます。紛失した際には再発行も可能ですが、時間がかかるため確定申告に間に合わせるには早めの申請が必要です。
控除する社会保険料の種類と金額を記載する
確定申告書の第二表「社会保険料控除」に、社会保険料の種類と金額を記載します。さらに社会保険料控除の合計金額を、確定申告書の第一表「社会保険料控除」の項目に記載します。上記の項目への記載を終えることで、確定申告における社会保険料の控除申請が完了します。
社会保険料控除は年末調整で申請できる?
「年末調整で社会保険料の控除はできないのか?」という疑問を持つ人も多いです。以下では、社会保険料の控除と年末調整の関係性について解説します。
個人事業主は基本的に年末調整を受けない
年末調整は、給与所得者が会社から天引きされている年間の納税額を精算して過不足を確定・返還させる作業です。そのため会社に所属せずに働いている個人事業主は、年末調整を受けません。
個人事業主が社会保険料控除をするには、年末調整ではなく確定申告で対応する必要があります。
個人事業主も年末調整が必要なケースとは
基本として個人事業主は、年末調整はせずに確定申告で所得税を納めます。しかし、個人事業主として働いている人でも、年末調整が必要になるケースはあります。以下では、個人事業主が年末調整を受けるケースについて解説します。
個人事業以外で給与所得がある場合
個人事業主として仕事をしつつ、アルバイトなどで給与所得がある場合には、年末調整が必要になる可能性があります。事業所得が20万円以下の場合には確定申告は不要ですが、それ以上なら給与所得の分も含めて確定申告をする義務が発生するのです。
給与をもらっている会社から源泉徴収票をもらい、年間の合計所得を計算して申告をしましょう。
個人事業主として従業員を雇用している場合
個人事業で人を雇用している場合、従業員のための年末調整が必要です。必要書類(生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、国民健康保険・国民年金保険料の金額など)を提出してもらい、年末調整を実施します。年末調整は書類の準備から申請、還付まで長い時間がかかるため、前もってスケジュールを把握しておくのが重要です。
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まとめ
個人事業主にとって社会保険料は、控除に使える大切な要素です。所得税や住民税の節税に貢献するため、支払っている社会保険の種類と金額は確定申告前にしっかりと把握しておきましょう。また、個人事業主が年末調整をするケースも確認し、確定申告と合わせて手続きを忘れないように備えるのも重要です。
個人事業主として仕事を続ける際には、社会保険料控除をはじめとしたお金にまつわる知識の取得が重要です。お金の知識は個人事業の成功を左右し、生活を安定させる要因にもなり得ます。
- 個人事業主が控除の対象にできる社会保険には、一般的に健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険、国民年金だよ!
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