【建設業】個人事業主として開業する方法は?開業の資金目安や手続き方法などを解説!

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建設業で個人事業主として開業する場合には、業務内容に応じてさまざまな手続きが必要になります。また、ある程度の開業資金も必要です。人によっては「自分はどの手続きが必要なんだろう?」「開業資金の相場はいくらくらいだろう?」と疑問に感じる方もいるかもしれません。

本記事では、建設業で個人事業主として開業する方法を解説します。個人事業主のメリット・デメリットや、各種手続きの方法なども解説しますのでぜひ参考にしてください。

やっぷん
  • 建設業で個人事業主として開業するには、開業届以外にもさまざまな手続きが必要になるよ!
  • 特に「建設業許可」を取りたい方は、参照資料をしっかりと読み込んで条件を満たせるようにしよう
  • 開業資金も数百万円は必要になるので、さまざまな方法を活用して資金調達しよう!

目次

建設業として仕事ができる事業形態

建設業として仕事をするためには、まず「どんな事業形態でスタートするか」を考えなくてはなりません。一般的には、以下3つの事業形態が考えられます。

建設業として仕事ができる事業形態
  • 個人事業主
  • フランチャイズ
  • 法人

それぞれの特徴を把握したうえで、本当に個人事業主にすべきなのか、他の事業形態にすべきかを考えましょう。

個人事業主

個人事業主は、名称のとおり個人が開業届を出したうえで事業をすることです。開業届を提出すれば、誰でも事業をスタートさせられます。自分自身で営業から実際の施工まで行うので、仕事量や案件内容などをコントロールしやすいのがメリットです。一方、事業に関わることを全て一人で行うので負担が大きかったり、収入が不安定になりやすかったりとデメリットもあります。

フランチャイズ

フランチャイズとは、本部の経営ノウハウや業務ノウハウ、商標などをもらって事業を行うことです。飲食店や学習塾などさまざまな業種で広く用いられています。フランチャイズの場合は、法人として契約するタイプと個人事業主として契約するタイプがあります。

フランチャイズのメリットは、既に成功している企業のノウハウや知名度などを利用してビジネスができる点です。ゼロから始めるよりも、はるかに効率よく事業を展開できます。一方、ロイヤリティを支払わなくてはならず、思うように売上が上がらないと大きな赤字になる可能性もあるため注意しましょう。

法人

法人とは、法人登記をして立ち上げた組織のことです。株式会社や合同会社だけでなく、非営利法人・一般社団法人などさまざまな形態があります。法人のメリットは、社会的な信用を得やすい点です。個人事業主に比べればある程度の資本力や経営力が必要になるので、取引先からも「しっかりと事業を行ってくれるだろう」と感じてもらえます。一方で、事業開始までには「法定費用」がかかったり、税務関係で税理士を雇わないといけなかったりと、費用がかかりがちな点は法人のデメリットです。

個人事業主として建設業で仕事をするメリット

個人事業主として建設業で仕事をするメリットとしては、以下の2つのポイントがあげられます。

個人事業主として建設業で仕事をするメリット
  • 自分の裁量で仕事ができる
  • 手続きや社会保険などの経費負担が少ない

これから個人事業主として働きたいと考えている方は、まずどういったメリットがあるのかをしっかりと把握しておきましょう。

自分の裁量で仕事ができる

個人事業主として働く大きなメリットは、自分の裁量で仕事ができる点です。会社に入って働く場合は、仕事量や案件内容などを自分自身で調整するのが難しくなります。しかし、個人事業主であれば、どういった仕事をどのくらい引き受けるかを自分自身で決められるのです。ライフステージの変化に合わせて仕事量を調整したり、限界までどんどん仕事をこなしていったりできるのは、個人事業主ならではの強みといえます。

手続きや社会保険などの経費負担が少ない

法人と個人事業主で比べると、個人事業主のほうが事務手続きの負担や経費負担などが少ない傾向があります。法人の場合は、設立時の手続きや税務などの事務作業が多く、税理士を雇うケースがほとんどです。しかし、個人事業主であれば開業届や確定申告などのみで、専門家を雇わなければいけないほどの事務作業は発生しにくいといえます。

また、従業員が4人以下の個人事業主であれば社会保険の加入義務がなく、保険料負担が発生しません。こうした社会保険料や各種経費の負担が少ないのも、個人事業主として働くメリットです。

個人事業主として建設業で仕事をするデメリット

個人事業主として建設業で仕事をする場合、収入面や営業活動面などでデメリットがあります。具体的なデメリットは、以下の2つです。

個人事業主として建設業で仕事をするデメリット
  • 仕事が受注できなければ生活できない
  • ケガ・病気で収入がゼロになる可能性がある

個人事業主として仕事をするためには、どういったデメリットやリスクがあるかを把握し、対策を立てておくのも非常に重要です。以下の項目を参考にしながら、自分は本当に個人事業主として仕事をスタートさせるられるのかを、改めて考えましょう。

仕事が受注できなければ生活できない

個人事業主は自分で仕事を獲得しなければならず、案件が受注できなければ生活ができなくなります。多くの個人事業主は、これまでの実績や人脈などを活かして営業活動をしますが、経済状況や競合の台頭などが影響して、仕事がなくなってしまうケースも少なくありません。

もちろん、会社であっても営業活動がうまくいかなければ、仕事がなくなり社員全員が生活できなくなります。しかし、多くの会社は複数の営業マンがいるので、集団で協力すれば売上がゼロになるのは防げる可能性があるのです。自分一人で営業活動から実務までを行わなくてはならない個人事業主は、仕事が受注できなくなり生活不可能になる可能性が高いといえます。

ケガ・病気で収入がゼロになる可能性がある

自分自身がケガや病気になれば、収入がゼロになってしまう可能性もあります。個人事業主は自分一人で売上を上げないといけないので、本人が仕事のできない状態になれば、すぐ収入がゼロになってしまうかもしれないのです。

会社員の場合は、ケガや病気になったとしても休業補償があります。そのため、収入がすぐゼロになることはありません。これは、会社としての蓄えがあるのに加えて、社員一人が仕事ができなくなっても他の社員が業務を進められるためです。個人事業主は「収入=自分一人が稼いだ報酬」になりますから、ケガや病気で収入がゼロになるリスクにはしっかりと対策する必要があります。

建設業で個人事業主として開業するための準備

建設業で個人事業主として開業するためには、いくつか準備しておくものがあります。具体的には、以下の4点です。

建設業で個人事業主として開業するための準備
  • 開業資金/開業費用
  • 事務用品や備品
  • 銀行口座
  • 社印

以下の項目では、それぞれの相場や準備方法などを解説します。

開業資金の目安

開業資金の目安を考えるには、まず建設業の場合は「従業員を雇うか」「建設業許可を取得するか」の2つを考えないといけません。従業員を雇う場合、最低でも1年間は問題なく給与を払えるだけの貯蓄が必要になります。200〜300万円ほどが相場とされていますが、従業員の人数と給与額にあわせて考えましょう。

また建設業許可を取得する場合は、以下の条件のうちいずれかを満たす必要があります。

建設業許可の取得条件(一般建設業)
  • 自己資本が500万円以上であること
  • 500万円以上の資金調達能力を有すること
  • 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること

500万円以上の資金調達能力がない場合、また継続的な営業実績がない場合は、最低500万円の自己資本が必要になります。

上記にあわせて、設備・工具・資材などを購入する必要も必要になるので、これまでの業務状況などを鑑みながら、どのくらいの開業資金が必要なのかを考えましょう。

開業費用

開業費用とは、開業までにかかる費用のことです。具体的には、設備・工具・資材などあらかじめ購入するのにかかる費用を指します。また事務所となる物件の改装費なども、開業費用のひとつです。

建設業の開業費用相場は、おおよそ800万円前後が相場とされています。しかし、業種によっても異なるので、まずは「どういったものが必要か」「それにいくらかかるか」を洗い出しましょう。

必要になる事務用品・備品

事務所を構える場合は、デスク・椅子・棚・ファイルなどの備品が必要になります。デスクや椅子は発注してから到着までに時間がかかるケースもあるので、余裕をもって発注しましょう。

銀行口座の開設方法

事業をスタートする際には、事業用の銀行口座を用意しましょう。個人事業主であれば、個人用の口座で問題ありません。事業用口座を作るのは、確定申告が煩雑にならないようにするためです。青色確定申告を行う場合、銀行口座の入出金も記録する必要があります。プライベート用と事業用の口座が同じだと、生活費などのプライベートな入出金も全て記録せねばならず、会計作業が煩雑になるのです。そのため、出来る限り事業用の銀行口座を用意しておきましょう。

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個人事業主として開業する手順

個人事業主として開業したい場合は、開業届を提出しましょう。ただし、青色確定申告を利用したい場合や、給与支払いが必要な場合などは別途申請が必要なので注意が必要です。

個人事業主として開業する手順
  1. 開業届を提出する
  2. 確定申告に関する書類を提出する
  3. 給与支払いが必要なら、別途届け出をする
  4. インボイスの登録をする(状況により異なる)

以下では、個人事業主として開業する手順を4ステップで解説します。

①開業届を提出する

開業届は、税務署で提出をします。国税庁のホームページで書式をダウンロードして作成できますが、税務署で紙を受け取ることも可能です。記載内容に不安があれば、税務署へ行って紙を受け取り、その場で記入をしましょう。

開業届は開業してから1ヶ月以内に提出しなければなりません。提出しなくてもペナルティはありませんが、青色申告承認申請書や法人カードなどの手続きができなくなるので、注意しましょう。

②確定申告に関する書類を提出する

青色確定申告をしたい方は、開業届を提出する際にあわせて「青色申告承認申請書」を提出しましょう。青色確定申告は最大65万円の控除を利用できるので、節税対策をしたい人にはぴったりです。また、給与支払いをしていく方も青色申告承認申請書を提出しておく必要があります。

開業届と同様に国税庁のホームページから書式をダウンロードすることが可能です。記載内容に不安があれば、税務署へ行って質問してから作成しましょう。

③給与支払いが必要なら、別途届け出をする

給与支払いが必要な場合は、関連する書類も提出しておきましょう。具体的には、以下3種類の書類を提出する必要があります。

給与支払い関連の書類
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 青色事業専従者給与に関する届出書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

それぞれ給与支払いを行う場合には必須の書類です。全て国税庁管理のものなので、開業届を出すタイミングで一緒に提出しましょう。

④インボイスの登録をする(状況により異なる)

建設業の場合は、インボイス制度の登録をすべき事業者がほとんどかと思います。インボイス制度とは、請求書の書式や保管方法などを定めた制度です。インボイス制度に登録すれば「適格請求書(インボイス)」が発行できるようになります。対法人で仕事をする場合であれば、このインボイスが発行できるかどうかが、非常に大きな問題となるのです。詳しくは、参考の記事にて制度内容などをご確認ください。

インボイス制度に登録して「適格請求書発行事業者」になるためには、以下の方法で手続きをします。

インボイス制度(適格請求書発行事業者)の登録手続き(郵送)
  • 申請書を作成する
  • インボイス登録センターへ郵送する

なお、インボイス制度の登録はe-Taxからも可能です。ネット環境のある方は、ぜひe-Taxから申請しましょう。

建設業許可などの取得方法・手順

建設業として大規模な案件を引き受ける場合には「建設業許可」が必要になるケースもあります。以下では、建設業許可とそれに不随する許可の取り方について詳しく解説しますので、参考にしてください。

建設業許可の取得条件と取得手順

建設業許可とは、500万円以上の案件を受けるのに必要になる資格です。建設業許可を取得するためには、以下のうちいずれかを満たしている必要があります。

建設業許可の取得条件
  • 経営業務の管理責任者等を設置している
  • 適正な社会保険へ加入している
  • 専任技術者を設置している
  • 財産的基礎等の条件を満たしている
  • 欠格要件に該当していない

参考:国土交通省『許可の要件

建設業許可を取得するための方法はいくつかありますが、営業所が一ヶ所だけの個人事業主であれば「知事許可」を得るための手続きをしましょう。

建設業許可(知事許可)を得る手順
  1. 「一般建設業」か「特定建設業」かを確認する
  2. 工事の種類を確認する
  3. 国土交通省HPで必要になる書類を確認する
  4. 書類一式を作成する
  5. 許可行政庁へ書類を送付する
  6. 書類送付と同時に、申請料を納付する

なお、提出書類の方法や要件を満たしているかの判断などは、非常に複雑なものになっています。少しでも不安があれば、所轄の行政庁に相談をしましょう。

経営業務の管理責任者になる条件

経営業務の管理責任者とは、建設業の経営に関して経験やスキルがあり、経営管理ができる役職についている人のことです。条件はかなり複雑になっているので、今回は常勤役員等に関する基本的な条件を抜粋して紹介します。

経営業務の管理責任者になる条件(一部抜粋)
  • 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
  • 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
  • 建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

参考:国土交通省『経営業務の管理責任者の個別認定申請について

上記の条件のうちいずれかを満たしている場合は、経営業務の管理責任者になれます。ただい、建設業界において「管理責任者の条件が厳しく建設業許可取得の妨げになっている」といった声があったため、現在では常務役員が上記条件を満たしていなくても、補佐役がいれば条件を満たせるようなかたちになっています。詳しくは参考資料をご覧ください。

専任技術者になる条件

専任技術者とは、契約内容の調整や、注文者とのコミュニケーション、工事の進捗確認などを行う人のことです。経営業務の管理責任者とともに、建設業許可を取得するために必要な人物となります。専任技術者になる条件は、以下のとおりです。

専任技術者になる条件(一般建設業の場合)
  • 指定学科修了者で高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者
  • 指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者又は専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士若しくは高度専門士を称する者
  • 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者

引用:国土交通省『許可の要件

なお、専任技術者も「一般建設業」と「特定建設業」で条件が異なりますのでご注意ください。

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建設業の個人事業主が開業資金を用意する方法

建設業の個人事業主が開業するためには、数百万円の開業資金が必要になります。人によっては、すぐに開業資金を集めるのが難しいケースもあるのではないでしょうか。開業資金を作るのが難しければ、以下のような方法を活用するのがおすすめです。

建設業の個人事業主が開業資金を用意する方法
  • カードローン
  • 銀行融資
  • 公的機関からの融資
  • ファクタリング

上記はそれぞれメリット・デメリットがあるので、どの方法を活用するか慎重に考えましょう。この後の項目ではそれぞれの資金調達方法について詳しく解説します。

カードローン

カードローンは、今回紹介するなかでも特に利用しやすい資金調達方法です。審査はあるものの、カードローン会社によっては審査が柔軟で利用しやすい場合もあります。例えば、既に会社を退職してしまっていて返済能力を示すのが難しかったり、若くて社会的信用度が低かったりする場合は、カードローンを活用するのが現実的でしょう。

ただし、カードローンは年利15%前後の利息がつきます。例えば、30万円を年利15%で借りると、12回払いで毎月27,077円を返済しても約25,000円の利息が付いてしまうのです。事業が順調にいけば問題のない額ですが、どのくらい利息が付くのか、毎月無理なく返済できるかは慎重に考えましょう。

銀行融資

銀行融資は、カードローンよりも低い利率で借りられるのが特徴です。返済合計金額が安くなり、結果として月々の返済負担も少なくなります。ただし、カードローンよりも審査が厳しいケースがほとんどで、個人事業主として開業するタイミングだと審査に通らないケースも少なくありません

審査に通るためには、貯蓄を増やしておいたり、社会的信用を高めておいたりする方法があります。しかし、個人事業主として開業するタイミングはまだ「どういった事業をするのか」「どのくらい収入が立つか」が不透明なので、審査は非常に厳しくなるでしょう。

公的機関からの融資

日本政策金融公庫をはじめとした公的機関からの融資も、おすすめの方法です。日本政策金融公庫は、開業時から使える融資プランも存在します。利率も低く、無担保・無保証人で借りられるプランもあるので、開業時でも利用しやすいでしょう。

ただし、公的機関は審査が厳しく、また複数の書類を準備しないといけません。書類作成に慣れていない場合は、手続きの準備に数週間はかかるでしょう。場合によっては、審査になれている専門家に相談する必要もあるかもしれません。準備段階に手間がかかり、さらに審査が通らない可能性もある点には注意が必要です。

ファクタリング

ファクタリングとは、売掛債権を売却して資金を調達する方法です。売掛債権とは簡単にいえば「報酬を受け取る権利」を意味します。例えば、月末締め翌月末払いで仕事をした場合、労働者は「月末締めで確定した報酬を受け取る権利を、翌月末まで有する」ということになります。

一般的なファクタリングサービスの場合は、請求書をアップロードして「○円の報酬を受け取る権利があります」ということを証明したうえで、資金を受け取ります。サービス手数料が差し引かれてしまうものの、建設業のように「翌々月末払い」など支払いまでの期間が長い業種には魅力的なサービスです。ただし、もちろん売掛債権がまったくない状態では利用できないのでご注意ください。

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個人事業主が建設業の仕事を受注する方法

個人事業主として仕事をするうえで、特に苦労するのが「営業活動」と「仕事の受注」でしょう。現在では、以下のような方法で仕事を獲得する人が多くなっています。

個人事業主が建設業の仕事を受注する方法
  • 会社員時代からの人脈に営業をかける
  • SNSやホームページを活用する
  • ネット上で営業をする

以下では、それぞれどのようにして新規顧客を獲得するか、そして仕事を受注するかについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

会社員時代からの人脈に営業をかける

個人事業主として非常に重要なのが、これまでの人脈を活かした営業です。まったくゼロから営業をかけるのと、これまでの自分の実績を知ってくれている人に営業をかけるのとでは、リアクションがまったく異なります。これから独立を検討されているのであれば、将来的に仕事を発注してくれるような人と人脈を築いておきましょう。 

ただし、会社員時代の顧客を丸々もっていってしまうのは、もともといた会社に不利益があるため良くありません。会社によっては、独立後の顧客引き抜きや、競合事業の設立などを禁止している可能性もあります。法的拘束力がない場合もあるとは言え、トラブルに繋がりそうな行為はなるべく避けたほうが無難でしょう。

SNSやホームページを活用する

SNSやホームページを使った集客も、昨今では盛んに行われています。BtoBビジネスであっても、昨今はネット上で「どういった事業者なのか」を調べる企業が増えてきました。SNSやホームページなどで実績を公開しておけば、顧客は安心して仕事を依頼できます

BtoBの場合は、SNSだけでなくホームページもあったほうが信頼度が高まりやすいでしょう。ホームページ制作ができなければ、専門の会社に依頼するのもおすすめです。見やすいホームページを作成しておけば、そこから問い合わせがくる可能性もあります。サーバー代やドメイン利用料など維持費はかかりますが、顧客からの信頼獲得のためにもホームページは作成しておくことをオススメします。

ネット上で営業をする

BtoBビジネスも、ネット上で営業をかけるケースが増えてきました。建設業ではまだ少ないですが、コンサルティングやホームページ制作などの会社は、SNSのDMを通じた営業活動を行っているケースも少なくありません。

ネット上で営業をかける場合には、まず自分自身が何者なのかを明らかにする必要があります。前述したようにホームページや公式SNSアカウントなどがあると、顧客も「この事業主はこういう人なんだな」と理解しやすいでしょう。

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建設業を営む個人事業主がつかえる助成金・補助金

建設業を営む個人事業主は、助成金や補助金が使えるケースもあります。具体的には、以下のような制度が利用可能です。

建設業で個人事業主として開業する際につかえる助成金・補助金
  • 事業再構築補助金
  • IT導入補助金
  • ものづくり補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 業務改善助成金
  • 建設事業主に対する助成金
  • 人材開発支援助成金

以下の項目では、それぞれの制度について支給額や補助対象などを解説します。

事業再構築補助金

対象者事業再構築に向けた取り組みを行う事業者
支給額100万〜1.5億円※企業規模などにより異なる
補助対象建物費 / 機械装置費 / システム構築費 / 技術導入費 / 外注費 / 広告宣伝費 / 研修費 など
参考:事業再構築補助金『トップページ

事業再構築補助金は、社会情勢や法制度などの変革などに対応して、事業の再構築をしたいと考えている事業者をサポートする制度です。事業変更や給与アップなどの取り組みを行って、事業を立て直せた場合に支給されます。申請枠が多いのも特徴で「大規模賃金引上促進枠」「サプライチェーン強靱化枠」など全7枠が用意されています。今後取り組みたい内容に合った枠で申請をしましょう。

IT導入補助金

対象者ITツール導入により業務効率化を行う事業者
支給額5〜450万円
※申請枠により異なる
補助対象ソフトウェア購入費 / クラウド利用料 / ハードウェア購入費 など
参考:IT導入補助金『トップページ

IT導入補助金は、ITツールを導入して業務効率化を行った事業者に対して支給される補助金です。ソフトウェア購入費用やクラウドサービスの利用料だけでなく、プリンター・PC・スキャナーといったハードウェアの費用も補助対象になっています。業務効率化ツールを導入したい、セキュリティ対策を強化したい、インボイス対応に向けたITツールを導入したいと考えている方にはぴったりの補助金制度です。

ものづくり補助金

対象者変化する社会情勢等への対応に苦慮している事業者
支給額100〜1,250万円
※申請枠により異なる
補助対象設備投資用 / システム投資費用 など
参考:ものづくり補助金総合サイト『トップページ

ものづくり補助金は、社会変革への対応に苦慮する事業者をサポートする制度です。基本的には新製品や新サービスの開発に向けた取り組み(ものづくり)が必要になってきます。建設業であれば、これまでの技術を活かした家具や、新しい生産方式などの開発ができるようだと、補助対象になるでしょう。実際、新たなDX事業の展開や、建築技術を応用したサービスの提供などによって、ものづくり補助金を利用できた事例もあります。建設業のノウハウを活かした新規事業を展開しようと考えている方におすすめの制度です。

小規模事業者持続化補助金

対象者制度変革の対応に苦慮する小規模事業者
支給額〜200万円
※申請枠により異なる
補助対象機器装置費 / 広報費 / ウェブサイト関連費 / 展示会等出展費 / 旅費 / 新商品開発費 / 資料購入費 / 雑役務費 / 借料設備処分費 / 外注費 など
参考:小規模事業者持続化補助金『トップページ

小規模事業者持続化補助金は、働き方改革やインボイス制度といった制度変革に対応して、事業を継続させていくための取り組みを支援する制度です。主に、販路開拓や業務効率化を計画通りに行えた場合に利用できます。借料や旅費など補助対象が広く設定されているので、利用しやすい補助金です。建設業を営むなかで、資金繰りが厳しくなった場合にはぜひ利用を検討してみてください。

業務改善助成金

対象者業務効率化に向けた取り組みと賃金アップを計画している事業者
支給額60〜600万円
助成対象機器導入費設備費コンサルティング導入費 など
参考:業務改善助成金『トップページ

業務改善助成金は、業務効率の改善をするとともに、賃金引き上げを行った事業者に対して支給される助成金制度です。機器・設備導入費やコンサルティング導入費など、業務効率化や人材育成などにかかった費用の一部を助成してくれます。賃金引き上げが条件に含まれているので、労働者を雇っている個人事業主が対象です。

建設事業主に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)

対象者建設業事業主
支給額※申請する制度によって異なる
補助対象※申請する制度によって異なる
参考:厚生労働省『建設事業主に対する助成金

建設事業主に対する助成金とは、名称のとおり建設業を営む事業者が利用できる助成金制度の総称です。具体的には、以下のような制度があります。

建設事業主に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)
  • トライアル雇用助成金
  • 人材確保等支援助成金
  • 人材開発支援助成金

人材確保等支援助成金には「建設キャリアアップシステム等普及促進コース」や「作業員宿舎等設置助成コース」など6つのコースが、人材開発支援助成金には「建設労働者認定訓練コース(経費助成)」や「建設労働者認定訓練コース(賃金助成)」など4つのコースがあります。それぞれ利用できる条件が異なるものの、共通しているのは「雇用機会の確保や人材育成を行った事業者が対象」ということです。これから労働者を雇い入れたいと考えている方や、人材育成に注力したいと考えている事業者はぜひ利用しましょう。

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まとめ

建設業として個人事業主が開業するためには、建設業許可や給与支払い関連などの申請が必要になるケースもあります。まずは自分が「どういった仕事を引き受けるのか」「労働者を雇って給与を支払うか」などを考えたうえで、必要な手続きをしましょう。

建設業の開業時にネックとなるのは、開業資金の調達です。カードローンや融資のほか、ファクタリングなども活用して上手に資金調達をしてみてください。

やっぷん
  • 建設業で個人事業主として開業するには、開業届以外にもさまざまな手続きが必要になるよ!
  • 特に「建設業許可」を取りたい方は、参照資料をしっかりと読み込んで条件を満たせるようにしよう
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監修者プロフィール

ペイトナー執行役員 邨山毅

立教大学経済学部卒。投資会社にて内部統制・米国新興事業の国内展開に従事。その後VOD運営会社にて経営戦略・機械学習・調達戦略領域の経験を経て、ペイトナー株式会社に入社。執行役員ファクタリング事業本部長として、ファイナンスサービスの運営及びフリーランスの与信構築全般を所掌している。

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