フリーランスのみなさんは見積書を作成していますか?何となく「難しそう…」というイメージから、作成したことがない方も多いかもしれませんね。
本記事では、見積書の基本の作り方、そして初心者が発注を貰える書き方まで、わかりやすく紹介します。
見積書はフリーランスにとって作っておくといいことがいっぱいあるよ!
だけど、納期や価格、発注内容は詳細に記載しないと未払いなどのトラブルにつながるから気をつけて。
簡単にダウンロードできるテンプレートで、見積書を作成してね!
目次
フリーランスが立てるべき見積もりとは?
「見積書」とは、取引先に対して契約前に交付する書面で、価格や納期、サービス内容などが詳しく記載されています。
見積書は、双方の共通認識を取ることができ、受注側にとっては発注を決める判断材料にもなりますが、最近は見積書を作らずに仕事を受注しているフリーランスの方も多いのではないでしょうか?
確かに、現代は正式な書面がなくともメールやチャットを介して簡単に受注ができる時代ですし、法律上でも「必ず見積書を作らなければならない」という決まりはありません。
しかし、フリーランスにとって、見積書の作成には意外なメリットがあるのです。
フリーランスが見積書を作成すべき理由は?
では、フリーランスが見積書を作成する意義とはなんでしょうか?
先にも述べたように、発注側と受注側の相互認識ができるのはもちろんですが、それ以上に多くの役割があるのです。また、場合によっては、取引先から見積書の提示を求められる場合もあるため、作成できるようになっておいて損はないでしょう。
トラブルを未然に防止できる
まず第一に、見積書にはトラブルの防止という大切な役割があります。なぜなら、フリーランスが仕事をするうえで起こるトラブルの多くは、取引先との「認識のズレ」によるものだからです。曖昧なメッセージのやりとりや口約束で仕事を請け負ってしまうと、納品後に思わぬアクシデントが発生します。
例えば、期日取りに納品したにも関わらず「思っていた内容と違う」「単価は○○円だったよね…?」などと言われ、結果的に納品し直しになったり、安い単価で請け負うはめになったりするケースもあります。
最悪の場合、報酬が支払われないことすらあるのですが、このような事態を防いでくれるのが見積書です。
先にも述べた通り、見積書には、単価、数量、納期、業務の範囲などがはっきりと示されており、受注側と発注側双方で共通認識ができます。そのため、認識齟齬による納品後のいざこざを避けることができるというわけです。また、見積書は「証憑書類」といって、取引先との契約の正式な証拠書類になります。取引があったことの証明として5年間その有効性が認められるので、不当な契約解除などを回避できるのです。
つまり見積書は、フリーランスを仕事のトラブルから救ってくれるお守りのような存在になります。
会社など組織の後ろ盾がないフリーランスだからこそ、万一に備えて発行しておきましょう。
契約を促すこともできる
第二に、発注が決まっていない段階で取引先に見積書を出しておくと、契約してもらえる確率が各段に上がります。
理由としては「検討のしやすさ」と「信頼度が上がる」ことが挙げられます。取引先はフリーランスへの発注の可否を決める際、なるべく金額やサービス内容を詳細に把握したいと思うものです。そのため、仕事内容や単価などをはっきりと記載した見積書が出ているほうが発注する仕事のイメージがしやすく、契約につながりやすいというわけです。
また、見積書を提出しておくことで、取引先に好印象を与えることもできます。当然ですが、提案する際に見積書を作成する業者としない業者がいた場合、前者のほうが「信用がおける人だ」と思われますよね。特に複数フリーランスと相見積もりをとっている場合、丁寧な内容で早く見積書を提出することができれば、競合に差をつけやすくなります。
さらに、書面を提出しておくことで、取引先へのアクセスの口実にできるのも見積書のメリットです。例えば、相手に発注可否の結果や検討の経過を聞きたい場合、「発注いただけますか?」とストレートに聞くよりも「御見積書は御覧頂けましたか?」と聞くほうが、話を進めやすいですよね。
このように、発注の促進剤としても見積書は効果的と言えるでしょう。
【ダウンロード可能】見積書テンプレート
ここでは、上のような見積書のテンプレートが、excel形式でダウンロード可能です。
以下で紹介する記載すべき項目も全て網羅されており、とても使いやすいので、ぜひダウンロードしてご活用ください!
以下では、このテンプレートにも含まれている、「見積書で記載すべき項目」を10個紹介します!
【必見】見積書に記載すべき10の項目!
①タイトル
まずはタイトルです。何の書類か一目でわかるように、上部に・大きく・目立つように記載しましょう。「見積書」「御見積書」「お見積書」などがタイトルとしては適切です。
テンプレートでは「御見積書」としています。
②宛名
誰宛に作成した書類なのかを記載しましょう。取引先が個人か法人かによって書き方が変わります。
宛名が個人名の場合は「様」、法人の場合は「御中」をつけるようにしましょう。
宛名 | 敬称 |
個人の場合 | ○○様 |
法人の場合 | ××株式会社 御中 |
法人に所属する個人(担当者)宛の場合 | ××株式会社 ~部 ○○様 |
社長宛 | ××株式会社 代表取締役 ○○様 |
宛名を書くときの注意点は以下の通りです。
- 「××株式会社御中○○様」のように、「御中」と「様」を併用せず、「御中」を抜く
- 法人宛のときは(株)と略さずに「株式会社」と書く
- 送付相手の役職を正しく把握しておく
宛名を書くときの正しいマナーを知っているかどうかでも相手への印象が大きく変わるので、失礼にならない表記かどうか確認しましょう。
③提出者または作成者
提出者(自分)の連絡先や住所を記載します。取引先によって求められる項目が変わる場合もありますが、基本的に入れるべき項目は以下の5つです。
- 社名(屋号)
- 氏名
- 住所
- 電話番号、メールアドレス
- 捺印
電話番号やメールアドレスを記載する目的は、何か不明点やトラブルがあった際に相手がすぐに連絡をとれるようにするためです。
押印については必須ではなく、無いからといって、効力が変わるわけではありません。ただし捺印があるほうが、より「安心感のある事業者」という印象を与えます。そのため、特に見積書を他の業者と比較されるときには、捺印がないよりはあるほうが選ばれやすいと言えます。また、取引先によっては捺印を必須にしている場合もあるため、最初からしておいて損はありません。
④通し番号
通し番号は「見積書番号」や「管理ナンバー」とも呼ばれます。こちらは必須というわけではありませんが、発行者側の管理を楽にするために振っておくことをおすすめします。
フリーランスとして仕事を始めたばかりのころは、見積書が少ないので番号の必要性は感じないかもしれません。しかし、取引顧客が増えてたくさん見積を発行するようになると、過去の見積書を探すときに番号があったほうが断然便利になります。
また、取引先から見積もりについての問い合わせがあった際や、再発行が必要になったときにも、番号を共有しておくとスムーズですね。
⑤発行日
発行日とは見積書を発行した日、つまり作成日になります。意外と忘れがちな項目ですが、必ず記載すべきです。
発行日は有効期限を設定する際の基準日となるため、「吉日」などとは書かず、必ず明確な年月日を記載しておきましょう。
また、見積書について問い合わせがあったときにも発行日があるとわかりやすいです。
⑥有効期限
見積書の有効期限についても、必ず記載する義務はありません。しかし、記載しておくことには2つの大きなメリットがあります。
1つ目のメリットとして、有効期限には取引先の発注の意思決定を早める効果があることが挙げられます。有効期限が記載されていることにより「この日までに契約を決めてほしい」という暗黙の了解になります。取引先から発注可否の返事を早くほしい場合も、見積書の期限を口実にして急かすことができますよね。
2つ目のメリットとして、期限を設けておくことにより、価格変動のリスクに備えることができます。特に仕入れが必要な仕事の場合、見積書提出から受注までの期間に原材料の価格が高騰してしまうことがあります。その場合、提供価格が変更できなければ、仕入れ値が売値を上回り赤字になってしまいますよね。そこで、価格変動にも臨機応変に対応できるよう、期限を区切っておくと安心というわけです。
有効期限は、上記フォーマットのように年月日を記載する場合もあれば、「本見積書発行後○○週間」と記載する場合もあります。
⑦納期
予定納期については、「〇月×日」もしくは「発注から○○週間で納品」と記載をします。
納期を記載する目的は、トラブルの回避です。あらかじめ見積書で合意を取っておくことにより、納期遅れを口実にした報酬の不払いや減額などの不当な扱いを受けなくて済みます。
また、取引先が業務の目処を立てるのにも役立つので必ず記載しましょう。
⑧見積もり金額
こちらは、言わずもがな必要な項目になります。
まず、見積もり金額の「総額」は、内訳の上の欄に目立つように記載しましょう。そして、品目ごとの内訳金額はできる限り詳細に書き出しておくのがポイントです。
例えば、ライターであれば、「原稿料」○○円、「取材料」○○円といったところです。こちらの品目すべての金額を足したものが「小計」になります。総額には、こちらの小計金額に消費税をかけた税込金額を記載しましょう。消費税については認識の相違があると、後にトラブルになりやすいです。
そのため「税込み価格なのか税抜価格なのか」「消費税の割合」がはっきりとわかるように記載しておきましょう。
⑨業務内容
業務の内容も明確に提示しておくことが大切です。何の仕事をどの範囲までやるのかを示しておくことにより、双方の認識の違いによる納品後のトラブルを防ぐことができます。
ポイントは、具体的に細分化して書く、ということです。見積もり金額と併せて細かく設定しましょう。
⑩備考
備考欄に記載する項目は特に決まっていませんが、他の項目にあてはまらない特記事項を示しておくとよいでしょう。具体的には、納品方法や支払い方法、見積書の前提条件などです。
また、振込手数料の負担など、相手先とのトラブルを生みそうな要素については記載しておくと安心です。
- 「納品形式はWord Pressになります。」
- 「恐れ入りますが、お振込手数料については、御社ご負担にてよろしくお願いいたします。」
- 「納品後に修正や追加作業が発生した場合は、別途料金を頂く場合がございます。」
上の例のように記載しておくと良いでしょう。
書くことがなければ空白でも問題はありませんが、挨拶文やお礼文などを添えると好印象ですね。
受注を得られる見積書を作るための注意点!
ここまで見積書の役割と書き方について解説しましたが、せっかく手間をかけるからには受注に繋がる質の良い書類を作りたいですよね。
ここからは、受注を生み、かつ取引先と良好な関係を築くことができる見積書のポイントを紹介します!
相見積もりの条件反映
取引先から見積りの依頼を受けた場合、相手方は複数の業者から相見積もりを取っている可能性が高いです。そのため、他のサプライヤーと比較しやすいように相見積もりの条件を反映すると、効果的な見積もりが作成できます。なぜなら、相見積もりの条件を知っておけば、内容や価格において、他の業者よりも有利な書類を作成できるからです。
そこで、見積書を作成する前に取引先とコミュニケーションをしっかりとることが大切です。まずは、相見積もりをとっているかどうか、さらに、競合の情報まで聞き出せればベストです。見積書を依頼された際は、必ず背後にある競合の存在を意識するようにしましょう。
業務内容は詳細に記載
業務内容を細かく記載しておくのも大切です。なぜなら、大雑把に記載してしまうと、仕事内容や範囲についての誤解を残したまま発注することになり、納品後のトラブルに繋がるからです。
取引先は、「この内容に対してならこの価格を支払っても良い」と判断して発注するため、納品された内容と齟齬があると「契約と違う」と言われてしまいます。
そのため、見積書を作成する際には、「いくらで」「何の仕事を」「どの範囲まで」するかを明記しておきましょう。
- トップページデザインの単価:○○円
- 下層ページデザイン:○○円
- WordPress挿入:○○円
上のように、それぞれの作業項目と金額を細分化して記載します。
前もって請け負う業務を明記しておくことで、取引先も具体的なイメージが掴みやすくなります。加えて、発注前に認識の違いに気付けるので、トラブルを未然に防げます。作成するのが初めてで、業務内容の項目がわからない場合は、業界や職種ごとに事例を参考にして作成してみましょう。
簡単に値下げはしない
特にフリーランスになりたての方にありがちなのが、見積りで低すぎる価格設定をしてしまうケースです。原因としては、競合よりも有利な条件にしようとしていること、また、自己評価を低く見積もっていることがあります。
「仕事を破格の値段で請け負う」ということは一見良心的に思うかもしれませんが、実はかなり問題なのです。
その理由は大きく分けて2つあります。
品質を疑われてしまう可能性がある
1つ目の理由として、まず、品質を疑われてしまうことが挙げられます。
例えば、私たちがモノを購入するときにも、安く買いたい反面「実は粗悪品なのでは?」「安いがゆえにすぐ壊れるのではないか?」などと疑って購入を避けてしまいますよね。それと同じように、低すぎる価格設定は相手を不安にさせるのです。未取引の相手であれば、こちらの仕事のクオリティを知らないので、なおさら疑われてしまいますよね。
また、安すぎる報酬で仕事を請け負うことにより、仕事をする側のモチベーションも下がるため、実際の品質が劣る可能性も出てきます。
いずれにせよ「安かれ悪かれのフリーランス」というレッテルを貼られる原因になるため、極端に安く見積もるのはやめましょう。
将来に悪影響が出る可能性がある
2つ目に、その後の長いフリーランス人生で悪循環が起こるからです。
フリーランスとして生計を立てていくのであれば、労力に見合った報酬を得ていかなければ仕事が成り立ちません。単価の安い仕事を請け負うのが癖になってしまうと収入が伸びないのはもちろん、安価な仕事に忙殺されて、より好条件の仕事にありつくチャンスも逃してしまいます。
取引先によっては大幅な値下げを要求してくる場合もありますが、無理な値下げを迫ってくる取引先から仕事を請け負う必要はありません。
なぜなら、その後も業務の範囲や納期について無茶な要求をしてくる可能性が高いからです。
それよりも、妥当な条件で仕事を依頼してくれる取引先を探したほうがよほど将来のためになるでしょう。もちろん、フリーランスを始めて間もない段階では謙虚さも必要ですが、あくまで相場を意識した価格で仕事をしましょう。
素早く出す
当然ですが、見積書においてもスピード感は大切です。なぜなら、提出する時期が遅れると、競合に負けてしまうからです。
先にも述べた通り、取引先は相見積もりを取っていることが多いので、複数の見積書を比較して契約する業者を決定します。つまり、提出時期が遅くなればなるほど、選んでもらえる対象から外れやすくなるということです。
せっかく素晴らしい内容の見積書を作っても、提出のスピードで負けてしまっては元も子もありませんよね。特にフリーランスを始めたばかりだと作成に時間がかかって、提出が間に合わずに契約を逃すパターンも多いのです。そのため、提案先が見つかったら素早く見積書を提出できるような準備をしておくことが大切です。
見積書の書き方を知っておくだけでなく、業務内容の整理や価格相場を調査するなどしておきましょう。ベースとなるフォーマットをいくつか作成しておくのも、後々の手間が減るのでおすすめです。
まとめ
以上のように、フリーランスにとって見積書は大切なツールです。今回解説した見積書作成のポイントは以下の通りです。
- 記載項目のキホンを押さえておく
- 情報は詳細にはっきりと記載する
- 納期や価格は現実的に考えて設定する
最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れれば非常に便利なツールです。フリーランスが飛躍するための強い武器にもなるので、今まで見積もりを作成したことがない方も、一度作成してみてはいかがでしょうか。
見積書はフリーランスにとって作っておくといいことがいっぱいあるよ!
だけど、納期や価格、発注内容は詳細に記載しないと未払いなどのトラブルにつながるから気をつけて。
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