燃料費や高速代は走った分だけ先に出ていくのに、運賃の入金は翌月以降になるため、運送業では売上があっても手元の資金が不足する場合があります。
入金を早める、支払いを後ろにずらす、出ていくお金を減らす、の3方向で手を打つことが資金繰り改善の基本です。
自社で始められる見直しから、標準的な運賃を参考にした荷主との運賃交渉までを順に紹介します。

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運送業の資金繰りは月ごとの入金と支払いを書き出すところから始める
最初に、荷主ごとの入金予定と、燃料費や車両費などの支払予定を月ごとに並べましょう。
細かな資金繰り表を作る前でも、入金額、支払額、月末に残る金額の3つを書くだけで、不足しそうな月を早めに確認できます。
燃料費や高速代は走った分だけ先に出ていく
トラックが走ると、燃料費、高速代、駐車料金などが運行のたびに発生します。
運賃をまだ受け取っていなくても支払いは先に来るため、受注と売上が増えるほど必要な運転資金も増える場合があります。
運賃の入金は荷主の締め日と支払期日で決まる
運賃を受け取る日は、荷主との契約で定めた締め日と支払期日によって決まります。
運行が終わって売上が確定してもすぐに入金されるとは限らず、請求から入金までの期間は荷主ごとに異なります。
荷主別に請求日と入金予定日を並べ、燃料費などの支払日より前に入金があるかを確認しましょう。
車検やタイヤの交換はまとまって出ていく
車検、タイヤ交換、故障時の修理は毎月の支払いではありませんが、一度にまとまった金額が出ていきます。
車両ごとに車検時期、タイヤの状態、整備予定を確認し、必要になる月を先に記録しておきましょう。
予定できる支払いを突然の出費にしないことが、運送業の資金繰りでは重要です。
- 燃料費
- 高速代や駐車料金
- ドライバーの人件費
- 車検や整備の費用
- タイヤや部品の交換費用
- 任意保険や車両保険
- 車両の購入費やリース料
- 駐車場代や事務所の家賃
月ごとの資金繰りを見直したい人は、下記の記事も参考になります。
運送業の資金繰りを改善する方法は3つ
入金と支払いを書き出したら、資金繰りの改善策を以下の3方向に分けて考えます。
すぐ着手できるか、効果が出るまでの時期、交渉の要否を比べると、手を付ける順番を決めやすくなります。
資金繰り改善の3方向
| 改善の方向 | すぐできるか | 効果が出るまで | 荷主や取引先との交渉が必要か |
|---|---|---|---|
| 運賃の入金を早める | 請求書の早期発行はすぐできる | 次回の請求から反映できる | 条件変更には必要 |
| 支払いを後ろにずらす | 支払方法の切り替えから始められる | 次回の支払いから反映できる | 支払期日の変更には必要 |
| 出ていくお金を減らす | 記録と契約確認はすぐできる | 運行や契約の見直し後 | 基本的に不要 |
運賃の入金を早める
運行後すぐに請求書を出し、荷主と締め日や支払期日を相談すると、売上を受け取るまでの期間を短くできます。
支払いが迫っている場合は、支払期日前の請求書を現金化する方法もあります。
支払いのタイミングを後ろにずらす
燃料費や高速代の支払方法を変えるほか、整備工場や部品商と支払期日を相談し、現金が出ていく時期を後ろにずらします。
支払総額は変わらないため、後から支払いが集中しないように入金予定と合わせて決める必要があります。
出ていくお金そのものを減らす
燃費、空車で走る距離、保険料、駐車場代などを見直し、毎月出ていく金額を減らします。
交渉を待たずに自社で着手できる項目が多いため、入金と支払いの見直しと同時に進めましょう。
運賃の入金を早める方法
運賃の入金を早めるには、請求業務を早く終わらせる方法、荷主と支払条件を相談する方法、請求書を現金化する方法があります。
まずは自社だけで変えられる請求書の発行時期から見直しましょう。
運行が終わったらすぐ請求書を出す
運行が終わって請求額が確定したら、請求書をすぐに作成して荷主へ送りましょう。
請求が荷主の締め日に間に合わないと、処理が次の締め日へ回り、入金もその分だけ遅れる場合があります。
運行日、請求額、送付日を一緒に記録すると、請求漏れも防げます。
荷主に締め日と支払期日の見直しを相談する
継続して取引している荷主には、締め日を早めることや支払期日を見直すことを相談できます。
支払条件の変更には荷主との合意が必要ですが、運行実績、燃料費の変化、現在の入金までの期間を示すと、具体的な条件を話し合いやすくなります。
すべての荷主に同じ変更を求めるのではなく、取引期間が長く、運行実績を説明できる荷主から相談しましょう。
請求書を売って支払期日前に現金化する
ファクタリングは、荷主へ送付済みの請求書を売って、支払期日前に現金を受け取る方法です。
借入ではなく請求書の売買であり、審査では自社の経営状況よりも荷主の信用が重視されます。
売掛金を現金化する方法を比べたい人は、下記の記事も参考になります。

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支払いのタイミングを後ろにずらす方法
次に、出ていくお金の総額は変えず、支払う時期だけを後ろにずらす方法を検討します。
入金前の支払いを減らせますが、後の月に支払いが残るため、引き落とし予定を必ず記録しましょう。
燃料を法人カードやETCカードで払って引き落としを遅らせる
燃料費や高速代を法人カードやETCカードで支払うと、現金払いより支払いを後ろにずらせます。
翌月や翌々月の引き落としになる場合がありますが、締め日と引き落とし日はカードによって異なります。
荷主からの入金日より後に引き落とされるかを確認し、利用額が増えすぎないように車両別の支払いも記録しましょう。
部品や整備の支払期日を取引先と交渉する
継続して取引している整備工場や部品商には、支払期日の変更や分割払いを相談できる場合があります。
これまでの支払実績と、希望する支払日を示したうえで、相手にも無理のない条件を相談しましょう。
一方的に支払いを遅らせると取引関係に影響するため、変更前の合意が必要です。
車両はリースを使って支払いを分散する
車両を一括で購入せず、リースで月ごとの支払いに分けると、購入時にまとまった現金が出ていくのを避けられます。
車検や整備を含む契約もありますが、含まれる費用は契約ごとに異なるため、月額だけでなく契約全体を確認しましょう。
リースは一括購入より支払総額が高くなる場合があるため、手元に残せる金額と総額の両方を比べて決める必要があります。
出ていくお金そのものを減らす方法
支払時期を変えるだけでは、後の月に同じ金額を支払わなければなりません。
資金繰りを継続して改善するには、燃料費、空車で走る距離、保険料などを見直し、毎月の出費そのものを減らします。
車両ごとに燃費と走行距離を記録して無駄な走行を減らす
給油量、走行距離、積載の有無を車両ごとに記録すると、同じ運行でも燃費が悪い車両や走り方を見つけられます。
急加速や長時間のアイドリング、遠回りがないかを運行ごとに確認し、原因を特定して減らしましょう。
燃費だけでドライバーを評価せず、車種、積載量、渋滞、走行ルートの違いも一緒に見ることが大切です。
空車で走る距離を減らす
荷物を届けた後に空車で戻ると、帰路の燃料費や高速代が発生しても売上は増えません。
帰り荷を確保する、近い地域の運行を組み合わせる、配車順を変えるなどして、空車で走る距離を減らしましょう。
運賃だけで受注を決めず、出発地から集荷先までの移動と、荷降ろし後の帰路まで含めて1運行の利益を計算します。
保険や車両の固定費を見直す
任意保険、車両保険、駐車場代、通信費、車両のリース料は、走行距離に関係なく毎月発生します。
補償内容が重複していないか、稼働していない車両を維持していないか、より近い駐車場へ移せないかを確認しましょう。
保険は金額だけでなく、事故時に必要な補償を残したうえで見直す必要があります。
燃料費の負担を減らす支援策を確認したい人は、下記の記事も参考になります。
運送業が使える補助金や助成金をまとめて確認したい人は、下記の記事も参考になります。
標準的な運賃を使って荷主と運賃を交渉する
自社の出費を減らしても燃料費や人件費の上昇を吸収できない場合は、荷主と運賃を交渉する必要があります。
根拠のない値上げ依頼にせず、国土交通省の標準的な運賃と自社の運行原価を並べて説明しましょう。
標準的な運賃は2024年3月に8%引き上げられた
国土交通省は2024年3月22日、新たなトラックの標準的な運賃を告示し、運賃水準を8%引き上げました。
燃料費や人件費が上がるなかで、運送事業者が法令を守りながら事業を続けるための費用を運賃へ反映することが改定の背景です。
荷役の対価も新たに加算されるようになった
2024年3月の改定では、積み込みや荷降ろしなどの荷役作業に対する対価も新たに加算されるようになりました。
運転以外の作業を無償のまま引き受けている場合は、作業内容と所要時間を記録し、運賃とは別に扱うことを荷主へ相談しましょう。
荷待ちや荷役にかかった時間を運行日報などで示すと、作業の実態を説明できます。
標準的な運賃は交渉の参考になる指標
標準的な運賃は、荷主にその金額を守らせる義務を定めたものではなく、運賃交渉の参考になる指標です。
自社の運賃が標準的な運賃を下回る場合は、差額だけを示すのではなく、燃料費、走行距離、拘束時間、荷役作業の内容も一緒に提示しましょう。
値上げの希望額と適用したい時期を具体的に示し、荷主の事情も聞いたうえで条件を話し合います。
- 現在の運賃と希望する運賃
- 標準的な運賃との比較
- 燃料費や高速代の変化
- 運行距離と拘束時間
- 積み込みや荷降ろしの作業時間
- 希望する適用時期
2026年1月1日に施行された取適法(旧・下請法)では、適用対象に特定運送委託が加わり、中小受託事業者から価格協議を求められたのに協議や説明をせず、一方的に代金を決める行為が禁止されています。
すべての運送取引が対象になるわけではないため、自社の取引が対象かは契約内容と取引規模を確認してください。
出典:公正取引委員会|取適法
2024年からの労働時間の規制で売上が落ちやすくなっている
2024年4月からトラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用され、長時間運転で売上を増やす経営は続けにくくなりました。
労務管理の問題だけでなく、1台が走れる時間と売上が変わるため、資金繰りにも直接影響します。
ドライバーの時間外労働は年960時間までになった
2024年4月1日から、自動車運転の業務で特別条項付き36協定を結ぶ場合でも、時間外労働は年960時間以内です。
労働基準法の時間外労働の上限規制に違反した場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることがあります。
出典:厚生労働省|建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制、厚生労働省|時間外労働の上限規制
改善基準告示は2022年12月に改正され、2024年4月から新しい告示が適用されています。
営業用の緑ナンバーに加え、自家用の白ナンバーの運転者も対象で、告示を守れないトラック運送事業者は行政処分の対象になります。
出典:国土交通省近畿運輸局|トラックドライバーの新しい労働時間規制
走れる時間が減ると1台あたりの売上も減る
走れる時間が減ると、長距離運行の回数や1日に受けられる仕事量も減る場合があります。
車両台数と荷主が同じでも、1台あたりの月間売上が下がれば、燃料費、保険料、リース料などの固定的な支払いが重くなります。
規制前の売上を前提に支払予定を組まず、現在の労働時間で走れる運行本数から入金予定を作り直しましょう。
1運行あたりの利益を上げる方向に切り替える
走る量を増やせない場合は、1運行あたりの運賃を上げ、空車距離と待機時間を減らす必要があります。
運賃から燃料費、高速代、人件費、車両費を引き、運行ごとの利益を確認しましょう。
利益が残らない運行は条件変更を相談し、標準的な運賃や荷役の対価を交渉材料に使います。

「運賃交渉の結果を待てない支払いがある」
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運送業の急な資金繰りにペイトナーのファクタリングが選ばれる理由
ペイトナーのファクタリングは、個人事業主・フリーランス向けのサービスです。
主な特徴を紹介します。
手数料一律10%で受取額を事前に計算できる
ペイトナーのファクタリングでは、手数料は一律10%で固定されています。
荷主への請求書が50万円なら手数料は5万円で、45万円を受け取れます。
審査結果によって手数料率が変わらないため、申し込み前に受取額を計算できます。
最短10分入金・土日祝日も対応
申し込みから入金までは最短10分で、手続きはオンラインで完結します。
土日祝日も振込に対応していますが、審査を365日実施しているわけではありません。
週末の振込を希望する場合は、事前に審査を終えられる日程で申し込みましょう。
1万円の少額から利用できる
利用可能額は1万円からで、燃料費や整備費など少額の支払いにも使えます。
初回の上限は50万円で、実績に応じて最大300万円まで上がります。
必要な金額を超えて請求書を現金化せず、支払いに必要な分だけ申し込みましょう。
ペイトナーのファクタリング サービス概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手数料 | 一律10% |
| 入金スピード | 最短10分 |
| 利用可能額 | 1万円から、初回上限50万円、実績に応じて最大300万円 |
| 土日祝日対応 | 振込に対応、審査は365日実施ではない |
| 審査 | AIと人の併用 |
| 申込方法 | 完全オンライン、面談不要 |
| 必要書類 | 本人確認書類、請求書、口座の入出金明細の3点、2回目以降は請求書のみ |
- 取引先へ送付済みの請求書であること
- 請求書の支払期日まで70日以内であること
- 振込手数料は自己負担になること
少額のファクタリングを比較したい人は、下記の記事も参考になります。
運送業の資金繰りでよくある質問
運送業の燃料費、増車、軽貨物の資金繰りについて、よくある質問に回答します。
Q. 燃料費が上がった分は荷主に請求できますか?
燃料費の上昇分を運賃や燃料サーチャージへ反映できるかは、荷主との契約と交渉によって決まります。
自動的に必ず請求できるわけではありませんが、国土交通省は燃料サーチャージの導入に関する考え方と算出方法を示しており、2024年の標準的な運賃の改定でも燃料高騰分の価格転嫁が考慮されています。
燃料価格の記録と現在の運賃を示し、適用方法と開始時期を荷主へ相談しましょう。
出典:国土交通省|トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン
Q. 車両を増やすと資金繰りはどうなりますか?
車両を増やすと受けられる仕事は増えますが、燃料費、保険料、整備費、人件費が運賃の入金より先に増えます。
そのため、増車直後は売上が増えても資金繰りが厳しくなる場合があります。
車両代だけで判断せず、増車後の入金予定と毎月の支払いを並べ、手元に必要な運転資金を確認してから契約しましょう。
Q. 軽貨物の個人ドライバーでも同じ考え方でいいですか?
入金を早める、支払いを後ろにずらす、出ていくお金を減らす、の3方向は軽貨物の個人ドライバーにも共通します。
ただし、大型トラックを持つ会社とは車両費、保険料、人件費の割合が異なります。
自分の車両にかかる固定費と、1件ごとの燃料費や手数料を分けて記録しましょう。
資金繰りが苦しくなる理由と一般的な改善策も確認したい人は、下記の記事も参考になります。
まとめ
運送業の資金繰りは、運賃の入金を早める、支払いを後ろにずらす、出ていくお金を減らす、の3方向で改善します。
燃費、空車距離、固定費を自社で見直し、標準的な運賃と運行原価を根拠に荷主と運賃を交渉しましょう。
改善や交渉が支払いに間に合わない場合は、荷主へ送付済みの請求書を支払期日前に現金化する方法も検討できます。

- 入金、支払い、出ていく金額の3方向で見直そう。
- 標準的な運賃と自社の原価をそろえて荷主に相談しよう。
- 間に合わない支払いには、ペイトナーのファクタリングも比べてみよう。
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