ダブルワークをしていると、年末調整や確定申告について悩む場面があるでしょう。2箇所で年末調整をしていいのか、確定申告はしなくていいのか、申告しなかったら脱税になるのではと、さまざまな悩みや不安を抱く人が多くいます。
本記事では、ダブルワークをしている方に向けて、年末調整や確定申告のやり方を解説します。
- 年末調整や確定申告をするかは、状況によって異なるよ!
- 年末調整と確定申告どちらもしないのは、リスクがあるので注意!
- 必須でなくても、確定申告をしたほうが良いケースがあるので気を付けよう!
目次
ダブルワークの定義と税金について
本記事を読むにあたり、まずは「ダブルワークとは何か?」「税金の額はどう決まるのか?」を理解しておきましょう。
ダブルワークは2つの仕事を掛け持ちしている状態
「ダブルワーク」は、言葉のとおり2つの仕事を掛け持ちしている状態です。2つの収入源がある状態ともいえるでしょう。昨今は副業をしている人も非常に多く、会社側も副業禁止を撤廃する流れができています。
ダブルワークの種類はさまざま
ひとくちにダブルワークといっても、組み合わせ(掛け合わせ)はさまざまです。
- 会社員 × アルバイト
- 会社員 × 個人事業主
- 会社員 × 会社員
- アルバイト × アルバイト
- 個人事業主 × アルバイト
どんな組み合わせなのかによって、源泉徴収や確定申告のやり方も異なってきます。ダブルワークと一括りにして、ネットで見かけた情報をそのまま自分に当てはめてしまうと、間違った手続きをしてしまう可能性があるので注意しましょう。
ダブルワーク時の税金はどう計算する?
ダブルワークの税金は、年間の所得合計にかかります。そのため、年末調整や確定申告をして「その年にどのくらい稼いだか」「どのくらい控除を使えるのか」といった情報を整理し、税金額を算出・申告するのです。なお、所得税や住民税は以下の方法で計算します。
- (収入 – 経費 – 所得控除) × 税率 = 所得税額
- (収入 – 経費 – 所得控除)× 10% – 税額控除 = 住民税所得割額
- 住民税所得割額+ 均等割額 = 住民税額
上記のように、収入から経費や控除を差し引いた金額に、税率をかけて税額を求めます。なお、住民税には「所得割額」と「均等割額」があります。所得割額は所得金額によって変動しますが、均等割額は一律で合計5,000円です(2023年現在)。
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確定申告が必要になる人は?
確定申告は、国に対して「この年はこのくらい稼いだので、このくらい納税します」と申請することです。年末調整の有無に関わらず、確定申告が必要になるケースは多くあります。具体的には、以下のような人だと確定申告をする必要があります。
- 副業所得が20万円を超える人
- アルバイト掛け持ちで年間所得103万円超の人
- 2社以上から給与を受け取っている人
以下では、それぞれの条件について詳しく解説します。
副業所得が20万円を超える人
会社員の方で副業所得が20万円を超えている場合、確定申告が必要です。ただし、この20万円ルールには以下2つの注意点があります。
- 「収入」でなく「所得」で判断する
- 「事業所得」でなく「雑所得」の場合に適用となる
- 20万円以下の人が確定申告をしても問題ない
まず、20万円以下というのは副業所得に関する条件です。所得とは、収入から経費を差し引いた金額を意味します。つまり、収入が30万円でも経費が20万円であれば、確定申告をしなくても問題ありません。
そして、事業所得なのか雑所得なのかによっても、確定申告が必須かは異なります。事業所得として申告したほうが良いケースもありますが、基本的に副業は雑所得として申告したほうが無難です。
なお、副業所得が20万円以下の人でも、確定申告をするのは問題ありません。あくまで、20万円を超えたら必ずしなくてはいけないだけです。売上が少なかったり赤字だったりしても、必要があれば確定申告をしておきましょう。
アルバイト掛け持ちで年間所得103万円超の人
アルバイトをしている場合、年間の所得が103万円を超えたら(103万1円から)確定申告が必須となります。103万円を超えると、所得税の課税対象となるためです。
アルバイトの人は「基礎控除:48万円」と「給与所得控除最低額:55万円」を利用できます。つまり、103万円までは控除で相殺して課税所得0円にできるのです。逆に、年間所得が103万円を1円でも超えれば、課税所得が発生するため、国に確定申告をしなくてはいけません。
2社以上から給与を受け取っている人
2社以上から給与を受け取っている人も、確定申告の対象となります。なぜなら、年末調整は1社でしか行えないためです。片方の会社では年末調整ができるので、支払うべき税額と源泉徴収(予定税額をあらかじめ差し引くこと)の金額のすり合わせができます。
しかし、年末調整ができないほうの会社は、源泉徴収された金額と、本当に納めるべきだった税額との調整ができません。そのため、確定申告をして本来納めるべきだった税額を明らかにし、源泉徴収額とズレがないかを確認する必要があります。
年末調整されていない給与収入の合計と、給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下の場合には、確定申告は必要ないこととなっています。
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【ケース別】年末調整と確定申告のやり方!
ここからは、以下3つのケースに分けて解説します。
- 年末調整をしている会社がないケース
- 1箇所で年末調整をしているケース
- 2箇所から年末調整の書類をもらったケース
ご自身が当てはまるものを探してご覧ください。
令和5年分(2023年分)分の確定申告の期間は、令和6年(2024年)2月16日〜3月15日まで!
①年末調整をしている会社がないケース
アルバイトを掛け持ちしている場合、源泉徴収されているのに、年末調整をしている会社がない人もいるでしょう。年末調整をどの会社でもしていない場合、源泉徴収と本来納めるべきだった税額に差額がないか確認できません。そのため、ダブルワークをしていて年末調整をまったくしていない人は、必ず確定申告をしてください。
なお、年間所得が103万円以下であれば、確定申告の必要はありません。年末調整をしている会社がなく、アルバイトをダブルワークしている場合は、もらったお給料を「給与所得」として扱い確定申告します。
個人用口座に振り込まれた場合は、仕訳せず事業所得とは別に記載するので、注意しましょう。ソフトを使う場合であれば、通常の事業仕分けとは別に、給与所得を記入するメニューがあるので、確認してください。
②1箇所で年末調整をしているケース
2箇所から給料を受け取っていて、1箇所で年末調整をしている場合は、給与合計を計算して確定申告しましょう。年末調整していない会社からも、源泉徴収はされています。確定申告をすれば、2社から多く源泉徴収されていた場合、還付を受けられるのです。
なお、年末調整していない会社の給与 + 給与・退職金以外の所得が20万円以下であれば、確定申告は必須ではありません。しかし、上記の理由から、確定申告をしたほうがよい可能性もありますので、事前に確認しておきましょう。
③2箇所から年末調整の書類をもらったケース
2箇所から年末調整の書類をもらった場合、基本的には所得が大きいほうの会社で年末調整を行ったうえで、給与合計を算出し確定申告を行います。2箇所で年末調整をすることはできないので、ご注意ください。
確定申告を行う理由は「1箇所で年末調整をしているケース」で解説したとおり、源泉徴収されすぎている可能性があるためです。
なお、誤って2箇所で年末調整をしてしまった場合は、必ず確定申告をして正しい所得金額と税額を申告しましょう。2箇所で年末調整をしてしまうと、所得控除が二重で適用されてしまい、正しい税額より少なく申告することになってしまうためです。
納税額を過小申告してしまった場合、後から追加で税金を支払うことになります。まずは各会社に相談をしたうえで、確定申告を行ってください。
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ダブルワークしている個人事業主の確定申告のやり方
何らかの収入と別に、個人事業主としての事業収入がある場合は、以下の方法で確定申告を行いましょう。
確定申告の流れと申告期限
個人事業主が確定申告をする場合、以下の流れで手続きをします。
- 確定申告書の作成
- 所定の方法で書類を提出
- 所得税を納税する
なお、確定申告書の提出方法は以下から選べます。
- e-Tax
- 税務署もしくは管理センターに郵送
- 所轄税務署の受付にて提出
確定申告の申告期限は、基本的に所得があった翌年の3月15日となっています。毎年2月16日~3月15日が申告期間となっていますので、期間内に必ず提出・納税しましょう。
確定申告のやり方
ダブルワークをしている場合、以下のものを準備して確定申告をしましょう。
- 本人確認書類
- マイナンバーが分かるもの
- 口座番号が分かるもの(還付がある場合)
- 経費金額が証明できる領収書やレシート
- その他、控除に関する書類
- 印鑑(紙で提出する場合)
- 源泉徴収票
確定申告を行う際は、確定申告書や帳簿に以下の内容を記載していきます。基本的に、確定申告書の指示どおりに記録していけば問題ありません。
- 事業主の情報(名前、住所、マイナンバー等)
- 個人事業の収入および所得(事業所得)
- 給与所得や不動産収入などの収入および金額
- 経費の金額
- 控除の金額(社会保険料、ふるさと納税など)
なお「確定申告書」は、支出や控除などの情報をまとめた書類です。確定申告をする際は、確定申告書とは別に、お金の流れを記録した「帳簿」も提出しなくてはなりません。どういった収入や支出があったのかを詳細に記録し、計算ミスや不正申告がないかをチェックするためです。
白色申告の際は「単式簿記」を、青色申告で55・65万円の控除を受ける場合は「複式簿記」を添付する必要があります。
ダブルワークしている個人事業主が確定申告する際の注意点
なかなか大変な確定申告ですがが、どのような注意点があるのでしょうか。以下の項目に主な注意点をまとめましたので、ぜひご覧ください。
住民税の申告のみ必要なケースがある
所得20万円以下であっても、住民税の申告は必要です。所得20万円以下の人は「所得税」に関する確定申告が不要なのであって、住民税の申告は必要になります。お住まいの市区町村役所にて、必ず申告しましょう。なお、徴収方法は「普通徴収」と「特別徴収」から選択でき、会社に副業を知られたくない場合は「普通徴収」を選ぶことになります。しかし、多くの市区町村は「特別徴収」を推奨しており、普通徴収を選択するのが難しいケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
副業が会社にばれる可能性がある
確定申告の有無に関わらず、住民税の金額が増えたために、会社に副業をしていることがバレてしまうケースは多くあります。住民税の徴収方法を、給料から天引きする「特別徴収」にしていると、会社側が天引きする金額が増えるためです。
昨今は副業を推奨している会社もありますが、副業禁止の企業もまだまだ多い状況です。仮に、副業禁止の会社に勤めていてバレたくない場合は、住民税を「自分で納付」にしておく(普通徴収にしておく)のが無難です。
確定申告不要でも申告したほうが良いケースがある
確定申告が必要ない場合でも、源泉徴収をされていて年末調整をしていない場合には、申告したほうがよいケースがあります。源泉徴収でお金を引かれすぎている可能性があるためです。収入が少ないのであれば、確定申告自体も簡単に済む可能性があるので、ぜひ申告してみましょう。
青色確定申告が使えないケースがある
控除額が大きく節税に役立つ「青色確定申告(65万円控除)」ですが、利用にはいくつかの条件があります。
- 開業届を提出している
- 青色申告承認申請手続を提出している
- 副業所得が年間20万円を超えている
- 事業所得・山林所得・不動産所得を申告する
例えば、事前申請をしていなかった場合は青色確定申告を利用できません。また、副業所得が年間20万円以下の場合も、青色確定申告を利用できないので、白色確定申告を利用しましょう。また、副業収入が雑所得や給与所得であった場合も対象外になるのでご注意ください。
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まとめ
年末調整や確定申告は面倒な作業ですが、行うメリットの大きな手続きです。確定申告は必須でないものの、場合によっては払いすぎた税金を還付してもらえる可能性もあるので、ぜひご活用ください。
- 年末調整や確定申告をするかは、状況によって異なるよ
- 年末調整と確定申告どちらもしないのは、リスクがあるので注意!
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