フリーランスにオススメの契約書管理方法は?管理台帳やエクセル活用法などを解説

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契約書の管理方法が定まっておらず、トラブルが発生している企業やフリーランスは少なくありません。契約書は、適切な取引に欠かせない書類です。また、トラブル解決時にも契約書が適切に作成・管理されているかが重要になってきます。

本記事では、契約書の管理方法について詳しく解説します。管理方法を整備する手順や、おすすめツールなども解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

やっぷん
  • 契約書の管理方法を定めていないと、共有漏れや情報漏洩などのリスクが高まるよ!
  • 管理台帳という一覧リストを作成しておくのも、契約書の管理では重要なんだ
  • 文書管理ツールやExcel(エクセル)などを活用して、上手に書類管理をしていこう

契約書管理の基本を知ろう! 

契約書管理とは、契約書を適切に保管したり、全契約書を一覧化しておいたりする作業のことです。紙の契約書をファイリングしただけでも管理といえますが、リスト化しておくことで、文書を探しやすくなります。

昨今の契約書管理においては、契約書を電子化してクラウドや社内サーバーで管理したり、専用の文書管理ツールで一元管理したりするケースが多くなっています。ITツールを活かして管理することで、管理スペースの削減や、紛失防止などを実現できるでしょう。

なぜ契約書の管理が重要なの?

「契約書の管理って、そんなに重要?」と感じる方もいるでしょう。契約書の管理を徹底していないと、以下のようなリスクが高まります。

契約書管理を徹底しなかった場合のリスク
  • 漏洩・紛失のリスクが高まる
  • 業務効率が悪くなる
  • 共有漏れが起こる
  • 部署異動した社員が混乱する

契約書管理に関するリスクを知り、重要性を理解しましょう。

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漏洩・紛失のリスクが高まる

契約書の管理を徹底していないと、情報漏洩や書類紛失のリスクが高まります。情報漏洩が発生すると、法人の場合は株価が暴落したり、ライバル企業への情報流出によって競争力が低下したりするでしょう。

フリーランスでも、信用度が低下して取引が停止されたり、新規受注が困難になったりするリスクがあります。依頼がなくなれば事業継続が困難になり、自己破産するかもしれません。

契約書はビジネスにおいて重要な書類だからこそ、管理を徹底して、紛失リスクをなくす必要があります。

業務効率が悪くなる

契約書の管理がおざなりだと、文書やひな形の確認に時間がかかってしまい、業務効率が落ちます。例えば「この契約は締結済みなのか?」と確認したい場合、契約書がルール通り保管されていないと、探すのに時間がかかるのです。

また、ひな形がしっかりと管理されていないと、契約書作成が滞ります。結果として顧客を待たせたり、契約書の内容自体に不備が出たりするかもしれません。

業務効率を向上し、適切な契約書の作成・活用をするためにも、管理方法を定めておくのは重要なのです。

共有漏れが発生する

契約書をすぐ確認できる状態ではなかった場合、担当者間での共有漏れが起こりやすくなります。具体的には「契約を締結しているのか」「どういった契約なのか」などの、契約に関する情報について、共有しにくくなるのです。

共有漏れが起こると、二重契約や契約忘れ、また不適切な契約によるトラブル等が発生します。トラブルが続くと、顧客からの信用を失うのはもちろん、法的な争いに発展する可能性も十分にあるでしょう。

契約書の管理方法を決めておけば、社内での情報共有がしやすくなり、トラブルを回避できます。

部署異動した社員が混乱する

全社で書類管理の方法を統一していないと、部署異動があった場合に混乱が生じます。契約書の管理について見落としがちなのが、部署間での違いです。

社内ルールを作っても、時間が経つにつれてローカルルールが出来てしまうケースがあります。結果として、部署ごとに管理方法が異なるために、部署異動した社員が混乱するのです。

また部署ごとに異なる方法で契約書を管理していると、部署をまたぐ案件で、共有漏れや伝達ミスなどが起こりやすくなります。全社で統一したルールを作れば、部署をまたぐ案件にもスムーズに対応できるでしょう。

契約書の管理方法を整える際のポイント

契約書の管理方法を整える場合には、以下のポイントを抑えておきましょう。ポイントを抑えて管理方法の整備をすると、長期間でも耐えられるルール作りができます。

  • 全社共通のフォーマットにする
  • 有効期限と保存期限を決める
  • 管理番号の付け方を考える
  • 入力方法を分かりやすく共有する
  • 管理責任者を選定する

以下では、契約書の管理方法を整える際のポイント5つを、それぞれ解説します。

全社共通のフォーマットにする

全社共通のフォーマットで管理すれば、部署間での情報共有がやりやすくなります。契約書管理のルール作りをする際は、どの部署でも扱いやすい管理方法かどうかをよく確認しましょう。

全社共通のフォーマットにするためには、まず全部署から契約書管理に関するアンケートを取るのがおすすめです。既存の管理方法で困っている点、なるべく変えてほしくない点、業務効率に関わる事項などを吸い上げておけば、全社共通で使えるルールを作りやすくなります。

有効期限と保存期限を決める

全契約書を永久に保管しておくのは難しいため、期限設定が必要です。そのため、契約書管理では「この契約書がいつまで有効か(有効期限)」と「いつまで保存しておくか(保存期限)」を必ず記載できるようにしてください。

有効期限を記載できないと、契約解除・延長などの判断が遅れたり、契約継続のための交渉をし損ねたりします。また保存期限について決めておかないと、契約書データが膨大になりすぎて、保管が困難になるかもしれません。

契約書の保存期限は、申告書提出期限の翌日から7年以上です。民法の消滅時効は10年となっていますので、基本的には10年以上で設定すると良いでしょう。

管理番号の付け方を考える

契約書の管理番号は、検索をしやすくするために重要です。全社共通の管理方法において番号カブリが発生しないよう、管理番号の付け方は厳密にルール化しておきましょう。具体的には、以下のようなルールがあります。

契約書の管理番号の付け方(例)
  • 通し番号:00001、00002、00003と機械的につけていく
  • 桁ごとに意味をつける:1桁目が店舗、2桁目が部門、3桁目が部署など

基本的には、桁ごとに意味をつけて番号をつけていくのが良いでしょう。締結年月日、店舗、部門、部署などの後に、通し番号をつけるようにすると、長く運用できます。

管理番号にアルファベットを用いても問題ありませんが、大文字・小文字が混在しないよう注意が必要です。

入力方法を分かりやすく共有する

契約書の管理ツールを導入する場合、入力方法について分かりやすいルールを策定して、共有しましょう。具体的には、新入社員でもすぐ理解できるくらい分かりやすいルールにしてください。

管理番号の付け方が複雑すぎたり、ツールの使い方自体が複雑だったりすると、入力ミスが増えます。場合によっては、勝手にローカルルールが作られて、部署間で管理方法が異なってくるかもしれません。

使いやすいツールを導入するとともに、誰でも理解できるルール作りをしましょう。

管理責任者を選定する

契約書の管理においては、管理責任者の存在がとても重要です。まずは、契約書管理を担う部署を決め、そこから管理責任者を選任しましょう。

契約書の管理は、総務部や法務部などが担うのが一般的です。場合によっては専門の部署を立ち上げる場合もあります。

管理をスムーズにし、トラブル発生時にすぐ対応できるように、管理部署や管理責任者を決めておくのも非常に重要です。

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契約書管理の基本的な流れ

契約書管理の重要性やポイントが把握できたら、さっそく管理体制の整備をしましょう。基本的には、以下の流れで管理方法を整えていきます。

契約書管理の基本的な流れ
  • 所属部門の整理
  • 基本的な管理ルールの策定
  • 管理台帳の作成
  • アクセス権限等の検討
  • 既存の管理方法からの移行
  • 所属部門にて試運転
  • 管理ツール導入

以下の項目では、契約書管理を整備していく基本的な流れを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

管理部署と管理責任者の決定

まずは、契約書管理を担う部署を決めましょう。法務部が担当するのが一般的ですが、業務量分散のために総務部と分担したり、別で部署を立ち上げるケースもあります。契約書の管理を担う部署が決まったら、管理責任者を選定します。

基本的な管理ルールの策定

管理責任者を中心として、管理ルールを策定していきましょう。具体的には、以下のようなポイントをおさえてルールを作っていきます。

契約書の管理ルール策定のポイント
  • イレギュラー対応について、各部署への聞き取り調査のもと決めていく
  • 管理番号の割り振りルールは、組織改編も想定したうえで考える
  • 誰でも分かりやすいルールにする

また前の項目で紹介したように、全部署統一ルールにすることや、期限設定について決めるのも重要です。

管理台帳の作成

契約書の管理をする場合は「管理台帳」を作成するのが基本です。管理台帳は、書類を一元管理するためのもので、管理や検索などがやりやすくなります。

なお管理台帳についてはこの後の項目で詳しく解説しますので、あわせてご覧ください。

アクセス権限等の検討

場合によっては、部署ごとに台帳へのアクセス権限を変更する必要があります。具体的には、外部委託や派遣社員などが多くいたり、契約に直接関わらない部署がある場合には、アクセスの制限をしたほうが良いでしょう。

ただし、権限を厳しくしすぎてしまうと、トラブル時の対応が遅れる危険性もあります。利便性とリスク回避を両立させられるよう、検討が必要です。

既存の管理方法からの移行

管理体制を整え、管理台帳の作成もできたら、既存の管理方法から移行していきましょう。今ある契約書情報を、新しい管理ツールに入力していきます。もし紙で契約書を管理していた場合は、このタイミングで電子化・倉庫移動・廃棄などを進めてください。

もし契約書の棚卸し業務が多すぎる場合には、代行サービスを利用するのもおすすめです。紙媒体の電子化・データ入力などの代行サービスを使えば、新しい管理体制に移行しやすくなります。

各部署にて試験導入

契約書の棚卸しとツール移行が進んだら、各部署にて試験導入をしましょう。各社員に使用してもらって、入力方法で分かりにくい部分がないか、またイレギュラーが発生しないかを確認してもらいます。

ツール操作や管理ルールなどで問題があれば、本運用前に修正しましょう。なお、試験導入時には「いつまで試験運用なのか」「いつから新ツールになるか」を明確にして、管理上の混乱が生じないように注意してください。

管理ツール導入

各部署にて試験導入をして問題なければ、いよいよ新ツールを本格的に使用していきます。使用していくなかで、トラブルや不明点などがあれば、管理部署が中心となって修正やマニュアル改定などをしていきましょう。

契約書の「管理台帳」とは?

契約書を管理する際、多くの企業では「管理台帳」を作成します。管理台帳とは、契約書を一覧化できるようまとめたものです。管理番号や契約書名などをリスト化することで、契約書の管理がやりやすくなります。

管理台帳で必要な項目

契約書の管理台帳を作成する場合、基本的には以下の項目が必要になります。

契約書の管理台帳で必要な項目
  • 管理番号
  • 締結日
  • 分類(売買、請負など)
  • 締結先情報
  • 契約書名、契約内容
  • 有効期限
  • 保存期限
  • 担当者

上記すべてが必要ではなく、また別の項目が必要なケースもあります。あくまで参考例ですので、社内の管理状況にあわせて項目を定めてください。

管理台帳の運用に使うツールは?

管理台帳を作成・運用するためには、以下のようなツールを活用します。

管理台帳の作成・運用に使うツール
  • Excel(エクセル)
  • 文章管理システム
  • SaaS系サービス

それぞれメリット・デメリットがあるため、特徴を把握して、自社に最適なツールを導入しましょう。以下では、各ツールの特徴について詳しく解説します。

Excel管理台帳を活用する際のポイント

Excel管理台帳は、契約書枚数があまり多くない企業に適しています。既に利用している企業であれば、社員が混乱なく利用できるのもメリットです。また導入コストが安いのも魅力でしょう。

一方で、運用が長期化・複雑化してくると、利便性が落ちやすいといったデメリットもあります。Excelはもともと表計算ソフトとして開発されたツールで、文書管理に最適化されたUIではないためです。また複数人が利用する場合、入力したい行が被ってしまったり、管理番号がダブったりといったトラブルも発生しやすいでしょう。

Excelで管理台帳を作成・運用する場合は、多くの人が混乱なく使えるように体裁を整えたり、関数変更などに関する権限変更をしておくのがおすすめです。

文書管理システムを活用する際のポイント

文章管理システムは、契約書等の書類管理に特化しているので、扱いやすいのが特徴です。エクセルのように、絞り込みや数式などに関する誤操作によって、台帳が崩れる心配もほぼありません。契約書以外の文書にも対応できるツールが多いので、請求書・稟議書・受領書などさまざまな書類の管理を一元化したい場合にも適しています。

ただし、Excelと比べて導入コストは高額になります。自社に最適化したシステムを導入したい場合は、開発や導入などに多くの時間を必要とします。

文書管理システムを導入したい場合は、さまざまなソフトウェア会社から見積をもらったり、自社で予算や納期などをよく検討したりしたうえで、導入可否を判断しましょう。

SaaSサービスを活用する際のポイント

SaaSサービスは、主にクラウド上で契約書を管理できるサービスのことです。そもそもSaaSとはクラウドサービスの一種で、ソフトウェア自体がクラウド上で作動するものを指します。ネット環境があれば利用できるのが大きなメリットです。

SaaSサービスは電子契約に対応しているツールが多くあり、昨今は導入する企業も増えています。フリーランスとの外部委託契約を多く締結している企業であれば、特に便利でしょう。

ただし、Saasサービスは企業ごとのカスタマイズがしにくいといったデメリットがあります。契約書以外にもさまざまな文書を管理したい場合や、イレギュラーに柔軟に対応したい企業は、汎用的な文書管理システムのほうが適しているかもしれません。

まとめ

契約書の管理方法を変更するのには、たくさんの時間と労力が必要です。しかし、いつまでも曖昧なルールで作成・管理していると、大きなトラブルを引き起こすかもしれません。現行ルールの課題や、変更不要な点などを各部署からしっかりとヒアリングしたうえで、管理ルールを整備していきましょう。

新ルールの策定や、ツール導入においては、全社員が無理なく移行できるだけの時間が必要になります。本記事を参考にしながら、1年ほどの時間をかけて、じっくりと管理体制の整備を進めてください。

やっぷん
  • 契約書の管理方法を定めていないと、共有漏れや情報漏洩などのリスクが高まるよ!
  • 管理台帳という一覧リストを作成しておくのも、契約書の管理では重要なんだ
  • 文書管理ツールやExcel(エクセル)などを活用して、上手に書類管理をしていこう
監修者プロフィール

ペイトナー執行役員 邨山毅

立教大学経済学部卒。投資会社にて内部統制・米国新興事業の国内展開に従事。その後VOD運営会社にて経営戦略・機械学習・調達戦略領域の経験を経て、ペイトナー株式会社に入社。執行役員ファクタリング事業本部長として、ファイナンスサービスの運営及びフリーランスの与信構築全般を所掌している。

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