個人事業主のiDeCo上限額は?月ごとの金額について解説

イデコ上限

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個人事業主の方で、iDeCoを活用したいと考えている方は多くいるでしょう。しかし、個人事業主は会社員・公務員とは上限額が異なるため、注意が必要です。

本記事では、個人事業主のiDeCo上限額を紹介します。iDeCoとはそもそも何か、どのくらいの節税効果があるかも解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

やっぷん
  • 個人事業主は、月額6.8万円まで積み立てられるよ
  • ただし、副業フリーランスや会社員の方は、上限額が異なるので注意!
  • スタート年齢や掛金額で節税効果は大きく変わるので、シミュレーション結果を参考にしてね!

そもそもiDeCo(イデコ)とは?

iDeCo(イデコ)とは、私的年金制度のひとつです。以下の投資商品のなかから好きなものを選択して、掛金を積み立てていきます。

iDeCoで選べる投資商品
  • 定期預金
  • 保険
  • 投資信託(株式、債権)

上記のうち、元本確保型(元本割れリスクがない)は定期預金と保険です。投資信託は、元本割れリスクはあるものの、元本確保型よりも効率よく資産を増やせる可能性があります。

iDeCoを利用するメリット

iDeCoは、老後資産を効率よく形成しつつ、税金面での優遇も受けられる魅力的な制度です。iDeCoを利用するメリットは、以下のとおり。

iDeCoを利用するメリット
  • 掛金を全額、所得控除にできる
  • 運用益が非課税
  • 受取時も控除を受けられる

特に大きなメリットが、掛金を全額所得控除にできる点です。所得控除を受けられると、住民税や所得税が少なくなります。控除について理解するために、税金の計算方法を知りましょう。

税金の計算方法
  • 収入 – 必要経費 = 所得金額
  • 所得金額 – 所得控除 = 課税所得
  • 課税所得 × 税率 – 税額控除 = 税額A

※所得税はA+復興所得税、住民税はA+均等割額が総額となります。

上記のように、所得控除額が多いほど課税所得が減り、結果として納税額も減ります。

iDeCoの掛金は、この所得控除にできるため、大きな節税効果が期待できるのです。

イデコアイキャッチ

iDeCoを利用するデメリット

iDeCoは魅力的な制度ですが、掛金の引き出しや、資産減少リスクといったデメリットもあります。

iDeCoを利用するデメリット
  • 原則60歳まで引き出し不可
  • サービス手数料がかかる
  • 投資商品を選択した場合は資産減少リスクがある
  • 加入要件や掛金上限などの制約がある
  • 投資商品を選ぶ手間がかかる

iDeCoで投資信託を選んだ場合、通常の株・FXと同様に、資産が減少するリスクがあります。

長期投資は基本的に増えるという意見が多くありますが、それは直近数十年のことです。60歳を迎えるタイミングで不景気に陥って、資産が大幅に減少する可能性もあります。どうなっても自己責任なので、リスクをふまえて適切な範囲で資産運用をしましょう。

また、iDeCoは原則として60歳まで引き出せないのもデメリットのひとつです。以下の厳しい要件を満たした方でないと、途中解約はできません。

iDeCoの途中解約の要件
  • 60歳未満
  • 企業型確定拠出年金の加入者でない
  • 国民年金保険料免除者、外国籍の海外居住者等のiDeCoに加入できない者
  • 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でない
  • 通算拠出期間(掛金を拠出していない期間は含みません)が1ヶ月以上5年以下、または個人別管理資産額が25万円以下であること
  • 障害給付金の受給権者でないこと
  • 最後に企業型確定拠出年金加入者又はiDeCo加入者の資格を喪失した日から起算して2年を経過していないこと

急病や失業といった経済的困難に直面しても、引き出せない可能性があるため、iDeCoとは別で資産形成をしておきましょう。

個人事業主のiDeCoの上限額は?

個人事業主のiDeCoの上限額は、その方が他の年金制度を利用しているか、また専業かどうかなどで異なります。それでは、ケース別で個人事業主のiDeCoの上限額を解説しますので、参考にしてください。

iDeCoのみの個人事業主の上限

iDeCoのみ利用していて、ほかの年金制度(国民年金のぞく)は利用していない個人事業主のiDeCo上限額は、月額68,000円(年間816,000円)です。

小規模企業共済を併用している個人事業主の上限

小規模企業共済を併用している個人事業主の場合、iDeCoの掛金上限は、通常とおなじく月額68,000円(年間816,000円)です。

小規模企業共済の掛金上限は月額70,000(年間840,000円)なので、あわせて月額138,000円(年間1,116,000円)まで積み立てができます。

副業で個人事業主をしている会社員の上限

副業で個人事業をしている方の場合、会社側でどういった年金制度に加入しているかによって、上限額が異なります。通常の個人事業主の上限(月額68,000円)とは異なりますので、注意しましょう。

会社員の上限額については、この後の項目をご覧ください。

会社員のiDeCo上限額は?

会社員のiDeCoの上限額は、企業型DCやDBの加入状況によって異なります。

会社員のiDeCo上限額
  • 企業年金なし:月額23,000円(年間:276,000円)
  • 企業型DC加入:月額20,000円(年間:240,000円)
  • DBのみ加入:月額12,000円(年間144,000円)
  • 企業型DCとDB併用:月額12,000円(年間144,000円)
  • 公務員:月額12,000円(年間144,000円)

なお、iDeCoの上限額は国民年金の何号被保険者かどうかで、異なってきます。月額68,000円まで積み立てられるのは、第1号被保険者の自営業者です。

副業で個人事業をしている会社員の場合、原則として厚生年金に加入している「第2号被保険者」に該当しますので、上記リストのいずれかの上限額になります。

会社員から個人事業主になったらiDeCoはどうなる?

会社員から個人事業主になった場合、iDeCoの掛金上限額に変更が生じるので、変更手続きが必要です。それでは、上限額がどのように変更になるのか、またどのように変更手続きをするかについて、見ていきましょう。

上限額の変化

上限額は、会社員時代の月額12,000〜23,000円から、月額68,000円に大幅アップします。小規模企業共済も併用すれば、さらに多額の積み立てが可能です。

ただし、個人事業主になると厚生年金がなくなるので、公的年金のみで見ると受取額は大幅に減少します。また、会社員は年金保険料を会社と折半しますが、個人事業主は全額自己負担なので、金銭的な負担も大きくなるでしょう。

国民年金単体で将来いくら受け取れるのかを計算したうえで、iDeCoでの資産運用を検討しましょう。

個人事業主になった場合の変更手続き

個人事業主になった場合は、以下の流れで変更手続きをしましょう。

iDeCoの変更手続き
  • 運営機関から「加入者被保険者種別変更届(第1号被保険者用) (K-010A) 」をもらう
  • 必要事項を記入して提出

なお加入者被保険者変更届はいくつかの種類があり、自営業者になった方が提出するのは「第1号被保険者用」ですので、間違えないようご注意ください。

個人事業主になったタイミングで辞める場合

個人事業主になったタイミングで「収入が不安定になったのでiDeCoを辞めたい」と考える方も多くいるでしょう。原則として60歳まで引き出しはできませんが、途中で積み立てを停止するのは可能です。

iDeCoの積み立てを一時停止するための手続き
  • 運営機関から「加入者資格喪失届」を受け取る
  • 必要事項を記入して提出

なお、追加積み立てはせず運用のみ継続したい場合は「運用指図者」にチェックしてください。運用指図者となった場合、毎月の口座管理料が発生するため注意が必要です。

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      個人事業主のiDeCo節税・控除シミュレーション

      個人事業主がiDeCoを利用した場合、どのくらいの控除を受けられて、どれくらい節税効果があるのか知りたい方もいるでしょう。今回は、以下4つのケースについて、節税効果をシミュレーションしてみます。

      個人事業主のiDeCo節税・控除シミュレーション
      • 年収300万円・月額1万円・25歳スタート
      • 年収600万円・月額2万円・30歳スタート
      • 年収800万円・月額3万円・35歳スタート
      • 年収1,000万円・月額6.8万円・40歳スタート

      それでは、それぞれの節税効果シミュレーション結果を見てみましょう。

      年収300万円・月額1万円・25歳スタート

      所得税額(1年間)未加入者:55,415円 加入者:49,415円
      住民税額(1年間)未加入者:115,830円 加入者:103,830円
      iDeCo積立総額1年間:120,000円 40年間:4,800,000円
      所得税軽減額1年間:6,000円 40年間:240,000円
      住民税軽減額1年間:12,000円 40年間:480,000円
      税制優遇額合計1年間:18,000円 40年間:720,000円
      参考:iDeCo公式サイト『かんたん税制優遇シミュレーション

      年収300万円・月額1万円・25歳スタートの場合、40年間の積み立てで、合計720,000円の税制優遇を受けられます。

      年収600万円・月額2万円・30歳スタート

      所得税額(1年間)未加入者:204,160円 加入者:180,160円
      住民税額(1年間)未加入者:306,660円 加入者:282,660円
      iDeCo積立総額1年間:240,000円 35年間:8,400,000円
      所得税軽減額1年間:24,000円 35年間:840,000円
      住民税軽減額1年間:24,000円 35年間:840,000円
      税制優遇額合計1年間:48,000円 35年間:1,680,000円
      参考:iDeCo公式サイト『かんたん税制優遇シミュレーション

      年収600万円・月額2万円・30歳スタートの場合、35年間の積み立てで、合計1,680,000円の税制優遇を受けられます。

      年収800万円・月額3万円・35歳スタート

      所得税額(1年間)未加入者:466,260円 加入者:394,260円
      住民税額(1年間)未加入者:451,880円 加入者:451,880円
      iDeCo積立総額1年間:360,000円 30年間:10,800,000円
      所得税軽減額1年間:72,000円 30年間:36,000円
      住民税軽減額1年間:2,160,000円 30年間:1,080,000円
      税制優遇額合計1年間:108,000円 30年間:3,240,000円
      参考:iDeCo公式サイト『かんたん税制優遇シミュレーション

      年収800万円・月額3万円・35歳スタートの場合、30年間の積み立てで、合計3,240,000円の税制優遇を受けられます。

      年収1,000万円・月額6.8万円・40歳スタート

      所得税額(1年間)未加入者:798,700円 加入者:635,500円
      住民税額(1年間)未加入者:618,100円 加入者:536,500円
      iDeCo積立総額1年間:816,000円 25年間:20,400,000円
      所得税軽減額1年間:163,200円 25年間:4,080,000円
      住民税軽減額1年間:81,600円 25年間:2,040,000円
      税制優遇額合計1年間:244,800円 25年間:6,120,000円
      参考:iDeCo公式サイト『かんたん税制優遇シミュレーション

      年収1,000万円・月額6.8万円・40歳スタートの場合、25年間の積み立てで、合計6,120,000円の税制優遇を受けられます。

      個人事業主のiDeCo関するよくある質問

      個人事業主のiDeCoに関しては、以下のような疑問を抱く方が多くいるようです。

      個人事業主のiDeCoに関するよくある質問
      • 個人事業主は何歳までiDeCoを利用できる?
      • iDeCoの掛金は経費にできる?
      • 小規模企業共済とiDeCoどちらが良い?
      • 楽天証券の手続き方法は?
      • 個人事業主のiDeCo掛金の受け取り方法は?
      • 個人事業主はiDeCoをいくらまで利用できる?
      • 個人事業が赤字でiDeCo掛金を捻出できない場合は?
      • 個人事業が廃業になったらiDeCoはどうなる?

      それでは、よくある質問について以下で回答していきます。

      個人事業主は何歳までiDeCoを利用できる?

      個人事業主は、会社員や公務員と同様に、65歳未満までiDeCoを利用できます。ただし、加入するのが遅ければ遅いほど効果は減ってしまうので、適切な年齢でスタートしたほうが良いでしょう。

      なお、引き出しは原則60歳から可能です。50歳以降から加入した場合は、65歳まで引き出せないのでご注意ください。

      iDeCoの掛金は経費にできる?

      iDeCoの掛金は、経費にできません。そもそも経費とは、事業を営むうえで必須となる支出のことです。

      iDeCoは事業に直接影響しないプライベートな支出なので、経費にはできません。

      小規模企業共済とiDeCoどちらが良い?

      小規模共済とは、個人事業主や小規模事業者が加入できる積み立て制度です。iDeCoと小規模共済の違いは、以下のとおり。

      小規模企業共済とiDeCoの違い
      • 小規模企業共済には貸付制度がある
      • 小規模企業共済は自己都合での途中解約が可能
      • iDeCoで投資信託を購入した場合は元本割れのリスクあり
      • 小規模企業共済は種類によるが、3年未満の加入だと元本割れリスクあり
      • 小規模企業共済はサービス手数料がかからない

      上記のような違いを見ると「投資信託等での資産運用に興味がある」と考えるならiDeCo、「貸付制度や途中解約のしやすさ等に魅力を感じる」という方は小規模企業共済が良いでしょう。

      なお、小規模企業共済とiDeCoは併用できるので、資金的に余裕のある方は、併用も検討してみてください。

      楽天証券での変更手続き方法は?

      楽天証券に関わらず、会社員から自営業者になった場合の手続きは共通です。各運営機関に「加入者被保険者種別変更届(第1号被保険者用) (K-010A) 」を提出してください。

      個人事業主のiDeCo掛金の受け取り方法は?

      個人事業主のiDeCo掛金の受け取り方法は、以下から選択できます。なお、受け取り方法によって使える控除が異なる点に注意が必要です。

      個人事業主のiDeCo掛金の受け取り方法
      • 一時金として一括受取
      • 年金として毎月定額で受取
      • 一時所得と年金として、一部を一括、残りを毎月定額受取

      一時金として一括で受け取る場合は「退職所得控除」、年金として毎月定額で受け取る場合は「公的年金等控除」を利用可能です。

      個人事業主はiDeCoをいくらまで利用できる?

      個人事業主は、iDeCoを月額68,000円まで利用できます。ただし、会社員の方が副業で個人事業をしている場合は、月額12,000〜23,000円が上限となるため注意が必要です。詳しくは、こちらの項目をご覧ください。

      個人事業が赤字でiDeCo掛金を捻出できない場合は?

      個人事業が赤字になっていてiDeCoの掛金を捻出できない場合は、停止のための手続きを行いましょう。運営機関に「加入者資格喪失届」を提出すれば、任意の機関、積み立てを停止できます。

      個人事業が廃業になったらiDeCoはどうなる?

      個人事業が廃業になって無職になっても、iDeCoは引き続き利用できます。ただし、年金保険料の支払いが免除となっている場合は、iDeCoを利用できません。また収入がない場合、そもそも課税所得がないので、節税効果はありません。

      iDeCoを利用したい方は、まず国民年金を支払ったうえで、手続きを行いましょう。

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      まとめ

      個人事業主は、毎月68,000円までiDeCoを利用できます。iDeCoを利用すれば、掛金を全額所得控除にできるので、非常に大きな節税効果を発揮するでしょう。

      ただし、原則60歳まで引き出せない点には注意が必要です。また、投資信託だと元本割れのリスクがある点にも注意しましょう。

      無理のない範囲で積み立てを行い、少しずつ老後資金を作っていけば、将来の生活が豊かになります。シミュレーション結果も参考にしながら、自分に合った掛金額を設定して、iDeCoを活用してみてください。

      やっぷん
      • 個人事業主は、月額6.8万円まで積み立てられるよ
      • ただし、副業フリーランスや会社員の方は、上限額が異なるので注意!
      • スタート年齢や掛金額で節税効果は大きく変わるので、シミュレーション結果を参考にしてね!
      監修者プロフィール

      ペイトナー執行役員 邨山毅

      立教大学経済学部卒。投資会社にて内部統制・米国新興事業の国内展開に従事。その後VOD運営会社にて経営戦略・機械学習・調達戦略領域の経験を経て、ペイトナー株式会社に入社。執行役員ファクタリング事業本部長として、ファイナンスサービスの運営及びフリーランスの与信構築全般を所掌している。

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