【図解】個人事業主が加入できる年金とは?3階建て構造や年金の種類、条件について徹底解説

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個人事業主になる場合、会社に所属していたときとは、異なる年金制度に加入する必要があります。どのような年金制度があるのか確認し、将来に備えることがポイントです。本記事では個人事業主が加入できる年金制度の概要と種類、加入の条件などを解説します。個人事業主になりたいけれど、年金について分からないことが多くて困っている場合には、ぜひ参考にしてください。

やっぷん
  • 日本の年金制度は3階建ての構造になっていて、フリーランスは利用できる制度と利用できない制度があるよ!
  • フリーランスは、会社員に比べて積立額が少なくなっちゃうこともあるよ!
  • 控除を受けられたり、メリットがある制度もあるから老後を見据えて、使える制度を利用しておこうね!

日本の年金制度の基本について

個人事業主が加入できる年金を知るには、まず日本の年金制度の基本を把握する必要があります。以下では、年金制度における基本的な概要を解説します。

年金は「3階建て構造」で構成されている

日本の年金制度は、「3階建て構造」で構成されています。具体的には以下の通りです。

3階建て構造
  • 「3階:企業年金/企業型DC(確定拠出年金)/iDeCo(個人型確定拠出年金)」
  • 「2階:厚生年金/国民年金基金)
  • 「1階:国民年金(基礎年金)」

複数の制度を活用して、将来受け取れる年金を増やすのが基本的な方法です。働き方などによって加入できる年金の種類は変わるため、事前に確認が必要です。

老後の生活にかかる資金の目安は?

個人事業主が年金について考える際には、老後の生活にかかる資金を目安にすることも重要です。以下では、老後の生活にかかる一般的な金額の目安を紹介します。

最低限必要な生活費は月額平均23.2万円

公益財団法人「生命保険文化センター」の調査によると、老後における最低限必要な生活費は月額平均23.2万円です。調査の分布では、20~25万円未満が最も多い数値になっています。よりゆとりある生活を求める場合には、平均37.9万円が必要とされています。逆に20万円以下の収入になると、生活を切り詰める必要が出てくる可能性があります。

個人事業主が加入できる年金制度について

個人事業主が加入できる年金制度は、あらかじめ決められています。以下では、個人事業主が加入することになる年金制度の詳細を解説します。

個人事業主は国民年金に加入する必要がある

個人事業主は、年金制度における1階に位置する「国民年金(基礎年金)」に加入します。国民年金への加入は、20〜60歳の場合強制加入となるため、個人事業主として働く際には、加入および保険料の支払いが必須です。国民年金に加入することで「第1号被保険者」となり、老後には老齢基礎年金を受給できます。そのほか、障害基礎年金(心身に障害をおった場合の補償)や、遺族基礎年金(被保険者が死亡した場合に、遺族が受け取れる補償)などの受給資格も得られます。

個人事業主は国民年金を控除できる

個人事業主は、国民年金の支払額を全額控除できます。毎年支払った年金の総額が通知されるため、確定申告時に申請することで節税につながります家族の分の国民年金も支払っている場合、その金額も全額を控除可能です。

個人事業主になったときの年金の加入手続き

個人事業主になって国民年金に加入する義務が発生した場合には、所定の手続きを済ませる必要があります。以下では、個人事業主が国民年金に加入する際の手続き方法を紹介します。

国民年金窓口で国民年金へ加入する

会社に所属して働いていた場合、その間は厚生年金に加入することになります。退職後は厚生年金から外れるため、国民年金窓口で国民年金へ加入する必要があります。国民年金に加入する手続きには、以下の書類が必要になります。

国民年金に加入する際の必要書類の例
  • 退職を証明できる書類(離職票、健康保険喪失証明書、退職証明書など)
  • 身分証明書(運転免許証やパスポート)
  • 年金手帳
  • 印鑑

上記の書類を準備した上で、各自治体の国民年金窓口で手続きをします。

国民年金は個人事業主が全額負担する必要がある

国民年金は、個人事業主が全額負担する必要があります。厚生年金のように会社と折半できる制度はないため、毎月の支払いに備えておく必要があります。国民年金の保険料は一律ですが、毎年変わるため詳細の確認が必要です。

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個人事業主が利用できる年金制度の種類

個人事業主は国民年金以外にも、利用できる年金制度があります。以下では、個人事業主が利用できる年金制度について解説します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、掛金を積み立てて運用する私的年金制度です。積立金や運用する金融商品は自分で選択でき、金額は5,000〜6万8,000円/月の間で自由に設定できます。個人事業主としての収入に合わせて、積立金を調整可能です。運用期間中の運用益に関しては非課税となり、さらに掛金は全額所得控除の対象になります。

国民年金基金とは

国民年金基金とは、国民年金に上乗せする形になる年金制度です。個人事業主やフリーランスが属する、第1被保険者のみが利用できる制度です。国民年金基金の掛金は6万8,000円/月までとなりますが、iDeCo(個人型確定拠出年金)も併用している場合には、その掛金と合算した金額が上限となります。国民年金基金の掛け金に関しても、全額が所得控除の対象になるため、高い節税効果に期待できます。

付加年金とは

付加年金とは、400円/月を支払って、将来受け取れる年金の額を上乗せする制度です。付加年金は確定給付となり、「200円 × 付加保険料を納付した月数」によって計算された金額が加算されます。受給開始後2年で元が取れるため、将来の備えとして利用されています。一方で、付加年金は国民年金基金と、併用できない点に注意が必要です。

小規模企業共済とは

小規模企業共済は、個人事業主やフリーランスにとっての退職金になる制度です。個人事業を廃業した際に、掛金の額と加入年数に応じた共済金額を受け取れます。受け取り方法には、一括、分割、一括と分割の併用といった3つのパターンが選べます。小規模企業共済の掛金は1,000〜70,000円までの間で、500円単位で調整できます。小規模企業共済の掛け金も、全額を控除にできます。

個人事業主も厚生年金に加入できる?

個人事業主でも、会社員が加入する厚生年金に加入したいと考える人は多いです。以下では、「個人事業主は厚生年金に加入できるか」といった点について解説します。

厚生年金は個人事業主は加入できない

厚生年金は、会社に所属する人が加入する年金制度です。そのため個人で働いている個人事業主は、基本的に厚生年金に加入できませ厚生年金は将来的に、国民年金に上乗せされるメリットがあります。

厚生年金に代わる年金制度をみつけるのがポイント

個人事業主は厚生年金に入れない分、代わりになる年金制度をみつけるのがポイントです。先に紹介した年金制度を確認し、無理のない範囲で加入できるものを選ぶと良いでしょう。

年金の支払いが難しい場合の対処法

年金の支払いが経済的に難しい場合には、手続きをすることで対処できる可能性があります。以下では、年金の支払いが厳しいときの対処法を解説します。

保険料免除制度について

個人事業主としての収入が減少し、年金の支払いが困難な場合には、「保険料免除制度」の申請をします。審査によって保険料の支払いが免除されれば、支払いができない期間も、年金の受給資格期間に含まれます。

免除の額は「全額」「3/4」「半額」「1/4」といった、複数の種類があります。ただし、納付猶予になった期間に関しては、将来受け取れる年金額に反映されないため注意が必要です。

保険料納付猶予制度について

保険料納付猶予制度とは、本人もしくは配偶者の前年所得が一定以下の場合に、申請することで保険料の納付が猶予される制度です。所得が少なかった年の翌年は、保険料納付猶予制度を活用して、一時的に支払いの猶予を受けるのがポイントです。

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まとめ

個人事業主は国民年金に加入し、将来受け取る老齢年金を積み立てます。しかし、会社員が所属する厚生年金と比較すると積み立ての額が少なく、充実した生活に必要な金額を受け取れない可能性もあります。

そこで個人事業主は、iDeCo(個人型確定拠出年金)や国民年金基金などの制度を活用し、年金の積み立てを自分の意思で行う必要があります。

やっぷん
  • 日本の年金制度は3階建ての構造になっていて、フリーランスは利用できる制度と利用できない制度があるよ!
  • フリーランスは、会社員に比べて積立額が少なくなっちゃうこともあるよ!
  • 控除を受けられたり、メリットがある制度もあるから老後を見据えて、使える制度を利用しておこうね!
監修者プロフィール

ペイトナー執行役員 邨山毅

立教大学経済学部卒。投資会社にて内部統制・米国新興事業の国内展開に従事。その後VOD運営会社にて経営戦略・機械学習・調達戦略領域の経験を経て、ペイトナー株式会社に入社。執行役員ファクタリング事業本部長として、ファイナンスサービスの運営及びフリーランスの与信構築全般を所掌している。

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