【早見表付き】個人事業主の手取りはいくら?計算方法と年収別税金をシミュレーション

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フリーランス・個人事業主は、売上のすべてを手元に残せる訳ではありません。会社員と同じく、税金や社会保険料を支払わなくてはならないため、実際手元に残るのは7割程度とされています。これから個人事業主になる方は、年収によってどのくらい手元にお金が残るのか不安と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

本記事では、個人事業主の手取り金額を、年収ごとに解説します。年収ごとの手取り金額早見表も作成しましたので、ぜひ最後までご覧ください。また、この記事の内容を【動画】で視聴することもできます。ぜひYoutubeからご覧ください!↓↓

やっぷん

個人事業主の手取り金額は、年収の約6〜7割くらいだよ!
年収が上がるほど税金や社会保険料の負担が大きくなるから、経費の計上や控除の活用が大切になってくるんだ。
年収800万円を安定して超えるようになったら、法人化も検討しよう!

年収別、個人事業主の手取り金額の早見表!

個人事業主の手取り金額について「何となくの目安を知りたい」という方は多いのではないでしょうか。そんな方に向けて、個人事業主の手取り額についての早見表を作成しました。

個人事業主の手取り金額の早見表
年収手取り
250万円約185万円
300万円約220万円
400万円約290万円
500万円約360万円
600万円約420万円
700万円約470万円
800万円約530万円
900万円約600万円
1,000万円約650万円

上記の表の通り、個人事業主の手取りは年収の約6〜7割程度です。売上から税金や社会保険料などが差し引かれ、上記のような金額になります。ただし、上記金額には経費が含まれていないため、経費が高額になる場合には、さらに手取り金額が下がってしまう可能性もあります。

会社員と比べると手取り金額は若干低くなりがちですが、会社員よりも節税対策が柔軟に行えるため、手取り金額を増やすことも可能です。

個人事業主の手取り金額を計算する方法

個人事業主の手取り金額は、以下の式で計算できます。

個人事業主の手取り金額計算式

売上 − (経費 + 税金 + 社会保険料) = 個人事業主の手取り金額

上記のように、売上から「経費」「税金」「社会保険料」を差し引いたものが、個人事業主の手取金額となります。つまり、売上金額のほかに経費・税金・社会保険の金額も把握していないと、手取り金額は計算できないのです。個人事業主が支払う税金・社会保険料については以下で解説しますので、税金や社会保険料が把握できていない方は、参考にしてください。

「課税所得」の計算方法を知ろう

課税所得とは、所得のうち税金がかかる金額のみを指す言葉です。個人事業主が収める税金を計算する際、売上そのものに税率をかけるのではなく、売上から経費などを差し引いた「課税所得」に税率をかけて計算します。この課税所得の計算方法は、自分の納税額や手取り額を計算するうえで欠かせませんので、しっかり把握しておきましょう。

課税所得の計算方法

売上 − (経費・仕入れ額・基礎控除・確定申告控除・その他各種控除) = 課税所得

上記のように、売上から経費や控除などを差し引いた金額が、課税所得です。この課税所得に、各種税金の税率をかけて、納税額を算出します。売上から差し引くものが多いほど、税率も低くなるため、個人事業主は経費や控除の活用がとても大切なのです。

個人事業主が支払う税金は?

個人事業主が支払う税金には、以下の4種類です。

個人事業主が支払う税金
税金の名目金額・計算方法
所得税所得によって5~45%の税金がかかる。
【課税所得 × 税率 × 税額控除】
住民税均等割(5,000円)と所得割(10%)がかかる。
【課税所得 × 10% + 5,000円】
個人事業税業種によって3〜5%の税金がかかる。
一部非課税の業種もあり。
【課税所得 × 業種ごとの税率】
消費税1年間の課税売上が1,000万円を超えた場合に納税義務が発生する。
インボイス制度の導入に伴い、年間売上1,000万円以下であっても納税義務が発生する場合あり。
計算方法は「簡易課税」と「一般課税」の2種類
【原則課税:売上にかかる消費税額 − 仕入れにかかった消費税学】
【簡易課税:売上にかかる消費税額 − (売上にかかる消費税額 × みなし仕入率)】

上記の4種類が、個人事業主が支払う必要がある税金です。消費税に関しては、開業1年目の事業者や、基準期間の課税売上が1,000万円以下の場合であれば、納税義務はありません。

しかし、インボイス制度の導入に伴い、適格請求書発行事業者になる場合は、消費税の納税義務が生じます。

個人事業主が支払う社会保険料は?

個人事業主が支払う社会保険料は、以下の3種類です。

個人事業主が支払う社会保険料
社会保険料の名目概要
国民年金保険料金額は一律で、毎年金額が変動する。
令和4年度は16,590円。
国民健康保険料所得や加入人数によって金額が異なる。
また、地域によっても保険料に差がある。
介護保険料40〜64歳の国民が納める。保険料は地域によって異なる。

上記のうち、全ての個人事業主が支払う必要があるのは「国民年金保険料」と「国民健康保険料」の2つです。国民年金保険料は、所得に関係なく一律の保険料で、一括または1か月ごとの分割で支払います。

国民健康保険料は、所得や加入人数、さらに地域によって保険料が異なります。年収300万円前後の場合だと年間約23万円、年収500万円の場合は年間約42万円です。

年収別で個人事業主の手取り金額をシミュレーションしてみよう!

個人事業主の手取り金額計算方法が分かったら、実際に手取り金額をシミュレーションしてみましょう。手取り金額がシミュレーションできるようになると、自分の今の手取り金額が分かるのはもちろん、理想の生活を送るために必要な年収(年間売上)も分かります。

以下では、年収ごとの手取り金額を解説しますので、シミュレーションにお役立てください。

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年収250万円の場合:約185万円

青色申告65万円申告白色申告
所得税49,000円78,500円
住民税108,100円167,000円
個人事業税0円0円
国民年金保険料199,080円199,080円
国民健康保険料189,200円250,600円
手取り金額1,954,620円1,804,820円
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年収250万円の個人事業主の場合、手取り金額は約185万円です。この段階だと、所得税もそこまで高額ではありません。また、白色確定申告と青色確定申告の差も、あまり大きくないと言えるでしょう。

年収300万円の場合:約220万円

青色申告65万円申告白色申告
所得税71,700円104,800円
住民税153,400円212,300円
個人事業税5,000円5,000円
国民年金保険料199,080円199,080円
国民健康保険料236,400円297,800円
手取り金額2,334,420円2,181,020円
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年収300万円の個人事業主の場合、手取り金額は約220万円です白色確定申告の場合、所得税が10万円を超えるのが年収300万円前後からになるでしょう。手取り金額の差も少しずつ開いてきて、青色確定申告を利用するメリットが大きくなるタイミングでもあります。

年収400万円の場合:約290万円

青色申告65万円申告白色申告
所得税136,500円195,300円
住民税244,000円302,800円
個人事業税55,000円55,000円
国民年金保険料199,080円199,080円
国民健康保険料330,800円392,200円
手取り金額3,034,620円2,855,620円
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年収400万円の個人事業主の場合、手取り金額は約290万円です。確定申告の違いによって、手取り金額が20万円ほど違っています・所得税・住民税・個人事業税あわせて50万円前後になっており、経費計上などの節税対策が重要になるタイミングです。

年収500万円の場合:約360万円

青色申告65万円申告白色申告
所得税227,000円339,300円
住民税334,500円393,400円
個人事業税104,900円104,900円
国民年金保険料199,080円199,080円
国民健康保険料425,200円486,600円
手取り金額3,709,320円3,476,720円
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年収500万円の個人事業主の場合、手取り金額は約360万円です。税金・社会保険料をあわせると100万円以上になり、どのくらい節税できるかがとても大切になってきます。また、フリーランスの平均年収を超えて余裕がでてくるのが、年収500万円前後からです。

参考:フリーランス協会「フリーランス白書2022

年収600万円の場合:約420万円

青色申告65万円申告白色申告
所得税402,700円520,300円
住民税425,100円483,900円
個人事業税155,000円155,000円
国民年金保険料199,080円199,080円
国民健康保険料519,600円581,000円
手取り金額4,298,520円4,060,720円
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年収600万円の個人事業主の場合、手取り金額は約420万円です。年収のうち200万円近くが、税金と社会保険料で無くなってしまいます。しかし、法人化するほどの売上でもないため、できる範囲でどのくらい節税できるかに頭を悩ませるのが、年収600万円ごろでしょう。

年収600万

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年収700万円の場合:約470万円

青色申告65万円申告白色申告
所得税583,700円701,500円
住民税515,600円574,500円
個人事業税205,000円205,000円
国民年金保険料199,080円199,080円
国民健康保険料614,000円675,400
手取り金額4,882,620円4,644,520円
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年収700万円の個人事業主の場合、手取り金額は約470万円です。収入のうち200万円以上が税金・社会保険料で差し引かれるようになるのが、年収700万円前後です。このくらいの年収になると、確定申告による違いは頭打ちとなってきて、これ以上大きな差は生まれなくなってきます。

年収800万円の場合:約530万円

青色申告65万円申告白色申告
所得税764,900円882,700円
住民税606,200円665,100円
個人事業税255,000円255,000円
国民年金保険料199,080円199,080円
国民健康保険料708,400円769,800円
手取り金額5,466,420円5,228,320円
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年収800万円の個人事業主の場合、手取り金額は約530万円です。年収800万円前後の状態が続くと、法人化を検討したほうが良いとされています。実際、年収のうち300万円ほどが税金・社会保険料で差し引かれてしまう状態になるため、場合によっては法人化をしたほうが良いでしょう。

年収900万円の場合:約600万円

青色申告65万円申告白色申告
所得税946,100円1,082,100円
住民税696,800円757,000円
個人事業税305,000円305,000円
国民年金保険料199,080円199,080円
国民健康保険料802,800円850,000円
手取り金額6,050,220円5,806,820円
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年収900万円の個人事業主の場合、手取り金額は約600万円です。年収のうち300万円が税金・社会保険料で差し引かれることになります。白色確定申告の場合、経費計上がなければ所得税が100万円を超えてしまう年収です。法人化はもちろん、経費の使い方や資金運用などについての計画性が求められます。

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年収1,000万円の場合:約650万円

青色申告65万円申告白色申告
所得税1,162,600円1,312,100円
住民税792,000円857,000円
個人事業税355,000円355,000円
国民年金保険料199,080円199,080円
国民健康保険料850,000円850,000円
手取り金額6,641,320円6,426,820円
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年収1,000万円の場合、手取り金額は約650万円になります。年収1,000万円クラスになると、所得税の負担が100万円前後と非常に高額になってくるため、法人化の検討が必要です。実際、年収1,000万円の場合の所得税率は最高33%なのに対し、法人税は最高23.2%です。法人化に際しては事務手続きが必要で、税理士費用がかかる場合もありますが、長期的に800〜1,000万円の売上が見込める場合は法人化を検討したほうが良いでしょう。

個人事業主が手取りを増やすための方法は?

上記のように、個人事業主が支払う税金や社会保険料は数多くあります。そのため、節税や売上アップなどで手取り額を増やす工夫が必要です。何も工夫をしていないと、売上の大部分を税金で引かれてしまい、手元にほとんど残らなくなってしまうかもしれません。自分の努力に見合ったお金を手元に残すためにも、以下でご紹介するような方法を試してみてください。

スキルを高めて、年収自体を増やす

個人事業主が手取りを増やす最も確実な方法は、スキルを高めて年収を増やすことでしょう。年収が増えれば、支払う税金も高くはなりますが、手取り額も高くなります。スキルを高める方法としては、「今持っているスキルを深める」と「今持っているスキルに関連するスキルを修得する」の2つが考えられるでしょう。

今あるスキルを深める場合、独学だと難しい場合も多いため、スクールに通ったり、場合によっては企業に就職したりする必要があります。今持っているスキルに関連するスキルを修得する場合だと、実際に事業で使えるようになるまでに時間がかかるでしょう。

いずれの場合も、スキルを修得して活用するまでには時間がかかります。しかし、より専門性を高めてほかの事業者と差別化を図りやすくなり、収入の柱も増やしやすくなるため、収入は安定して増やせます。

経費を計上して課税所得を減らす

経費を計上して課税所得を減らすのも、手取り額を増やすのに有効です。事業に関連する消耗品費や設備費、飲食代など小さなものでも細かく計上すれば、課税所得を減らせます。課税所得を減らすことができれば、支払う税金を低く抑えられて、手取り額がアップするでしょう。

ただし、課税所得を減らしたいからといって、事業に関係ないものまで経費として計上するのは辞めましょう。経費を不正に計上すると、ペナルティを受けて通常よりも高い税金を支払わなくてはならなくなります。ペナルティを受けることがないよう、事業に関連していると説明できるもののみ、経費として計上してください。

青色確定申告65万円控除を利用する

確定申告には「白色」「青色」「青色65万円控除」の3種類があります。最も節税効果が大きいのは「青色確定申告65万円控除」です。手取り額をできる限り増やしたいのであれば、青色確定申告65万円控除を利用しましょう。青色確定申告65万円控除を利用する場合、事前に「青色申告承認申請書」を提出する必要がります。

申請書を提出していないと、青色確定申告を利用できず、支払う税金も高くなる可能性がありますのでご注意ください。

NISAやiDeCoで資産形成をする

NISAやiDeCoで資産形成をするのも、税金対策として有効です。NISAは、投資信託や株式で得た利益にかかる税金(通常20%)が非課税になる制度です。つみたてNISAで長期積み立てをしておくと、税金がかからない形で老後資産を作れます。

iDeCoは、投資信託や株式を用いた私的年金制度です。掛金の全額が課税所得から差し引かれるので、所得税や住民税の負担を減らせるのが特徴です。また、利息や運用益も非課税のため、より多くのお金を手元に残すことができます。ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出せないので、ご注意ください。

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年収800万以上の方は、法人化を検討する

前述の通り、年収800万円を超えると所得税額が高額になるため、法人化を検討したほうが良いでしょう。法人化をするメリットは、節税しやすなり、社会的信用が高まる点です。

ただし、法人化をした場合、赤字であっても法人住民税を支払う必要があり、売上によっては個人事業主よりも税負担が大きくなってしまいます。また法人化に際して、基本的に税理士を雇う必要があり、事務費用がかさむ点もデメリットです。

安定して800〜1,000万円程度の売上を出せるかどうかが、法人化をするうえでの大切な判断ポイントとなります。

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      まとめ

      個人事業主は、会社員と比べると手取り金額が少ないとされています。会社員の場合は、年金や社会保険料の負担額が個人事業主よりも少なく、そのため手取り金額も多くなりやすいでしょう。しかし、個人事業主は経費計上や控除の活用によって、柔軟に節税できる方法がたくさんあります。

      自らの事業を長期的に続けるためにも、手元に残るお金を増やすのはとても大切です。本記事でご紹介した内容も参考にして、手取り金額を増やしつつ、年収アップを狙いましょう。

      本記事の内容のおさらい↓↓

      やっぷん

      個人事業主の手取り金額は、年収の約6〜7割くらいだよ!

      年収が上がるほど税金や社会保険料の負担が大きくなるから、経費の計上や控除の活用が大切になってくるんだ。

      年収800万円を安定して超えるようになったら、法人化も検討しよう!

      記事内表参考:税金・社会保障教育「個人事業主シミュレーション

      監修者プロフィール

      ペイトナー執行役員 邨山毅

      立教大学経済学部卒。投資会社にて内部統制・米国新興事業の国内展開に従事。その後VOD運営会社にて経営戦略・機械学習・調達戦略領域の経験を経て、ペイトナー株式会社に入社。執行役員ファクタリング事業本部長として、ファイナンスサービスの運営及びフリーランスの与信構築全般を所掌している。

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