個人事業主を廃業する一例として、個人事業主として活動していたけど、収入が芳しくないことから会社員に戻る決断をするケースも珍しくありません。個人事業主から会社員に戻る場合、「廃業届」などの書類を提出して手続きを済ませる必要があります。本記事では個人事業主が事業を廃業する際に必要な手続きと、年末調整・確定申告の必要性について解説します。
- 個人事業主の事業を辞める時は、廃業届を提出して税務署に「辞めた事実」を認識してもらう必要があるよ!
- 個人事業主から会社員になる場合には、年末調整と確定申告が必要になるケースもあるから、自分の立場に応じた準備をしておこう!
目次
廃業届について
個人事業主が事業を辞める際には、「廃業届」を提出する必要があります。以下では、廃業届の基本的概要について解説します。
廃業届とは事業を廃止する際に提出する書類
廃業届とは、個人事業主が現在の事業を廃止する際に提出する書類です。事業を辞めた事実を証明するための書類であり、廃業した日付を記載して提出します。事業の廃業を決めた際には、管轄の税務署と都道府県の税事務所に廃業届を提出する準備をしましょう。
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廃業届を出さない場合の問題はあるか
廃業届を提出していないと、税務署は「事業を継続している」と判断します。事業が継続されているのに確定申告が実施されないと、税務署から調査が入る可能性もあります。そのため廃業時には、廃業届で事業を辞めたことを正式に認知してもらう必要があります。
廃業時に提出する書類は?
個人事業主が廃業する際には、廃業届以外にも提出する書類の他に以下のような書類が必要です。
- 所得税の青色申告の取りやめ届出書
- 事業廃止届出書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
- 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
以下では、廃業時に提出すべき書類4点をそれぞれ詳しくを紹介します。
所得税の青色申告の取りやめ届出書
個人事業主として確定申告時に青色申告をしていた場合、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出する必要があります。青色申告を取りやめる年の翌年の3月15日までに、書類を準備して提出します。青色申告を取りやめる理由を記載する欄には、「廃業するため」など簡単な内容で問題ありません。
事業廃止届出書
個人事業主の際に消費税の課税事業者だった場合、「事業廃止届出書」を提出する必要もあります。課税事業者とは、前々年の課税売上高が1,000万円を超える、もしくは前年1月~6月までの課税売上高が1,000万円を超かつ給与等支払額が1,000万円を超えるケースが該当します。一般的には廃業届と同時に、事業廃止届出書も提出します。
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
個人事業主として従業員を雇用していた場合、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出します。提出期限は廃業してから1か月以内が原則となるため、早めに準備をしておきましょう。
所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
所得税を予定納税していた場合、「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」の提出によって予定納税額が減額・免除される可能性があります。
所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書の提出時には、申告納税額の見積もりをした際の根拠となる資料も必要になるため準備しておきましょう。
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廃業届を作成する前の準備は?
廃業届を作成する際には、事前に準備しておくべき要素があります。以下では、廃業届の作成に必要となる事前準備を解説します。
廃業届の用紙をダウンロードする
まずは廃業届の用紙を、国税庁のホームページからダウンロードしましょう。廃業届の用紙は自宅にいながら印刷して準備できますが、税務署で直接受け取ることも可能です。
廃業届を書くのに必要な情報を集める
廃業届には、さまざまな記載項目があります。スムーズに記載を終えるためにも、開業届の控え、確定申告の控え、マイナンバーカードなどを準備しておきましょう。
廃業届を作成・提出する基本的な手続きは?
廃業届を作成して提出する際には、基本となる手続きの流れを把握するのも重要です。以下では、廃業届の作成と提出における手続きを解説します。
個人事業主としての基本情報を記載する
廃業届には、氏名、職業、屋号、納税地、個人番号など、基本情報の記載が必要です。屋号や職業は、開業時と同じ内容を記載します。”
届出の区分を記載する
届出の区分の欄で「廃業」にチェックし、事由を記載します。廃業の事由には、廃業の判断に至った理由を具体的かつ簡潔に書くのが基本です。
個人事業主の所得の種類にチェックをいれる
個人事業主の所得の種類に、チェックを入れます。該当するすべての項目を記載し、全事業を廃業する場合には「全部」の項目をチェックします。
廃業日を記載する
個人事業を辞めて、実際に廃業した日付を記載します。廃業のタイミングは自由に決めて問題ありませんが、廃業届は一般的に廃業してから1か月以内に提出することを考慮すると良いでしょう。
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無を記載する
廃業に伴って所得税の青色申告の取りやめ届出書・、事業廃止届出書を提出する場合には該当する箇所か所に○を付けます。どちらの書類も届出を出す必要がない場合には、無記入で問題ありません。
廃業して会社員になった場合の年末調整について
個人事業主を廃業して会社員になった場合には、年末調整が必要になります。以下では、年末調整の基本について解説します。
年末調整は入社した会社で行う
個人事業主から会社員になった場合、税金の年末調整は会社に任せることになります。必要書類に記載して提出し、納税額を精算します。確定申告と違い、年末調整は基本的に会社に手続きを委託できます。必要書類への記載など簡単な作業のみで済むため、個人事業主のときと比較して負担が少なくなるでしょう。
年末調整に必要な書類
年末調整には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「保険料控除申告書」「給与所得者の基礎控除申告書申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」の提出が必要です。これらの書類は会社から配布されるため、書き方を確認した上で記載します。
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廃業後も確定申告が必要?
個人事業主の廃業後も、確定申告は必要となります。確定申告をしないと申告漏れとなり、滞納によって延滞金や追加徴税の対象となる可能性があるため注意が必要です。以下では、個人事業の廃業後に行う確定申告について解説します。
年間の事業所得を確定申告で計算・申告する
個人事業主を廃業しても、その年の年間収入を計算して確定申告をする必要があります。例えば1月〜6月まで個人事業主をしてその後廃業し、7月以降会社員になった場合は、年間の事業所得と給与所得を合算して確定申告をします。
会社の年末調整では個人事業の所得を計算してもらえないため、確定申告は忘れないようにしましょう。
個人事業主が廃業する際の注意点は?
個人事業主が廃業する際には、いくつかの注意点があります。廃業時にトラブルが起きないように、以下を参考に注意点を確認しておきましょう。
「休業」の際には廃業届の提出は必要ない
個人事業主には基本的に休業がないため、一時的に事業を休む場合には廃業届などの提出は不要です。そのため一旦休業して会社員に復帰するケースでは、廃業届を出さないのも1つの方法となります。ただし、休業中も青色申告を継続する場合には、事業所得がなくても確定申告が必要です。「休業中」と記入すれば所得が0円でも確定申告は可能なので、手続きだけは通常通り行いましょう。
新規で会社法人を立ち上げる「法人成り」の際にも廃業届が必要
個人事業から会社法人を立ち上げる場合にも、廃業届を提出します。いわゆる「法人成り」の手続きをしても、自動的に個人事業主の事業が廃業されることはありません。そのため廃業届を提出した上で、法人の事業にシフトする必要があります。将来的に法人化を検討している場合には、廃業届が必要なことをこの機会に確認しておいてください。
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まとめ
個人事業主の事業を辞める際には、廃業届を提出して税務署に「辞めた事実」を認識してもらう必要があります。廃業の予定があるのなら、廃業届の書き方や必要な準備について確認しておきましょう。
また、個人事業主から会社員になる場合には、年末調整と確定申告が必要になるケースがあります。それぞれの条件を確認し、必要な対応に備えておきましょう。
個人事業を廃業する理由には、収入の不安定さなどお金の問題が関係することが多いです。個人事業主として成功するためには、お金にまつわる情報を的確に収集できる情報源の確保が重要となります。
- 個人事業主の事業を辞める時は、廃業届を提出して税務署に「辞めた事実」を認識してもらう必要があるよ!
- 個人事業主から会社員になる場合には、年末調整と確定申告が必要になるケースもあるから、自分の立場に応じた準備をしておこう!
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