個人事業主として働き始めると、収入が安定しないことも多いです。そこで配偶者などの扶養に入り、納税の負担を軽くすることも1つの方法です。本記事では個人事業主が入れる扶養の種類と条件、注意点などを解説します。個人事業主として仕事を始める際には、扶養に入るという選択肢も視野に入れてみましょう。
- 個人事業主は社会保険上の扶養を受けることができるよ!
- 条件はあるけど、不要に入ることで様々なメリットがあるから、入れるときは積極的に利用しよう。
- 扶養に入っている場合でも、収入がある場合には確定申告が必要などの注意点があるから、気を付けようね!
目次
扶養とはどんな制度?
そもそも扶養とは、どのような制度なのでしょうか。以下では、扶養制度の基本について解説します。
家族からの経済的援助を受けられる制度
扶養とは、「家族からの経済的な援助を受けられる制度」のことです。所得の少ない家族の税負担や社会保険料は、扶養に入ることで軽減できます。扶養制度において、扶養している人は「扶養者」、援助を受ける人は「被扶養者」と呼びます。社会保険などの加入は義務となっているため、所得が少ない人にとっては納税が負担になるケースもあります。
そこで扶養制度を利用し、家族の協力を得て保険料を抑えることが考えられます。
「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」
扶養には、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。それぞれの特徴を、以下で解説します。
「税法上の扶養」について
税法上の扶養は、所得税と住民税が軽減される制度です。毎年納税が必要な所得税と住民税が少なくなるため、経済的な負担が軽減されます。所得税と住民税は、前年の年収をもとに計算されます。そのため収入が低い場合、そもそも納税額は少なくなります。しかし、個人事業主にとっては事業存続に影響する可能性もあるため、少しでも負担を軽減するために税法上の扶養に入ることがおすすめです。
「社会保険上の扶養」について
社会保険上の扶養は、保険料を納付せずに各保険の仕組みを利用できる制度です。医療費の支払額が一部のみとなるなど、扶養に入ることで多くのメリットがあります。また、社会保険上の扶養に入ると自分で保険料を払う必要がないため、月々にかかる負担を軽減できます。
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個人事業主も社会保険の扶養に入れるのか?
社会保険上の扶養に入ると、収入の低い時期にさまざまなメリットがあります。以下では、さらに詳しく解説します。
個人事業主も社会保険の扶養を受けられる
結論として、個人事業主も社会保険の扶養を受けられます。社会保険に加入している配偶者がいる場合、その人の扶養に入ることで被扶養者として認められます。扶養に入れば配偶者が加入している社会保険と、同様の制度を利用可能です。配偶者が社会保険に加入している際には、扶養制度の活用を検討すると良いでしょう。
社会保険の被扶養者に雇用形態の制限はない
社会保険の被扶養者になるのに、雇用形態の制限はありません。そのため個人事業主に限らず、パートやアルバイトでも、問題なく扶養に入れます。扶養に入った状態で開業届を出し、個人事業主として活動を始めることも可能です。開業届を出したことを理由に、扶養から外れることはないため、安心して個人事業主としての生活をスタートできます。
個人事業主が扶養に入るための条件とは
個人事業主が扶養に入るには、いくつかの条件を満たす必要があります。以下では、税法上の扶養と社会保険上の扶養の加入条件を、それぞれ解説します。
税法上の扶養に入る条件とは
税法上の扶養に入るには、個人事業主としての年収が48万円以下であることが条件です。まだ個人事業主として収入が少ない場合、税法上の扶養に入れる可能性があります。48万円とは基礎控除と同じ額であるため、給与所得のみの場合には103万円以下が条件となります。また、その年の12月31日時点で、納税者(扶養者)と生計を一つにしていることも条件の1つです。
社会保険上の扶養に入る条件とは
個人事業主としての年間収入が130万円未満の場合、社会保険上の扶養に入れます。「配偶者の同一世帯に属している場合」は、年間収入が「配偶者の年間収入の半分未満であること」も、条件となるため注意が必要です。「配偶者の同一世帯に属していない場合」には、年間収入が「配偶者から実施されている仕送り額未満であること」が、扶養に入る条件となります。
75歳以上は後期高齢者医療制度への加入になる
75歳以上になると、「後期高齢者医療保険制度」に加入します。社会保険とは異なる制度であるため、75歳以上は扶養に入れなくなるため注意が必要です。また、60歳以上になった場合にも、国民年金保険料の納付義務がなくなるため扶養から外れます。年齢によって扶養に入れなくなるケースがあるため、将来に向けて確認しておくのもポイントです。
個人事業主が扶養家族になるメリット
個人事業主が扶養に入り、「扶養家族」になることには多くのメリットがあります。以下では、個人事業主が扶養家族になるメリットについて解説します。
保険料・年金の支払いが免除される
個人事業主が社会保険上の扶養に入ると、保険料の支払いが免除されます。そのため個人事業主として収入が少ないときに、経済的な負担を軽くできます。扶養者の保険料だけで保険制度を利用できるため、被扶養者になることで社会制度に対する制限は受けません。また、社会保険上の扶養に入ると、年金も「第3号被保険者」に属するため、納税義務がなくなります。扶養者によって保険料が納付されるため、将来の年金額に影響が出ません。
扶養者は配偶者控除・配偶者特別控除を受けられる
個人事業主が扶養に入ると、扶養者は配偶者控除・配偶者特別控除を受けられる点もメリットです。配偶者控除とは、13〜38万円の控除を受けられる制度です。納税者本人の所得金額の金額によって、受けられる控除額が変わります。
配偶者特別控除とは、配偶者の所得に応じて一定の金額を控除できる制度です。配偶者の所得次第で、3〜38万円の控除が受けられます。配偶者に48万円以上の収入がある場合には、配偶者特別控除が適用されます。これらの控除を活用することで、扶養者の所得を抑えて節税につなげられます。
扶養手当の対象になるケースがある
加入している社会保険によっては、扶養手当の対象になるケースがあります。会社の制度によって詳細は異なりますが、手当によって経済的な負担が軽減されることに期待できます。扶養に入る際には、会社に確認して扶養手当などの詳しい情報を把握しておくことで、個人事業主として働く計画を立てやすくなります。
個人事業主が扶養に入る際の注意点
個人事業主が扶養に入る場合、いくつか注意すべきポイントがあります。以下では、個人事業主が扶養に入る際の注意点を解説します。
年間収入を調整する必要がある
個人事業主としての収入が増えると、扶養から外れてしまいます。保険料の支払いなどが負担になるため、年間収入を調整する必要がある点は注意が必要です。130万円をわずかに上回るくらいの収入だと、税金によって扶養に入っていた時期よりも、経済的な負担が増える可能性があります。扶養から外れるラインである130万円をどの程度上回るのか、しっかりと収入の目安を立てることがポイントです。
もらえる年金の額が少なくなる
被扶養者が属する第3被保険者は、年金の受給額が扶養者の属する第2被保険者と比べて少なくなります。そのため将来的に、年金の受給額で悩む可能性も懸念されるでしょう。事前に年金以外に将来の収入になる制度をチェックし、老後に備えることも必要です。例えば年金の繰下げ受給制度や、定期預金の利用が考えられます。
確定申告は必須
扶養に入っている場合でも、個人事業主としての収入があるのなら、確定申告は必須です。収入があるにも関わらず、確定申告をしていない場合には、後に調査が入って追加徴税などに発展する可能性もあります。扶養の加入状況に関わらず、個人事業主として働くなら確定申告は怠らないように注意しましょう。
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まとめ
個人事業主は配偶者などの扶養に入り、税負担を軽くすることが可能です。税法上の扶養と社会保険上の扶養の両方に入れれば、税負担を大幅に軽減できます。まずは各扶養制度の詳細を確認し、メリットと注意点を把握しておきましょう。個人事業主として働いている際に、税金の支払いが追いつかない場合には、売掛債権を売却するファクタリングの活用がおすすめです。
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