助成金の申請をする場合、事業計画を策定したり、数多くの書類を作成したりと非常に手間がかかります。事業をしながら申請準備をするのが困難と感じる方も少なくないでしょう。また、助成金を利用したことがない方は、手続きの流れや書類の作成方法について不安がある方が多くいます。申請準備に手間がかかる、
本記事では、助成金の申請代行サービスについて、メリットやデメリットを詳しく解説します。申請代行サービスの選び方や、利用時の注意点なども解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 助成金の申請代行を行えるのは社会保険労務士だけだよ!
- 申請代行サービスには悪質なものもあるので、依頼時には注意してね
- どこまでを自力でやって、どこを代行してもらうか見極めるのも重要だよ!
目次
助成金の申請代行サービスとは?
助成金の申請代行とは、助成金の審査申し込みをサポートするサービスです。助成金の申請をするには、さまざまな書類を準備しなくてはなりません。適切に書類作成をするには、ある程度の専門知識が必要になります。時間や労力をかけず、適切に書類準備を進めるのに役立つのが助成金の申請代行サービスです。
助成金の申請代行を行っている専門家は「社会保険労務士」のみ
助成金の申請代行を行えるのは「社会保険労務士(以下:社労士)」のみです。助成金の申請代行は社労士の独占業務なので、税理士や中小企業診断士などは申請代行サービスができません。
社労士の中でも、助成金の申請代行サービスを行っている人・法人は一部となっています。全ての社労士や社労士法人が申請代行をしている訳ではないので注意しましょう。
補助金と助成金では申請代行できる人が異なる
補助金と助成金では、申請代行サービスを行える人が異なります。助成金の申請代行は、前述のとおり社労士の独占業務なので、その他の専門家は代行できません。しかし、補助金は特定の資格者の独占業務ではないので、さまざまな専門家が対応できます。
補助金 | 弁護士、税理士、中小企業診断士、行政書士、金融機関、商工会議所など |
助成金 | 社会保険労務士、および社会保険労務士法人 |
なお、事業者本人が申請をするのはまったく問題ありません。上記は、あくまで申請の代行ができる人です。
助成金申請代行サービスの料金相場
助成金申請代行サービスの料金相場は、着手金が2〜5万円、成功報酬が助成金の10〜30%ほどです。着手金の有無によって、成功報酬の相場も異なります。
着手金の有無 | 成功報酬の相場 |
あり | 助成金の10〜20% |
なし | 助成金の20〜30% |
着手金とは、契約してから1週間前後で支払う料金です。着手金ありの場合は、15%前後の報酬成功となります。成功報酬のみの場合は助成金の25%前後を支払わなくてはなりません。例えば、申請代行を用いて1,000万円の助成金を受給した場合、250万円を社労士に支払う必要があるのです。成功報酬の割合によっては、かなりの金額を支払わなくてはならないので注意しましょう。
助成金の申請代行サービスを利用するメリット
助成金の申請代行サービスを利用すれば、手続きの手間がかからなかったり、審査での指摘を受けにくくなったりと、さまざまなメリットがあります。具体的なメリットは以下の5つです。
- 書類作成にかかる時間を削減できる
- 適切な書類を作成してもらえてスムーズに審査を受けられる
- 労務管理に関する相談ができる
- 助成金申請に関する流れを理解しやすくなる
- その他の助成金情報を教えてもらえる
以下では、助成金の申請代行サービスを利用するメリット5つをそれぞれ解説します。
書類作成にかかる時間を削減できる
助成金の申請をするには、申請書だけでなく、さまざまな書類を準備しなくてはなりません。事業計画書や事業確認書のほか、制度ごとの種類を作成します。例として「人材確保等支援助成金 中小企業団体助成コース」の申請に必要な書類を見てみましょう。
- 改善計画認定申請書とその写し3部
- 認定を受けようとする事業協同組合等の定款
- 認定を受けようとする事業協同組合等の最近3期間の事業報告書、貸借対照表及び損益計算書(最近2年間の事業状況または営業状況及び事業用資産の概要を記載した書類でも可)
- 事業協同組合等の改善事業の実施体制図
引用:厚生労働省『人材確保等支援助成金 中小企業団体助成コースのご案内』
上記のように、おおよそ4〜6種類ほどの書類は必須です。事業をしながら申請書類を準備するとなると、かなりの時間がかかるでしょう。書類作成にかかる時間を削減して、コア業務に集中できるのは助成金申請代行を利用するメリットです。
適切な書類を作成してもらえてスムーズに審査を受けられる
代行サービスをしている社労士はノウハウがあるので、適切に申請書類を作成してもらえます。初めて申請書類を作成する人は、ノウハウがなく記入内容に迷うケースも少なくありません。申請代行を利用すれば、事業者に申請ノウハウがなかったとしても、しっかりとした書類を準備して申請できます。
書類に不備があると、審査で指摘が入り、修正作業を行う必要がでてきます。指摘が入ると審査完了までの時間が長引き、取り組み実施も遅れるので、事業全体が滞る原因にもなるでしょう。助成金をスムーズに受給するとともに、滞りなく事業を進めるためにも、適切な書類を作成してもらえるのは大きなメリットとなります。
労務管理に関する相談ができる
労務管理に関する相談ができるのも、助成金申請代行を利用するメリットといえます。そもそも社労士は、労働社会保険の手続きや、労務管理などの相談を受ける資格者です。申請代行を依頼する際に、労務管理に関する相談もしたいと伝えておけば、対応してもらえます。
具体的には、人材採用・育成や労働時間の管理、賃金の管理などさまざまな労務問題の相談に対応してくれます。ただし、労務問題の相談は別料金となりますので、必ず料金を確認しておきましょう。
助成金申請に関する流れを理解しやすくなる
初めて助成金を申請する方でも、どういった流れで手続きを進めるか理解できるのも、助成金申請代行サービスを利用するメリットです。どういった流れで受給するか教えてもらえると、不安なく手続きを進められるでしょう。
また、助成金は制度ごとに申請方法や手続きの流れが異なります。過去に申請がある人でも、これから利用する助成金は、以前申請したものと流れが異なるかもしれません。手続きの流れを正しく理解し、確実に助成金受給に繋げられるのは、どんな人にとってもメリットになります。
その他の助成金情報を教えてもらえる
申請代行を多く引き受けている社労士であれば、助成金に関する情報を豊富に持ち合わせています。申請する制度以外にも、最新の助成金情報を教えてもらえるのは、申請代行サービスを利用するメリットのひとつです。
事業の状況によっては、検討している以外の助成金のほうが使い勝手が良いかもしれません。また、助成金によってはほかの制度との併用が可能なケースがあります。助成金に関する豊富な知識によって、最適な制度利用の方法を提案してもらえるのは、非常に大きなメリットです。
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助成金の申請代行サービスを利用するデメリット
助成金の申請代行サービスを利用する際は、費用や代行範囲に注意が必要です。デメリットを知らないと、資金繰りや業務負担などに悪影響を及ぼす可能性もあるのでご注意ください。
- 報酬がかかるので補助金を利用するメリットが薄れる
- 代行してくれる範囲が社労士ごとに異なる
以下では、助成金の申請代行サービスに関するデメリット2つを解説します。
費用がかかるので助成金を利用するメリットが薄れる
申請代行を利用すると、助成金の15%前後の費用がかかります。着手金なしの申請代行だと25%前後の成功報酬が発生するので、助成金を受給するメリットが減ってしまうでしょう。そもそも助成金は、設備投資や人材育成などの取り組みに対して、一部費用を支給する制度です。成功報酬が高すぎると、取り組みをするだけ資金繰りが悪化してしまいます。
一方で、申請代行を利用しながらさまざまな助成金・補助金を利用していけば、スムーズに事業を拡大できます。成功報酬が高くても、自社で書類作成や手続きをした場合の人件費を考えれば、大きな支出ではないと言えるケースもあります。
申請後までサポートしてくれるサービスが少ない
助成金の申請代行サービスは、事業計画の策定まで、もしくは申請書類の作成までが基本的な業務範囲です。採択後のサポートまで行っている社労士はあまり多くありません。もし、採択されてからの事業の進め方や、労務相談、完了報告に関する書類作成などまで依頼したい場合には、申請後サポートを行っているかどうか必ず確認しましょう。
ただし、申請後の流れは申請準備に比べてそれほど手間がかかりません。追加料金を支払って代行してもらうよりは、自社でやったほうが良いと考える事業者が多いといえます。申請後のサポートまで依頼したい場合、本当に必要があるのかを検討しておきましょう。
助成金の申請代行サービスを選ぶ際のポイント
助成金の申請代行サービスは数多くあるので、どこに依頼すべきか迷う方も少なくありません。依頼先に迷ってしまった場合は、以下3つのポイントで比較してみましょう。
- 実績や口コミ
- 代行サービスの料金
- 専門性や対応能力
この後の項目では、助成金の申請代行サービスを選ぶ際のポイント3つをそれぞれ解説します。
実績や口コミ
まずは、実績や口コミを確認しましょう。代行実績が豊富な社労士であれば、依頼主に寄り添って事業計画を策定してくれるはずです。また、書類作成もミスなく適切に行ってくれるでしょう。公式サイトSNSやGoogleマップ、口コミサイトなどさまざまな場所から情報を集めてください。
ただし、ネット上には「ステルスマーケティング(以下:ステマ)」と呼ばれる口コミもあります。ステマとは、報酬をもらって良い口コミをする行為です。SNSやGoogleマップなどで口コミを検索する際には、なるべくたくさんの情報を収集しましょう。
代行サービスの料金
予算内の料金で代行サービスを利用できるかも、重要なポイントです。代行サービスによっては、相場よりかなり高い金額になっていたり、料金プランがとても分かりにくかったりします。特に、料金プランが分かりにくい代行業者は、多額の追加料金を請求されるリスクがあるので、料金総額について事前に確認しておくのがおすすめです。
相場よりかなり安い場合は、サービス品質が悪かったり、追加料金で相場以上の費用を請求されたりします。本記事で紹介した料金相場を参考にして、高すぎず安すぎないサービスを選ぶのがおすすめです。
専門性や対応能力
社労士によって、専門性や対応能力は異なります。積極的に申請代行を行っている社労士もいれば、ほとんどやっていない社労士もいるためです。社労士ごとに得意・不得意が異なるので、助成金の申請代行が得意な人・法人に依頼しましょう。
また、事業計画の策定にあたっては、事業に関する理解が必須となります。依頼する際には、自社と同じ業種における申請代行実績があるか、また自社ビジネスに関する理解度が高いかも確認しておきましょう。
助成金の申請代行サービスを利用する際の注意点
助成金の申請代行サービスを利用する際には、依頼方法や業者選定において注意点があります。以下のポイントを把握しておけば、悪質業者に騙されたり、粗悪な書類を作成されたりせず、しっかりと代行作業を進めてもらえるはずです。
- 書類作成を丸投げしない
- 悪質な代行業者の特徴を知っておく
- どこまで代行してくれるかを確認する
この後の項目では、助成金の申請代行サービスを利用する際の注意点を3つ紹介します。
書類作成を丸投げしない
書類作成まで代行してくれる代行サービスでも、作業を完全に丸投げしないようにしましょう。なぜなら、社労士はあなたの事業や、助成金を利用して何をしたいかを完璧に理解している訳ではないからです。最初のヒアリングだけでなく、書類作成途中もコミュニケーションをとって、書類内容に間違いがないか確認しましょう。
また、事業計画の策定に関しても、しっかりと相談しながら進めるようにしてください。言われるままにしていると、自分がイメージしていた計画とズレが生じる可能性があります。事業計画書とやりたかった取り組みにズレがあると、採択後にうまく取り組みが進まず、採択後に変更申請をする事態になるかもしれません。スムーズに事業を進め、助成金を受給するためにも、書類作成の丸投げは辞めましょう。
悪質な代行業者の特徴を知っておく
業者によっては、非常に悪質な代行ビジネスを行っているケースもあります。悪質な業者に依頼してしまうと、適切な事業計画を策定してくれなかったり、高額な費用を請求されたりするので注意が必要です。
- 料金プランが分かりにくい
- 追加料金についてたくさん質問しないと教えてくれない
- 連絡をとっていて、口調・文体に違和感がある(馴れ馴れしいなど】
- 実績がまったくない
- 悪い口コミが目立つ
- (補助金の場合)採択実績を作りたいために、書類を偽造する
悪質でない業者でも、担当者とのコミュニケーションに不安を覚えるのであれば、依頼は控えましょう。申請代行では、社労士と相談をしながら事業計画を策定していきます。きちんと意思疎通が取れないと、書類作成に悪影響があるのです。メールの文面や、会話の態度などに違和感があれば、別の社労士に依頼するようにしてください。
どこまで代行してくれるかを確認する
助成金手続きに関して、代行してくれる範囲は社労士ごとに異なります。申請後のサポートまでしてくれる場合もあれば、事業計画の策定までがサポート範囲で、書類作成は自力でしなくてはならないケースもあるのです。どこまで代行して欲しいのかを明確にしたうえで、依頼したい内容をしっかりと代行してくれるサービスを選びましょう。
なお、書類作成や申請後のサポートなどは別料金としている社労士もいます。依頼する際には、依頼範囲を明確にしたうえで、追加料金がかかるかも必ずご確認ください。
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まとめ
助成金の申請代行サービスは、助成金を利用したいものの忙しく準備が進まないと悩む方におすすめのサービスです。また、事業計画の策定や書類準備の仕方に悩んでいる方にも、おすすめのサービスとなっています。
ただし、申請代行サービスには悪質な業者もあります。また、自社の事業に関する理解度が低く、スムーズに事業計画が策定できない可能性もゼロではありません。口コミや実績などを確認したうえで、事前相談もして、どこに依頼すべきかをしっかりと判断しましょう。
これから助成金の申請代行サービスを利用したいと考えている方にとって、業者選びの参考になれば幸いです。
- 助成金の申請代行を行えるのは社会保険労務士だけだよ!
- 申請代行サービスには悪質なものもあるので、依頼時には注意してね
- どこまでを自力でやって、どこを代行してもらうか見極めるのも重要だよ!
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