建設業の売掛金は、工事は終わったのにまだ入金されていない工事代金のことです。
建設業の会計では、一般の会計でいう売掛金を「完成工事未収入金」という名前で扱います。
工事代金が入る前に材料費や外注費の支払いが必要になる建設業では、売上だけでなく、取引先ごとの残高と支払期日を確認することが大切です。
完成工事未収入金の意味、残高の管理方法、支払期日前に現金化する方法を順に紹介します。

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建設業の売掛金は工事が終わってもまだ入金されていない工事代金のこと
売掛金を理解するには、工事の売上を計上する時点と、工事代金が口座に入る時点を分けて考える必要があります。
工事を引き渡した時点で売上と売掛金が同時に立つ
工事が完成し、注文者へ引き渡したあとに工事代金を請求すると、帳簿には売上と同額の売掛金が計上されます。
この時点では工事代金を受け取っていないため、売掛金は現金ではなく、これから受け取る権利を示しています。
工事契約の内容によって売上を計上する時点が異なる場合もあるため、具体的な会計処理は税理士に相談しましょう。
実際に現金が入るのは支払期日が来てから
請求書に翌月末などの支払期日が定められている場合、現金が口座に入るのは原則としてその期日です。
帳簿に売上が載っていても、支払期日前の売掛金は材料の購入や給与の支払いに使えません。
帳簿上の売上と、実際に使える現金は別のものとして確認する必要があります。
売掛金が多いほど手元の現金は少なくなる
売上のうち売掛金の割合が増えると、まだ現金になっていない工事代金も増えます。
売上が伸びていても、入金前に材料費や外注費を支払えば、口座の残高が減ることがあります。
売上の金額だけで判断せず、売掛金の残高、支払期日、入金済みの金額を一緒に確認しましょう。
建設業の会計では売掛金を完成工事未収入金として処理する
建設業の財務諸表には、一般の業種とは異なる勘定科目があります。
完成工事未収入金と未成工事支出金を区別すると、完成した工事の未回収額と、工事中に支払った費用を分けて確認できます。
完成工事未収入金は一般の会計の売掛金にあたる
国土交通省は、完成工事未収入金を完成工事高に計上した工事の請負代金のうち、まだ回収していない金額と定めています。
建設業の貸借対照表では流動資産に表示され、一般の会計の売掛金にあたります。
一般的な意味と建設業会計の科目は、次のように対応します。
| 一般的な意味 | 建設業会計の科目 |
|---|---|
| 工事の売上 | 完成工事高 |
| 工事の売上原価 | 完成工事原価 |
| 完成した工事の売掛金 | 完成工事未収入金 |
| 未完成工事にかかった費用 | 未成工事支出金 |
出典:国土交通省「建設業法施行規則別記様式第十五号及び第十六号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類」
まだ完成していない工事の費用は未成工事支出金として処理する
未成工事支出金は、まだ引き渡していない工事にかかった材料費や外注費、前渡金などを記録する勘定科目です。
国税庁は、工事期間中の建設資材の購入費や外注工事費などを未成工事支出金で経理し、工事が完了して目的物を引き渡した時点で完成工事原価へ振り替えると説明しています。
完成工事未収入金は完成後の未回収額、未成工事支出金は完成前にかかった費用という違いがあります。
出典:国税庁「No.6487 未成工事支出金の仕入税額控除の時期」
決算書では完成工事未収入金の残高で回収の状況がわかる
決算書の完成工事未収入金を見ると、決算日時点で入金されていない工事代金の残高を確認できます。
残高が増えたことだけで回収の遅れがあるとは限らず、完成した工事や請求額が増えた結果の場合もあります。
取引先別の明細と照らし合わせ、支払期日を過ぎた金額や、以前から残っている金額がないかを確認しましょう。
決算時の詳しい処理や税務上の判断は、事業の状況によって異なるため税理士に相談してください。
建設業の売掛金が大きくなりやすい理由
建設業では、工事の完成から代金の入金までに時間があり、その間にも材料費や外注費が発生します。
工事の規模が大きい場合や複数の現場が重なる場合は、完成工事未収入金の残高も大きくなりやすくなります。
工期が長いほど入金までの期間も長くなる
着工から引き渡しまで数か月かかる工事では、仕事を始めてから最終の工事代金を受け取るまでの期間も長くなります。
着手金や出来高に応じた支払いがない契約では、工事が完了するまで人件費や材料費の支出が先に続きます。
契約時に請求の時期と支払期日を確認し、工事ごとに入金予定日を記録しておきましょう。
元請けは注文者から入金を受けてから下請代金を支払う
建設業法第24条の3第1項は、元請負人が注文者から出来形部分または工事完成後の支払いを受けた場合、その対象工事を施工した下請負人へ、支払いを受けた日から1か月以内かつできる限り短い期間内に下請代金を支払うよう定めています。
1か月の起算点は工事の完成日ではなく、元請けが注文者から支払いを受けた日です。
実際の支払期日は契約書や注文書でも確認し、法令の詳しい適用については専門家へ相談してください。
材料費や外注費を先に立て替える分だけ現金が減る
建設工事では、材料の購入代金、協力会社への外注費、現場までの運搬費などを工事代金の入金前に支払うことがあります。
売掛金が増える時期と支出が増える時期が重なると、帳簿上の売上が増えても口座の残高は減ります。
工事ごとの請求額だけでなく、入金までに先に支払う金額も把握しておくことが大切です。
建設業の売掛金を管理する方法
売掛金の管理では、誰から、いくらを、いつ受け取る予定なのかを一覧で確認できる状態にします。
会計ソフトに加えて表計算ソフトなども使い、自社で毎月続けられる方法を選びましょう。
取引先ごとに売掛金の残高を一覧にする
一覧には、取引先名、工事名、請求書番号、請求額、支払期日、入金日、未入金額を記録します。
同じ取引先から複数の工事を受注している場合は、工事または請求書ごとに行を分けると入金との照合がしやすくなります。
入金があったら未入金額を更新し、帳簿の完成工事未収入金の残高と一覧の合計額が合っているかを確認しましょう。
支払期日を過ぎた売掛金を毎月チェックする
月に1回は支払期日と入金日を照らし合わせ、期日を過ぎても入金されていない請求書を確認します。
期日を過ぎた売掛金をその月のうちに見つければ、請求内容や振込先の誤り、取引先側の処理状況を早めに確認できます。
入金済みの請求書を未入金のまま残さないよう、通帳や入出金明細との照合も行いましょう。
取引先ごとに売掛金の上限を決めておく
同じ取引先から追加工事を受け続けると、その取引先に対する売掛金の残高が大きくなる場合があります。
取引先ごとに受注額と未入金額を確認し、自社が先に負担できる材料費や外注費の範囲を超えないようにしましょう。
上限は事業規模や手元の現金によって異なるため、一律の金額や比率ではなく、自社の支払い予定に合わせて決めます。
- 取引先名と工事名
- 請求額と未入金額
- 請求書の発行日と支払期日
- 実際の入金日と入金額
- 支払期日を過ぎた日数

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建設業の売掛金を支払期日前に現金化する方法
支払期日前の売掛金は、ファクタリングや手形割引を使って現金化できる場合があります。
どちらも手数料などの負担があるため、受取額と支払いに必要な金額を比べて判断しましょう。
ファクタリングは売掛金を売って現金にする
ファクタリングは、支払期日前の売掛金をファクタリング会社へ売り、手数料を差し引いた現金を受け取る方法で、借入ではありません。
審査では申込者の状況だけでなく、工事代金を支払う取引先の信用や請求書の内容が確認されます。
ファクタリングの取引方法や手数料を詳しく知りたい人は、下記の記事も参考になります。
手形で受け取った工事代金は手形割引で現金化する
工事代金を約束手形で受け取った場合は、銀行や手形割引業者へ手形を譲渡し、期日前に現金を受け取る手形割引があります。
手形の額面から割引料などが差し引かれ、手形が不渡りになった場合の責任もファクタリングとは異なります。
ファクタリングと手形割引の違いを確認したい人は、下記の記事も参考になります。
現金化には手数料がかかるので受取額は減る
売掛金や手形を支払期日前に現金化すると、額面の全額を受け取れるわけではありません。
手数料や割引料が差し引かれるため、受取額は請求書や手形に記載された金額より少なくなります。
受取額、入金日、必要な支払額を事前に計算し、早く現金を受け取る必要がある場合に絞って使いましょう。
売掛金を現金化する方法を比べたい人は、下記の記事も参考になります。

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売掛金が回収できなくなるリスクへの備え
売掛金を回収できなくなるリスクを減らすには、取引を始める前の確認と、契約内容を文字で残す運用が必要です。
取引先と受注を1社に偏らせないことも、工事代金の入金が遅れた場合の影響を小さくします。
新しい取引先は会社の情報を確認してから取引を始める
新しい取引先から工事を受ける前に、会社名、所在地、連絡先、担当者、契約主体が一致しているかを確認しましょう。
法人の場合は、国税庁の法人番号サイトで商号または名称、本店所在地、法人番号を確認できます。
法人番号の情報だけで支払能力を判断することはできないため、契約内容や過去の入金状況もあわせて確認する必要があります。
契約書や注文書を必ず書面で残す
工事名、施工範囲、請負代金、追加工事の扱い、検収条件、支払期日は、契約書や注文書に記載します。
現場で変更が決まった場合も口頭だけで終わらせず、メールやチャットで内容と金額を残しましょう。
請求時には契約書、注文書、完了確認の記録、請求書を同じ工事名で管理すると、取引内容を確認しやすくなります。
取引先を1社に集中させない
売上の大半を1社に頼ると、その会社からの入金が遅れたときに、材料費や外注費の支払いへ与える影響も大きくなります。
複数の取引先と継続して仕事をすることで、1社の入金状況が事業全体へ与える影響を小さくできます。
ただし、取引先を増やすことだけを目的にせず、受注量と管理にかかる手間の両方を確認しましょう。
売掛金回収の一般的な手順を知りたい人は、下記の記事も参考になります。
建設業の売掛金の現金化にペイトナーのファクタリングが選ばれる理由
ペイトナーのファクタリングは、一人親方や個人事業主の建設業者向けのサービスです。
主な特徴を紹介します。
手数料一律10%で受取額を事前に計算できる
ペイトナーのファクタリングの手数料は一律10%で固定されているため、申込前に受取額を計算できます。
たとえば元請けへ送った50万円の請求書を申し込む場合、手数料は5万円で、受取額は45万円です。
請求書の金額と必要な支払額を比べてから申し込めます。
最短10分入金・土日祝日も対応
申込に必要な情報と書類がそろい、営業時間内に審査が始まり、追加確認がなければ、審査開始から入金まで最短10分です。
審査完了後の振込は土日祝日を含む365日に対応していますが、審査は365日実施ではありません。
審査の開始時期や入金時期は申込内容によって異なるため、余裕を持って手続きを進めましょう。
1万円の少額から利用できる
ペイトナーのファクタリングは1万円から申し込めるため、少額の材料費や外注費を用意したい場合にも選択できます。
初回の利用上限は50万円で、利用実績に応じて最大300万円まで増額されます。
対象は取引先へ送付済みで、申込日から支払期日まで70日以内の請求書です。
支払期日を過ぎた売掛金は対象外のため、請求書の支払期日を確認してから申し込みましょう。
ペイトナーのファクタリング サービス概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手数料 | 一律10%(固定) |
| 入金スピード | 営業時間内に審査開始・追加確認なしの場合、最短10分 |
| 利用可能額 | 1万円〜(初回上限50万円、実績に応じて最大300万円) |
| 土日祝日対応 | 審査完了後の振込は土日祝日を含む365日対応(審査は365日実施ではない) |
| 審査 | AIと人の併用 |
| 申込方法 | 完全オンライン・面談不要 |
| 必要書類 | 初回は請求書・本人確認書類・入出金明細など(2回目以降は原則として請求書のみ。追加書類を求められる場合あり) |
少額から使えるファクタリングを比べたい人は、下記の記事も参考になります。
建設業の売掛金でよくある質問
建設業の売掛金と完成工事未収入金について、決算書の見方や一人親方の管理に関する質問へ回答します。
Q. 完成工事未収入金と売掛金は同じものですか?
完成工事未収入金は、一般の会計の売掛金にあたる建設業会計の勘定科目です。
建設業の貸借対照表では、完成工事高に計上した工事のうち、まだ受け取っていない請負代金を流動資産の完成工事未収入金に表示します。
帳簿で使う正式な科目は、会計ソフトの設定や事業の状況も確認して税理士に相談しましょう。
Q. 売掛金は決算のときにどう扱いますか?
決算日時点でまだ入金されていない工事代金は、完成工事未収入金の残高として貸借対照表に表示されます。
ただし、売上を計上する時期や回収できない金額の扱いは、契約内容や事実関係によって変わります。
仕訳、決算書への表示、税務上の判断は税理士に相談してください。
Q. 一人親方でも売掛金の管理は必要ですか?
一人親方でも、工事代金を後日受け取る取引があるなら売掛金の管理が必要です。
取引件数が少なくても、1件の請求額が大きい場合は、入金の遅れが材料費や生活費の支払いに影響します。
取引先、請求額、支払期日、入金日を一覧にし、月に1回は未入金額を確認しましょう。
個人事業主向けファクタリングの基本を知りたい人は、下記の記事も参考になります。
まとめ
建設業の売掛金は、完成工事未収入金として取引先と請求書ごとに残高を管理することが大切です。
完成した工事の未回収額と、未完成工事にかかった費用を分け、支払期日を過ぎた請求書がないか毎月確認しましょう。
材料費や外注費の支払いに現金が必要な場合は、手数料で受取額が減ることを確認したうえで、支払期日前の売掛金を現金化する方法も選べます。

- 完成工事未収入金は、完成した工事のうちまだ受け取っていない代金だよ。
- 取引先ごとの残高と支払期日を毎月確認することが大切だね。
- 支払期日前なら、ペイトナーのファクタリングで現金化する方法もあるよ!
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