人件費や物価高騰などによって、資金繰りが悪化している建設業者は少なくありません。資金繰りが悪化している際には、カードローンやファクタリングだけではなく、補助金・助成金を活用していくのも非常に重要です。
本記事では、建設業者や建築業社が利用できる補助金や助成金を紹介します。利用するメリット・デメリットや手続きの流れなども解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 建設業が利用できる補助金・助成金は数多くあるよ!
- 取り組み実施前に申請しなくてはならない制度がほとんどなので、申請するタイミングには十分注意しよう
- すぐに資金調達できる制度ではないので、必要に応じて別の資金調達方法も活用していこう!
目次
そもそも補助金・助成金とは?
補助金と助成金、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。以下で詳しく説明します。
補助金は審査を通過すると支給される
補助金は、条件を満たしていて、なおかつ審査に通過した人にのみ支給される資金援助制度です。基本的には、申請時に「事業計画書」を提出し、計画通りに事業が完了すれば支給されます。条件を満たしていても、受付状況や事業状況によっては支給されない可能性があるので注意が必要です。
助成金は条件を満たしていれば原則支給される
助成金は、条件を満たしていれば支給される資金援助制度です。補助金とは異なり、条件を満たしているのに支給されない、といったケースは原則としてありません。申請期間も比較的長く、利用しやすいのが特徴です。
建設業が補助金・助成金を利用する理由
補助金・助成金を利用している建設業は少なくありません。制度としても、建設業向けにつくられたものがいくつかあります。では、なぜこれほどまでに建設業が補助金・助成金を利用する流れとなっているのでしょうか?以下では、建設業が制度を利用する理由について、3つのポイントに分けて解説します。
建設業の2024年問題が来年に迫っている
2024年から、建設業にも「時間外労働上限規制」が適用されます。制限が適用されれば、これまでのように時間外労働をさせるのが難しくなるため、人手不足が深刻化すると考えられており、業界内では「2024年問題」と言われています。
物価高や最低賃金の高騰に加え、制度適用による人件費の高騰も重なれば、資金繰りが悪化するのは避けられません。こうした要因による資金繰り悪化をすこしでも和らげるためには、補助金や助成金の利用が必須ともいえます。
建設業は報酬支払いまでの期間がとても長い
建設業は「翌々月末払い」のように、報酬を受け取るまでの期間が非常に長く設定されるケースが少なくありません。また、計画・施行・引き渡しで数か月から数年ほどかかるため、仕事が決まってから報酬を受け取るまでには1年近くかかるケースも多くあります。
こうした建設業ならではの事情によって、仕事はあるのに報酬が入らず資金繰りが厳しくなる企業は少なくありません。報酬支払いまでの期間も事業を存続させるための手段として、補助金や助成金を上手に活用するのが大切になってきます。
物価や人件費が高騰している
昨今は為替や社会情勢などの影響によって、物価や人件費が高騰しています。建設業だと、資材の高騰によって仕入れ費用が劇的に増額していて、資金繰りが厳しくなっているケースが目立ってきました。
こうした社会情勢によるダメージを和らげるのも、補助金や助成金の役割です。制度によっては、社会情勢や制度変革によって資金繰りが悪化している企業に向けて、事業存続のための資金援助をすることを目的としているケースがあります。もし、外的要因によって資金が減っている場合には、事業存続サポートを目的とした補助金や助成金がないか探してみましょう。
助成金・補助金を利用するメリット・デメリットは?
助成金や補助金を利用するにあたっては、さまざまなメリットとデメリットがあります。メリットだけでなく、デメリットも把握していないと、思わぬトラブルに繋がる可能性があるので注意しましょう。以下の項目では、助成金・補助金を利用する際のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
助成金・補助金を利用するメリット
助成金・補助金を利用するメリットは、返済の必要がなく資金繰りの改善に役立てやすい点です。代表的な資金調達方法であるカードローンや銀行融資は、利子をつけて返済しなくてはなりません。一時的には資金が増えますが、トータルで見れば必ずマイナスになる仕組みなのです。調達した資金を活かしてしっかり利益を出せなければ、資金がショートしてしまいます。
しかし、助成金や補助金であれば返済の必要がないため、マイナスになりません。書類作成の代行費用や書類郵送費を除けば、絶対にマイナスにはならないのが大きな魅力です。また、助成金や補助金の審査に通った場合、事業に対する社会的信用をアップさせられます。今後より大規模な資金調達がしやすくなる可能性もあります。
助成金・補助金を利用するデメリット
助成金・補助金を利用するデメリットは、提出書類が多い点です。事業の計画書や事業状況を説明する書類などが必要になるため、書類準備にかなりの時間がかかります。専門的な知識が必要になるケースも多く、制作代行を利用しなくてはならない場合もあるため注意が必要です。
また、審査を通らなかったり、採択取消になったりして、支給してもらえないケースもあります。また、申請から支給されるまでには数か月ほどかかるのが基本なので、すぐに資金が調達できないのもデメリットです。
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【2023年】建設業が利用できる補助金・助成金11選
2023年10月現在、建設業が利用できる補助金や助成金には、以下の制度があります。
- 事業再構築補助金
- IT導入補助金
- ものづくり補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 業務改善助成金
- 建設事業主等助成金
- 建設事業主助成金
- トライアル雇用助成金
- 人材開発支援助成金
- 人材確保等支援助成金
- 職場環境改善計画助成金
以下で、各制度について詳しく解説しますので、利用できる制度がないか探してみましょう。
事業再構築補助金
対象者 | 時代変革に対応するため事業を再構築する事業主 |
支給額 | 100〜8,000万円 ※企業規模などにより異なる |
支給までの流れ | ①「GビズIDプライム」にて電子申請 ②採択通知 ③交付申請 ④事業実施 ⑤事業の実施報告 ⑥交付額の決定 ⑦補助金の請求、交付 ⑧事業状況などの報告 |
事業再構築補助金は、社会情勢の変化によって売上回復が難しいなかで、制度変革への対応も求められる状況において、事業を再構築するための資金を援助するためにつくられた補助金制度です。「グリーン枠」「卒業促進枠」「大規模賃金引上促進枠」などさまざまな枠が設けられており、第11回は7つの枠から選んで申請できます。資金繰りの改善に向けて、事業再編や業態転換など新たな道を切り開こうと考えている事業主におすすめします。
IT導入補助金
対象者 | 業務改善ソフトやセキュリティ対策ソフトを導入した事業者 |
支給額 | 5〜450万円 ※種類により異なる |
支給までの流れ | ①ITソリューション導入の準備 ②専用サイトから交付申請 ③ITソリューションの導入 ④事業実績報告 |
IT導入補助金は、業務効率化のためにITツールを導入しようと考えている事業主に向けて、導入費用の援助をしている制度です。セキュリティ対策費用やインボイス制度対応のためのツール導入なども、補助対象になります。5つの枠(型)があり、IT関連の費用であれば柔軟に補助してもらえるので、利用できるものがないか探してみましょう。特に、インボイス制度対応に向けてツール導入を検討している方は、ぜひ申請してみてください。
ものづくり補助金
対象者 | インボイス対応や賃上げ、被用者保険の拡大など制度変革の対応に苦慮する事業主 |
支給額 | 100〜1,250万円 ※種類により異なる |
支給までの流れ | ①「GビズIDプライム」にて電子申請 ②採択通知 ③交付申請 ④事業実施 ⑤事業の実施報告 ⑥交付額の決定 ⑦補助金の請求、交付 ⑧事業状況などの報告 |
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、制度変革に対応するために、サービスの開発や業務効率の改善などをしている事業主をサポートしている制度です。試作品の開発や、新しい設備の導入にかかった費用の一部を補助してもらえます。設備投資や新製品の開発などを通じて、事業の立て直しをしていきたいと考えている事業者におすすめです。
小規模事業者持続化補助金
対象者 | 小規模事業を営む事業主 |
支給額 | 〜200万円 ※種類により異なる |
支給までの流れ | ①経営計画書・補助事業計画書の作成 ②商工会議所へ「事業支援計画書」の交付を依頼 ③申請書類を事務局に提出 ④審査 ⑤事業実施 ⑥実績報告を提出 ⑦審査、補助金額決定 ⑧補助金請求、交付 ⑨状況報告書の提出 |
小規模事業者持続化補助金は、名称のとおり、小規模事業を営む事業者が、事業の存続に向けて新規販路の開拓や業務改善をしていくための費用をサポートしている制度です。「通常枠」「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」と5つの枠があります。事業拡大によって小規模事業者からの卒業を目指す方や、販路開拓をしていきたい方などにおすすめです。
業務改善助成金
対象者 | 設備投資や人材育成を行うとともに労働者賃金を一定額アップした事業者 |
支給額 | 60〜600万円 |
支給までの流れ | ①「交付申請書」「事業実施計画書」を労働局に提出 ②審査、交付決定 ③事業実施 ④「事業実績報告書」「支給申請書」の提出 ⑤審査、助成金の交付 |
業務改善助成金は、業務改善と賃金引き上げをセットで行った場合に、改善にかかった費用の一部を助成してもらえる制度です。設備投資費用だけでなく、人材育成やコンサルティングなどにかかった費用も助成対象となっています。原則として賃金引き上げ前に申請する必要がありますが、事業場規模50人未満の事業であれば、賃金引き上げ後の申請も可能です。
トライアル雇用助成金
対象者 | 35歳未満の方、もしくは女性を試行雇用した事業主 |
支給額 | 1人あたり4万円/月×3か月 |
支給までの流れ | ①試用雇用開始後14日内に計画書を提出 ②試用雇用が終了してから2か月以内に申請書を提出 ③審査に通れば支給 |
トライアル雇用助成金では、35歳未満の人物、もしくは女性を試行雇用した場合に、賃金や教育費相当の金額を支給してもらえます。なお、若年・女性建設労働者トライアルコースを利用するためには、一般コースもしくは障がい者コースもあわせて申請する必要があるので注意しましょう。
人材確保等支援助成金
対象者 | 職場環境の改善により魅力度を高め、人材確保に努めている事業主 |
支給額 | コースごと所定の金額 |
支給までの流れ | ①計画書の提出 ②取り組みの実施 ③完了後、申請書の提出 ④審査に通った場合は支給 |
人材開発支援助成金は、従業員の技能向上に向けた取り組みをした場合に利用できる助成金です。7つのコースがあり、建設業向けとしては「建設労働者認定訓練コース」や「建設労働者技能実習コース」などがあります。経費助成と賃金助成が利用できる制度で、労働者の技能向上をして、事業の生産性を高めたいと考えている事業者におすすめです。
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建設業が補助金・助成金を利用する際の流れは?
補助金・助成金を利用する際の流れは、制度によって大きく異なります。以下では、オーソドックスな流れを解説しますが、違う流れで手続きをしていくケースも多くありますので、必ず要項をご確認ください。
①支給要項を確認する
まずは、支給要項を確認して、条件を満たしているか確認しましょう。補助金や助成金はとても細かく条件が決められているので「条件を満たせていないのに申請をしてしまった」といったことがないよう、隅々まで目を通すようにしてください。
なお、制度によっては「〇〇枠」といくつかの枠が設けられている場合もあります。条件を満たせていない場合でも、別の枠であれば申請できる可能性があるので、1つの枠だけでなく全ての枠を確認しましょう。
②提出書類の準備をする
条件を満たしていることが確認できたら、提出書類の準備をします。書類準備には2週間前後かかるケースが多いので、余裕をもって進められるよう早めに取りかかるのがおすすめです。
なお、補助金は申請期限前であっても、予算上限に達したために受付を終了する場合があります。申請期限に余裕があっても、なるべく早めに書類を提出できるようにしましょう。
③書類提出をして審査を受ける
書類が準備できたら、所定の方法で提出しましょう。補助金・助成金によって提出方法は異なり、電子申請で受け付けている場合もあれば、原則郵送でしか受け付けていない場合もあります。官公庁主催の制度は電子申請、地方自治体主催の場合は郵送が多いようです。なお、郵送の場合は「当日消印有効」の場合と「締め切り当日必着」の場合があるので、期限直前に提出する場合はご注意ください。
書類提出が完了したら、審査結果が出るまで待ちます。制度や応募状況によって異なりますが、審査に1か月以上かかる場合もありますので、注意が必要です。すぐ支給される前提で資金繰りを考えないようにしましょう。
④審査に通ったら事業を行う
審査が通り採択通知が届いたら、計画書に沿って事業を進めていきます。この工程で行うべきことは補助金・助成金によって異なり、社員教育をしたり、ITツールを導入したりとさまざまです。計画書通りに事業が進まないと補助金・助成金が支給されないので、しっかりと施策を打っていきましょう。
なお、補助金・助成金によっては、審査に通ればそのまま支給される場合もあります。特に、社会情勢によってダメージを受けている事業者向けの支援制度は審査通過後にそのまま支給されるケースがありますので、詳しくは各制度の要項をご確認ください。
⑤計画通りに事業が完了したら完了報告をする
計画通りに事業が完了したら、完了報告を行いましょう。完了報告をしないと、補助金・助成金が支給されませんので、早急に手続きをするようにしてください。なお、計画通りに事業が進まなかった場合、減額や採択取消しになる可能性があります。
⑥補助金・助成金が支給される
完了報告をしたら、再度審査が行われます。提出書類に問題がなければ、補助金・助成金が支給されますので、登録口座を確認しましょう。
建設業が補助金・助成金を利用する際の注意点
メリットが多くある補助金・助成金ですが、利用にあたってはいくつかの注意点があります。以下の注意点を知らないと、準備した提出書類が無駄になったり、審査が通りにくくなったりする可能性があるので、お気を付けください。
必ず支給されるとは限らない
補助金・助成金は、採択通知を受け取ったとしても100%支給されるとは言い切れません。計画書を提出するタイプの場合、計画通りに事業を行えなければ、減額や取消しのリスクがあるためです。
例えば、審査に通りやすくするため無理のある計画書を作ってしまうと、計画倒れを起こし、採択取消しになるリスクが高まります。最悪の場合、計画達成のためのコストだけかかり、補助金・助成金が受け取れず資金繰りが余計に悪化する可能性があるので、十分に注意しましょう。
提出期限前に受付が終了する場合がある
補助金は、制度の予算上限に達してしまうと早期に受付を終了してしまいます。申請期限までに間に合うように書類準備をしていても、早期終了によって提出できなくなる可能性があるので、受付を開始したら早期に手続きを行うようにしましょう。
書類に不備があると審査期間が延びる
書類に不備があった場合、基本的には事務局から問い合わせがきます。書類を修正して再提出しなくてはならず、通常よりも審査に時間がかかってしまうので、書類不備には十分注意しましょう。
また、正しい内容で審査を受けられず、不採択となってしまうリスクも高まります。きちんと実態を伝えるために、書類の不備がないかダブル・トリプルチェックを徹底してください。初めて申請書類を作成する場合は、専門家に作成を依頼するのもおすすめです。
実施前に申請する必要がある
設備投資や賃金引き上げなどが補助・助成条件となっている場合、基本的にはまず申請をしてから実施しないといけません。既に購入した機械の費用や、コンサルシング費用などは対象にならないので注意しましょう。
ただし、制度によっては取り組みを実施してから一定期間内に申請すれば良いケースもあります。ただし、どんなタイミングでも申請可といった制度はないので、いつ申請すれば良いのか必ず確認しましょう。
まとめ
資金繰りが悪化している建設業の方は、積極的に補助金・助成金を活用しましょう。審査に通れば、職場環境や業務効率、賃金などさまざまな面を改善しやすくなります。ただし、申請のタイミングが制度によって異なっていたり、予算上限に達して早期に受付を停止する可能性があったりします。申請にあたっては、それぞれの制度要項を熟読したうえで、余裕をもって手続きを進めるようにしてください。
- 建設業が利用できる補助金・助成金は数多くあるよ!
- 取り組み実施前に申請しなくてはならない制度がほとんどなので、申請するタイミングには十分注意しよう
- すぐに資金調達できる制度ではないので、必要に応じて別の資金調達方法も活用していこう!
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