工事現場で働く個人事業主・一人親方は、工事保険への加入を検討しましょう。労災保険だけでカバーできない事故について補償してくれるので、事故負担を減らし、万が一のリスクに備えられます。
この記事では、工事保険の具体的な補償内容や、労災保険との違いを解説します。実際に補償を受けられる事例についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 工事保険は、従業員や資材、第三者に関するトラブルに備えるための保険だよ!
- 昨今では、工事保険の加入を契約条件としているケースもあるんだ
- 工事保険の保険料は業種や工事内容などによって異なるから、保険会社に問い合わせてみよう
目次
工事保険とは?
工事保険とは、工事での事故による損害を補償してくれる保険です。
建設業は、ほかの業種とくらべても事故リスクの高い業種です。厚生労働省の調査によると、2023年に発生した建設業の労災事故のうち、休業4日以上の死傷者数は14,414名、志望者数は223名となりました。これは、運送業や製造業などと比較しても多い数値です。
こうした工事現場でのリスクに備え、損害賠償によるダメージを少しでも減らすため、個人事業主や一人親方でも工事保険への加入が必要とされています。
参考:厚生労働省『令和5年の労働災害発生状況を公表』
労災保険との違い
労災保険との主な違いは、補償内容と金額です。
人を雇った場合、必ず労災保険に加入する必要があります。しかし、この労災保険は人がケガをしたり死亡した場合に関する保険で、「モノ」や「第三者が絡む事故」については対象外です。
また、事故に関する「入院・通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」も補償対象外となっています。
このように、労災保険では補償されないリスクについて、工事保険で備える必要があるのです。
工事保険のおもな種類
「工事保険」は、工事現場でのリスクに備える保険の総称です。具体的にどんな保険があるかを知って、自分に必要なものに加入しましょう。
- モノの損害でつかる保険
- ヒト関連の事故でつかえる保険
- 第三者が絡む事故でつかえる保険
それでは、具体的にどんな保険があるのか、何が補償されるのかを解説します。
なお、以下の解説はあくまで一般的な補償内容についてです。保険の種類によって異なる場合があるので、加入する保険の補償内容をご確認ください。
モノの損害でつかる工事保険
建物や資材、リース機械、会社備品などのモノが破損・盗難された場合につかえる保険です。損害に対する保険としては、以下のものがあります。
- 土木工事保険
- 建設工事保険
- 組立保険
なお「工事保険」という場合、上記のような保険を指す場合もあります。元請け会社から工事保険への加入を求められた場合、どんな補償内容の保険を指しているのか確認しておきましょう。
ヒト関連の事故でつかえる工事保険
自社や下請け業者が、作業中にケガをした、もしくは死亡した場合に備える保険です。加入義務がある労災保険に上乗せで加入する保険と考えるとよいでしょう。
- 任意労災保険
- 業務災害補償保険
- 労働災害総合保険
入院・通院・手術の費用や、休業・後遺障害・死亡事故時の賠償請求に対する補償があります。
第三者が絡む事故でつかえる工事保険
資材が落下して通行人がケガをした、配線ミスで火災が発生したなど、第三者に対してケガを負わせてしまったり、物を破損した場合につかえる保険です。
- 請負業者賠償保険
- 生産物賠償責任保険(PL保険)
「請負業者賠償保険」は工事中の損害賠償事故、「生産物賠償責任保険(PL保険)」は公示後の損害賠償事故につかえます。
なお、PL法については以下のページを参考にしてください。
個人事業主・一人親方でも保険は必要?実際の補償事例について
「労災保険もあるし、個人事業主・一人親方なら、保険なしでもいいんじゃないか?」と思う人もいるかもしれません。しかし、むしろ個人事業主や一人親方こそ、保険は必要です。
法人でも個人事業主でも、賠償金の額は変わりません。そのため、大規模な組織よりも、個人事業主が賠償責任を問われたときのほうが、よりダメージは大きいのです。
昨今では、個人事業主・一人親方であっても、工事保険への加入が契約条件に含まれている場合は少なくありません。万が一のリスクに備えるとともに、さまざまな依頼へ対応できるように、保険への加入を検討しましょう。
①工事中に作業員がケガを負った
工事中に作業員がケガを負った場合、通院・入院・手術にかかった費用について損害賠償請求を受ける場合があります。
労災保険の補償もありますが、全額ではありません。特に、重い後遺障害が残ったり、死亡事故になってしまうと、多額の賠償金を請求されます。場合によっては、数千万〜数億円の損害賠償請求がされるケースもあるでしょう。
こうした作業員のケガのリスクに備えるには、任意労災保険や業務災害補償保険などが有効です。
②保管していた資材が盗まれた
保管していた資材が盗まれた場合、新たな資材の調達に莫大な費用がかかるケースがあります。また、資材がないことで工事が中断し、多額の損害を被る場合もあるでしょう。
工事の中断により工期が遅れれば、依頼主から損害賠償請求をされるリスクもあります。こうした事故に対しては、建設工事保険や土木工事保険などが使えます。
③高層からの資材落下により通行人がケガを負った
クレーンでつり上げていた資材が落下し、通行人にケガを負わせてしまう事例もあります。通行人の通院費や治療費のほか、後遺障害や死亡に対する損害賠償が請求されるケースもあるでしょう。
こうした第三者が絡む事故については、請負業者賠償保険やPL保険で備えることができます。
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個人事業主の損害保険・工事保険の保険料・月額目安
個人事業主が工事保険や損害保険に加入した場合、保険料は工事や補償の内容によって異なります。工事保険の保険料を決める要素は、以下のとおりです。
- 売上高、請負金額
- 業種
- 工事の内容
- 支払限度額(補償限度額)
- オプション
昨今は1工事ごとのスポットではなく、年間契約で利用する保険が主流になりつつあります。スポット利用したい場合は、都度工事内容によって保険料が変動するので、詳細は保険会社に問い合わせましょう。
業種によっても保険料が異なりますが、特に事故リスクの高い解体業については保険料を高めに設定しているケースが多いでしょう。
個人事業主・一人親方におすすめの工事保険
個人事業主・一人親方におすすめの工事保険の特徴は、以下のとおりです。
- さまざまなリスクをカバーしている
- 料金シミュレーションをサイト上でできる
- 補償内容を細かく選べる、オプションが充実している
- 法人向けと別に、一人親方向けプランが用意されている
必要な補償内容が人それぞれ細かく異なるので、包括的にカバーしているか、もしくは補償内容を細かく選択できる保険がおすすめです。
また、オプションが充実している保険だと、より自分にあった内容で利用できるでしょう。
個人事業主や一人親方の場合、保険料がいくらかわからず不安と感じる方も多いかと思います。料金シミュレーションをサイト上でできたり、問い合わせた際に詳細に案内してくれる保険会社であれば、安心して利用できるでしょう。
個人事業主・一人親方の工事保険に関するよくある質問
個人事業主・一人親方の工事保険に関しては、以下のような質問を抱く人が多くいるでしょう。
- 現場ごとに工事保険をかけることは可能?
- 物損保険と損害賠償保険の違いは?
- 請負業者賠償責任保険でおすすめなのは?
それでは、よくある3つの質問について以下で回答します。
現場ごとに工事保険をかけることは可能?
保険によっては、1現場ごとに保険をかけることもできます。基本的には、資材搬入から引き渡しまでを保険期間として、期間内の事故について補償を受けられる保険が多いでしょう。こうした単発利用を「スポット契約方式」と呼びます。
スポット契約方式は、例えば危険度の高い工事や、高額資材を利用するときなど、ハイリスクな工事でのみ加入できるのがメリットです。
一方、工事ごとに手続きをしないといけなかったり、工事内容に少しでも変更があったら申請しないといけないのはデメリットでしょう。スポット契約方式は、工事内容によって保険料が変動するため、工事内容の変更を申請していないと、正しく補償を受けられない可能性があるのでご注意ください。
物損保険と損害賠償保険の違いは?
物損保険と損害賠償保険の違いは、補償内容です。
そもそも、物損保険(対物賠償保険)は、物損による損害賠償に備える保険のこと。つまり、損害賠償保険の一部なのです。
損害賠償保険は、物損事故をふくむ以下のような損害賠償請求に備える保険となっています。
- 不法行為による賠償請求
- 工事現場での対人・対物事故による賠償請求
- 製造物の不備による事故に関する賠償請求
- 契約不履行による取引先の損害に対する賠償請求
上記のように、損害賠償保険は損害賠償請求に備える保険全般を指します。物損保険は物損事故での損害賠償請求に備える保険なので、損害賠償保険の一部なのです。
請負業者賠償責任保険の特約でおすすめなのは?
請負業者賠償責任保険の特約としては、以下のものがあります。
- 被保険者管理の財物の損壊に関する特約
- リースやレンタルしたものの損壊に関する特約
- 被保険者に支給された資材や商品等の損壊に関する特約
- 工事の遅延による損害に関する特約
- 被保険者の工事に伴う地盤崩壊に関する特約
どの特約がおすすめかは、業種や工事内容によって異なります。想定されるリスクにあわせて選択しましょう。
労災保険で補償されるものは?
国の制度である労災保険では、以下のような補償を受けられます。
- 療養給付
- 休業給付
- 傷病年金
- 障害給付
- 遺族年金
- 葬祭給付
- 介護給付
- 二次健康診断等給付
ケガや休業に対する給付から、後遺障害・死亡事故に対する補償、遺族年金、二次健康健康診断の費用補償などがあります。
ただし、上記のような補償は全額をカバーしている訳ではありません。また、労災保険はあくまで「ヒト」に対する保険なので、モノや第三者に関するリスクには対応していません。
そのため、工事保険をうまく活用して、より多くのリスクに適切な備えをしておくことが重要です。
まとめ
工事保険とは、現場作業をする人におすすめの保険です。従業員や第三者がケガをしたり、リース機材を壊してしまったり、資材が盗難されたりした際に、その損害を一部保証してくれます。
個人事業主・一人親方でも、この工事保険は加入可能です。工事保険を活用して、万が一のトラブルにしっかりと備えておきましょう。
- 工事保険は、従業員や資材、第三者に関するトラブルに備えるための保険だよ!
- 昨今では、工事保険の加入を契約条件としているケースもあるんだ
- 工事保険の保険料は業種や工事内容などによって異なるから、保険会社に問い合わせてみよう
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