個人事業を営むうえで、自分一人だと仕事が回らなくなるケースもあるでしょう。事業展開において、人手不足を感じたら、アルバイト・パートの雇用を検討しましょう。よい人材を採用できれば、一人でやるよりも、さらにスピーディーに事業展開できるかもしれません。
本記事では、初雇用を控える個人事業主に向けて、給与の決め方を解説します。各種手続きの方法や、雇用準備のポイントなども解説するので、ぜひ参考にしてください。
- 個人事業主・フリーランスでも、従業員を雇えるよ!
- 雇用する際には、各種保険手続きや税務手続き、帳簿作成などたくさんの準備が必要なんだ
- 労働条件通知書(雇用契約書)の作成も必要なので、最低でも雇用する1か月前くらいから準備を進めていこう!
目次
個人事業主は人を雇用できる?
個人事業主であっても、従業員を雇い入れることは可能です。
そもそも個人事業主とは、税務署に開業届を提出して、個人事業を営む人のこと。その個人事業を営むうえで、自分以外の労働力が必要になったら、アルバイトや社員を雇えます。
雇用形態は、アルバイトやパートといった非正規と、正社員どちらでも問題ありません。また場合によっては、業務委託というかたちで仕事をアウトソーシングすることも可能です。
開業届を出していないフリーランスは?
開業届を出していないフリーランスでも、人を雇用すること自体は可能です。しかし、諸手続きがスムーズに進まない可能性が高いため、先に開業届を提出したほうが良いでしょう。
そもそも開業届とは、税務署に対する届出のひとつです。事業者として認識してもらい、税務関係の手続きがスムーズに行えるように提出します。開業届を出していない場合、事業者としての実態がないため、源泉徴収や給与支払い関連の手続きに問題が生じるのです。
また、開業届を提出していない場合、労働者側から信頼を得にくいといった問題もあります。各種手続きを問題なく進めるとともに、労働者が安心して働ける環境をつくるために、開業届を提出するのがおすすめです。
なお、確定申告を1回でもしている場合、その申告が開業届と同義になるので、改めて開業届を提出しなくても問題ありません。
個人事業主が従業員を雇う場合の給与の決め方
個人事業主が従業員を雇う場合「給与額をどうしよう?」と悩むでしょう。給与額を決める際には、以下5つのポイントで決めるのがおすすめです。
- 最低賃金を調べる
- 求人サイトで相場を把握する
- 手当てや割増賃金の支払いも考慮する
- 健康保険料や労災保険料などの金額を計算する
- 2〜3人雇った場合も想定しておく
それでは、給与を決める際のポイント5つを詳しく解説します。
最低賃金を調べる
まずは、事業を営む土地の最低賃金を調べましょう。従業員の住所や本拠地などに関わらず、働く場所の最低賃金が適用となります。
最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。
- 地域別最低賃金:地域ごとに定められている。雇用形態を問わず全労働者が対象。
- 特定最低賃金:地域最低賃金よりも高い給与水準が求められると判断された産業について、地域ごとに決められているもの
最低賃金の計算方法は、時間給・日給・月給によって異なります。そもそも最低賃金は時間給を定めたものです。そのため、日給や月給に関しては1日or1か月の平均所定労働時間で給与額を割り、時間給が最低賃金を下回っていないかで判断します。
なお、最低賃金を計算するにあたり、以下のものは算入しません。
- 各種手当てなど、臨時で支払われる賃金
- 賞与など、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
- 時間外割増賃金など、所定労働時間を超える時間の労働に支払われる賃金
- 22時〜5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常労働時間の賃金計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
- 通勤手当、皆勤手当、家族手当など
※詳細な計算方法や歩合給の場合の計算方法などは労働局、最寄り労働基準監督署へご相談ください。
参考:厚生労働省『最低賃金制度パンフレット』
最低賃金を下回る金額で雇用契約を結んだとしても、その部分は無効となり、差額を支払うことになります。また、最低賃金を無視し続けた場合、罰則を受けることになるので、金額を事前に調べ、最低賃金以上の給与を支払うようにしましょう。
求人サイトで相場を把握する
業種ごとに、給与額の相場は異なります。相場よりも低い金額を提示すると、良い人材が集まりにくかったり、そもそも応募がまったくこなかったりするので、相場を把握するのは非常に重要です。
求人サイトや求人雑誌などを見て、自分の業種はどれくらいが相場なのかを把握しましょう。
相場を把握する際に注意したいのは、各種手当てや福利厚生です。交通費全額支給かどうか、まかないや施設無料利用権といった福利厚生はあるかもチェックしましょう。
「給与を高く設定すると、お金目当ての未経験者が集まるかも」と不安を感じるかもしれませんが、そこは問題ありません。採用面接において、応募者のスキルや経験、性格などをしっかりと判断すれば良いからです。
まずは、最低限の応募がくるくらいの給与水準にしましょう。
手当てや割増賃金の支払いも考慮する
給与額を決める際、各種手当てや割増賃金も支払金額に算入しましょう。
昨今は、交通費全額支給の企業が普通になっています。また、深夜割増賃金や割引サービス、皆勤手当といった手当や福利厚生を設けている企業も少なくありません。
さらに、一定の条件を満たした場合は、アルバイトであっても有給を取得できます。
- 入社してから半年以上、継続勤務している
- 所定労働日の8割以上出勤している
こうした手当・福利厚生・割増賃金・有給休暇等も考慮しないと、雇用後に「思ったよりも人件費がかかる」と問題になってしまいます。計算が煩雑になってはしまいますが、細かい部分も必ず計算にいれて、人件費がどれくらいかかるかを考えておきましょう。
社会保険料や労災保険料などの金額を計算する
アルバイトであっても、条件を満たせば社会保険料や労災保険料などがかかります。
社会保険とは、健康保険と年金保険をあわせたものです。それでは、社会保険の加入条件を確認してみましょう。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が月額8.8万円以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある。
- 学生ではない。
- 従業員数51人以上の企業で働いている。
引用:政府広報オンライン『パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。』
なお、正社員の3/4以上の労働をする方は、上記の条件を満たさなくても加入対象となります。
労災保険は、パートやアルバイトを1人でも雇っていれば必ず加入しなければなりません。また、31日以上の雇用見込みがあり、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば、雇用保険にも加入する必要があります。
社会保険は、保険料を労働者と雇用主が折半します。また、労災保険料は全額事業主負担です。こうした保険料支払いも考慮しないと、支払いが想定外に多くなってしまうので、注意しましょう。
2〜3人雇った場合も想定しておく
今は1人の雇用で問題なくても、今後2人、3人と雇用することになるかもしれません。
雇い入れる人数が増えた場合、後から雇った人だけ条件を下げるのは難しいでしょう。最初はバレなかったとしても、労働者間のコミュニケーションから気付かれてしまい、トラブルになる可能性もあります。
そのため、将来的に同様の条件で複数人雇用した場合でも、支払いが問題ないか確認してください。売上がどれくらいになったら追加雇用するか、その場合人件費は売上の何%くらいになるか細かく計算しておけば、採用計画も立って、安心して事業展開できます。
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従業員給与支給額の計算方法
給与支給額の計算をする場合、給与とは別に控除についても考える必要があります。控除とは、給与から天引きする金額のことです。それでは、各種金額の計算方法について解説していきます。
給与関連
給与には、以下のものがふくまれます。
- 基本給
- 割増賃金
- 手当
それでは、各種金額の計算方法を解説します。
基本給
まずはベースとなる金額です。時間給を定めている場合は時間×時給額で計算します。
基本給計算においては、タイムカードや出退勤システムだけでなく、出勤簿なども必ずチェックしましょう。タイムカードの打刻を忘れているケースも多くあるためです。
勤務日数や遅刻・早退・欠勤、有給所得状況などを細かくチェックして、給与計算に誤りがないよう注意してください。
割増賃金
割増賃金とは、時間外・休日・深夜などの労働において、基本給に追加して支払わなければならない賃金です。割増賃金の割増率は、法律で定められています。
- 1か月60時間以内の時間外労働:25%以上(深夜:50%以上)
- 1か月60時間超の時間外労働:50%(深夜:75%以上)
- 休日労働:35%以上(深夜:60%以上)
- 22〜5時の深夜労働:25%以上
参考:厚生労働省『時間外(法定外休日)労働の割増率』
多くの残業が見込まれる場合や、人手不足で休日出勤をお願いする可能性がある場合は、こうした割増賃金の支払いも想定しておきましょう。
その他手当
上記給与のほかに、通勤手当や資格手当などを支給するケースもあるでしょう。代表的な手当としては、以下のようなものがあります。
- 通勤手当
- 資格手当
- 資格取得手当
- 食事手当
- 皆勤手当
- 祝い金、見舞金
- リフレッシュ手当
- 役職手当
アルバイトの場合は、通勤手当や食事手当などの支給が考えられるでしょう。こうした手当も給与支給額に含まれるので、事前に概算を出しておくと安心です。
控除関連
控除には、以下のものがふくまれます。
- 所得税(源泉徴収税)
- 住民税
- 社会保険料
それでは、それぞれの控除額計算について解説します。
なお、労災保険料は全額事業主負担なので、給与控除(天引き)はしません。雇用保険については、雇用主と労働者が決められた割合を負担しあいます。詳しくは以下の項目をご覧ください。
源泉徴収税
源泉徴収とは、所得税分をあらかじめ天引きしておくことです。天引き分を源泉徴収税と呼びます。源泉徴収税額は、社会保険料控除後の給与月額と、扶養人数によって決まります。年度によって変動する場合もあるため、詳しくは国税庁が公開している源泉徴収税額表を参照してください。
住民税
住民税には「均等割」と「所得割」があります。課税対象となるラインは、以下のとおりです。
- 均等割:年収93〜100万円(地域による、100万円を基準としている地域が多い)
- 所得割:年収100万円
なお、未婚未成年の場合は年収204万円までは非課税、勤労学生控除対象の場合は年収124万円まで非課税となります。
アルバイトの場合、住民税の天引き分がないケースも少なくありません。前年所得に応じた住民税納税がある場合、翌年6月分から毎月天引きされます。
社会保険料
社会保険料は、前述のとおり加入対象の人のみ、給与から保険料を天引きします。保険料を決めるのは「標準報酬月額」です。標準報酬月額の決め方には2種類あります。
- 資格取得時決定:雇用時に決める方法
- 定時決定:毎年7月1日時点で4〜6月分の平均報酬額を計算して決定する方法
保険料は、健康保険料と年金保険料どちらも「標準報酬月額 × 保険料率 ÷ 2」で計算します。1/2にするのは、社会保険料は、労働者と雇用主で折半するからです。
個人事業主が労働者を雇うときの準備
個人事業主が労働者を雇うときには、以下3つの準備をしましょう。
- 法定三帳簿の作成
- 労働保険への加入準備
- 労働条件通知書の作成
それでは、それぞれどんな準備をするか確認していきましょう。
①法定四帳簿の作成
法定四帳簿とは、作成が義務付けられている以下4つの帳簿です。
- 賃金台帳:氏名・労働日数・労働時間などを記した賃金計算に用いる帳簿
- 労働者名簿:氏名・生年月日・住所など労働者情報を記した帳簿
- 出勤簿:氏名・出勤ごとの出退勤時間などを記した帳簿
- 年次有給休暇管理簿:有給の取得日・付与日・日数などを記した帳簿
参考:出雲労働基準監督署『ととのえましょう!法定帳簿』
以前は、年次有給休暇管理簿を除く「法定三帳簿」と呼ばれていました。しかし、2019年4月1日に働き方改革関連法が施行され、年次有給休暇管理簿も法定帳簿に仲間入りしたのです。この4つの帳簿を作成し、労働者情報や出勤情報などをしっかりと管理しましょう。
②労働保険関連の準備
雇用する際には、労働保険への加入も必要です。
労働保険とは、労災保険と雇用保険をあわせた呼び方。労災保険は必須、雇用保険も条件を満たせば加入することになります。
手続き自体は雇用後ですが、事前に書類作成をしておきましょう。
③労働条件通知書 兼 雇用契約書の作成
初雇用を控える際には、労働条件通知書と雇用契約書の作成・交付が必要です。
労働条件通知書とは、業務内容や契約期間、賃金などを記載した書類です。労働基準法第15条、および労働基準法施行規則第5条で交付が義務付けられています。
- 労働契約の期間に関する事項
- 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
- 就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
- 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
- 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
- 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
- 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
- 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
- 安全及び衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰及び制裁に関する事項
- 休職に関する事項
※2は、期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合がある者の締結に限り、明示する必要があります。
※7〜14は、使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、明示する必要はありません。
引用:厚生労働省『採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。』
雇用契約書は、労働条件を明らかにし、双方合意していることを証明するための書類です。労働条件通知書と異なり、交付は義務ではなく、記載内容についても法的に定められたものはありません。
昨今では、2つの書類を兼ねている「労働条件通知書 兼 雇用契約書」を作成し、署名・捺印するのが基本となっています。
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個人事業主が従業員を雇うときに行う手続き
各準備が整ったら、いよいよ雇用契約を結びましょう。
- 労働者との契約
- 税務手続き
- 労働保険関係の手続き
それでは、それぞれの手続きの内容を解説します。
①労働者との契約
まずは、作成しておいた契約書を労働者と読み合わせ、問題がなければ双方署名・捺印しましょう。なお「控え」を作成して労働者に渡すのも忘れずに行ってください。
②税務手続き
つづいて、所轄税務署へ「給与支払事務所等の開設届出書」を提出します。
給与支払事務所等の開設届出書は、給与支払いを取り扱う事業所であることを、届け出る書類です。この書類を提出しないと、源泉徴収税の納付ができません。事業所を開設してから1か月以内に提出しましょう。
なお、開業届の「給与等の支払いの状況」に、給与支払いがあると記載していた場合、改めてこの書類を提出する必要はありません。開業済みの個人事業において、新たに人を雇うことになった場合のみ、解説届出書を提出しましょう。
③労働保険関係の手続き
労働保険は、労災保険と雇用保険をあわせた言葉です。雇用契約が成立したら、労働保険関係の手続きもしましょう。
労災保険は、アルバイトやパートを雇用する際には必ず加入しなければならない保険です。労働や出勤における事故により、ケガや病気となった場合に、その治療費や休業時賃金などを補償する保険です。
また、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある学生以外の方は、雇用保険への加入も必要になります。
書類提出の方法は、一元適用事業と二元適用事業で異なります。まずは、それぞれどのような事業かを見ていきましょう。
- 一元適用事業:労災保険と雇用保険の保険料申告・納付を一元的に行う
- 二元適用事業:労災保険と雇用保険の保険料申告・納付を別個に二元的に行う
一元適用事業と二元適用事業の、各書類の提出先は以下のとおりです。
■一元適用事業
書類の種類 | 提出先 |
保険関係成立届 | 所轄の労働基準監督署 |
概算保険料申告書 | ・所轄の労働基準監督署 ・所轄の都道府県労働局 ・日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可) |
雇用保険適用事業所設置届 | 所轄の公共職業安定所 |
雇用保険被保険者資格取得届 | 所轄の公共職業安定所 |
■二元適用事業
書類の種類 | 提出先 | |
労災保険 | 保険関係成立届 | 所轄の労働基準監督署 |
概算保険料申告書 | ・所轄の労働基準監督署 ・所轄の都道府県労働局 ・日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可) | |
雇用保険 | 保険関係成立届 | 所轄の公共職業安定所 |
概算保険料申告書 | ・所轄の都道府県労働局 ・日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可) | |
雇用保険適用事業所設置届 | 所轄の公共職業安定所 | |
雇用保険被保険者資格取得届 | 所轄の公共職業安定所 |
参考:厚生労働省『労働保険の成立手続』
上記のように、二元適用事業は労災保険と雇用保険の手続きを別々に行います。
個人事業主の従業員給与に関するよくある質問
個人事業主の従業員給与に関して、以下のような疑問を抱く方が多くいます。
- 従業員の給与は経費にできる?
- 従業員1人でかかる税金はどれくらい?
- 自分の給与はどうする?経費になる?
- 従業員の賞与の決め方は?
- 家族を従業員として雇った場合、給与は経費になる?
それでは、各疑問について以下で回答していきます。
従業員の給与は経費にできる?
従業員の給与は、経費として計上可能です。家族ではない場合は、通常通り経費計上して問題ありません。
家族をアルバイトとして雇っている場合、事業専従者としての条件を満たしていれば全額または一部経費にできます。条件を満たさない場合は、経費にできません。
事業専従者については、この後の項目をご覧ください。
従業員1人でかかる税金や保険料はどれくらい?
従業員1人でかかる税金や保険料が気になる方も多いでしょう。源泉徴収税は、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」によって異なります。月9万円なら230円、月15万円なら2,980円です(扶養0人の場合)。
健康保険料・年金保険料・労働保険は、以下の方法で計算します。
- 健康保険料:標準報酬月額 × 9.84(東京都9.81%) ÷ 2
- 介護保険料:標準報酬月額 × 1.64% ÷ 2
- 厚生年金保険料:標準報酬月額 × 18.3 ÷ 2
- 労災保険料:全従業員の年度内の賃金総額 × 業種ごとの保険料率
- 雇用保険(会社負担分):標準報酬月額 × 0.65%
- 雇用保険(個人負担分):標準報酬月額 × 0.3%
労災保険については、業種によって保険料率が大きく異なります。詳しくは、以下の厚生労働省ページをご覧ください。
参考:厚生労働省『令和6年度の労災保険率について(令和6年度から変更されます)』
自分の給与はどうする?経費になる?
自分自身の給与は、経費になりません。経費は、事業に必須だった支出のことです。自分自身への給与は、この経費には該当しません。
そもそも、個人事業主には給与という概念がありません。売上から必要経費や仕入費用などを差し引いた手取り額が、いわゆる給与に該当します。つまり、給与として支払われるお金はなく、手元に残るお金が実質給与のようになっている訳です。
給与という概念がなく、手元に残ったお金も「事業に必要な支出」には該当しないため、事故給与(手取り額)は経費計上できません。
従業員の賞与の決め方は?
従業員の賞与は、以下3つの決め方があります。
- 基本給 × 〇か月分と基本給に応じた決め方
- 個人や部門の業績に応じた決め方
- 決算状況に応じた決め方
通常、基本給・役職・成績・事業の業績・勤務実態などで決めるのが基本です。また、アルバイト・パートであれば賞与がないケースがほとんどでしょう。
賞与は従業員のモチベーションアップに効果的ですが、出したり出さなかったりとバラつきがあると、必要以上にやる気を削いでしまう可能性があります。
継続的な支給が可能かどうかも含めて、慎重に検討しましょう。
家族を従業員として雇った場合、給与は経費になる?
家族を従業員として雇った場合、事業専従者としての条件を満たせば、給与を全額もしくは一部経費にできます。
- 白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
- その年を通じて6か月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること。
参考:国税庁『No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除』
- 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
- その年を通じて6か月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
参考:国税庁『No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除』
経費計上の手続きにや詳しい内容については、以下を参考にしてください。
まとめ
個人事業主であっても、従業員を雇うことはできます。しかし、給与支払いや労災保険などについて、各種手続きが必要です。たくさんの時間がかかりますし、最初は分からない部分も多いので、早め早めに準備を進めていきましょう。
また、帳簿や労働条件通知書の作成も必要です。本記事を参考にしながら、スムーズな雇用に向けてしっかりと手続きをしてください。
- 個人事業主・フリーランスでも、従業員を雇えるよ!
- 雇用する際には、各種保険手続きや税務手続き、帳簿作成などたくさんの準備が必要なんだ
- 労働条件通知書(雇用契約書)の作成も必要なので、最低でも雇用する1か月前くらいから準備を進めていこう!
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