個人事業主の仕事が安定してくると、事業拡大のために従業員を雇用することも検討されます。従業員を雇う際には、家族を雇用するケースも想定できます。本記事では個人事業主が家族を従業員で雇用する際のポイントと、雇用保険の概要や給与における注意点などを解説します。
- 個人事業主は家族を従業として雇うことができるよ！
- 初めて家族を雇用する際は、気をつけなきゃいけないこともあるから注意しようね！
- 節税につながったりすることもあるけど、家族の気持ちをしっかりと理解して挙げることが重要だよ！
目次
個人事業主も従業員を雇用できる？
個人事業主は、その名の通り1人で事業を営むのが基本です。そのため「個人事業主でも従業員を雇用できるのか」という点に、不安を覚えるケースも珍しくありません。
以下では、個人事業主でも従業員を雇用することに関する基本事項を解説します。
個人事業主でも従業員の雇用は可能
個人事業主であっても従業員の雇用は可能です。必要な手続きを取ることで、個人事業主も法人と同様に従業員を使って事業を進められます。しかし、法人と違って、個人事業主は雇用の手続きをすべて自分で準備する必要があるため、事前に詳細を確認しておくと良いでしょう。
【補足】個人事業主の家族も雇用対象になる
従業員を雇う際には、個人事業主の家族も雇用対象となり得ます。家族を雇用することには多くのメリットがあるため、働き手がいるのなら一緒に事業を営むことも検討できるでしょう。従業員の雇用を考える際には家族にも声をかけてみるのもおすすめです。
個人事業主が従業員を初めて雇用する際の手順
個人事業主が従業員を初めて雇用する際にはいくつか必要な手順があります。事前に雇用までの流れを把握しておくことで、スムーズに従業員の確保が進められるでしょう。以下では、個人事業主が従業員を初めて雇用する際の手順の詳細を解説します。
雇用保険の加入手続きが必要
個人事業主が従業員を初めて雇用する場合、まず「雇用保険の加入手続き」が必要です。初回の雇用の際には以下の手順で、手続きを進めます。
- 所轄の労働基準監督署かハローワークに「保険関係成立届」を提出する
- ハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」を提出する
- 従業員の雇用後、ハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出して雇用保険の加入を進める
- 労働局か労働基準監督署に「概算保険料申告書」提出し、申告と納付を済ませる
初回に限り上記の手続きが必要です。2回目以降は従業員を雇用するたびに、雇用保険適用事業所設置届を提出するだけで問題ありません。
雇用保険の対象となる「労働者」の詳細
雇用保険の対象となるのは、「労働時間が週20時間以上」かつ「契約期間31日以上」の人を指します。正社員に限らず、パート・アルバイトによる労働形態で働く人も含みます。
一方で、同居する家族を雇用する場合、雇用保険の対象にならない点に注意が必要です。
個人事業主の家族へ給与払いをする手続き方法
個人事業主の家族を従業員として雇用する場合、給与払いの手続き方法を把握しておく必要があります。以下では、個人事業主の家族に対して給与を支払う方法について解説します。
個人事業主が青色申告をしている場合
個人事業主が青色申告による確定申告を行っている場合、家族を雇用した日から2か月以内に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出します。
青色事業専従者給与に関する届出書は、家族を雇用したら必ず提出が必要なわけではありません。また、青色事業専従者給与になると、家族は給与所得者になるため所得税が発生する点に注意が必要です。
家族への給与は「事業専従者控除」になる
個人事業主が白色申告をしている場合、家族への給与は「事業専従者控除」として申告可能です。事業専従者控除とは、生計を一にしている配偶者や親族が納税者の経営する事業で働いて給与を得た際に、所得金額に応じて計算される金額を必要経費にできる特例のことです。
個人事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でない場合には1人につき50万円まで控除が可能です。
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個人事業主が家族を従業員で雇用するメリット
個人事業主が家族を従業員で雇用することには、様々なメリットがあります。以下では、家族を従業員として雇用するメリットについて解説します。
家族への給与支払いが節税につながる
家族を従業員として雇用し、給与を支払うことが節税につながる点はメリットです。家族を従業員として雇用するのなら、専従者控除制度を正しく理解し、控除を受けてメリットを活かすことが重要です。
専従者控除制度を利用することを前提に、給与を支払う準備をすると良いでしょう。
採用にかけるコストを削減できる
家族を従業員として雇用することで、採用活動に必要となる募集、書類選考、面接、採用通知といった手間が削減できる点もメリットです。手間をかけずに働き手を得られるため、採用のコストカットにつながります。
個人事業主の場合、自分1人で事業を継続しながら採用活動を進めなければならないため、家族を雇用して採用フローを短縮することには大きなメリットがあります。
従業員が家族だけの場合、雇用保険への加入手続きが必要ない
従業員が家族だけの場合、雇用保険への加入手続きが必要ない点もメリットに含まれます。雇用保険の加入に必要な手続きを省略して、労働力を確保可能です。
人を雇う際のハードルになり得る雇用保険の加入手続きがいらないことは、個人事業主にとってメリットになり得ます。
個人事業主が家族を従業員で雇用するデメリット
個人事業主が家族を従業員で雇用する際には、いくつかのデメリットもあります。
以下では、家族を従業員で雇用する際のデメリットを解説します。
仕事とプライベートを切り離すのが難しい
家族を従業員として雇用すると、どうしても身内として接してしまうケースが多くなるでしょう。個人事業主として仕事に関する指示が上手くできないなど、関係性の構築に悩む可能性も懸念されます。
厳しい注意ができない、日常会話に時間を取られてしまうなど、さまざまな問題に発展する可能性がある点はデメリットです。
離職の際に関係性が悪化する可能性がある
雇用した家族が離職をする場合、その後の関係性が悪化するリスクがある点もデメリットです。万が一仕事が合わなかった場合には、円満に離職できるようによく話し合う必要があります。
仕事を辞めた後にも以前の関係に戻れるための環境を構築することも家族を従業員に雇用する際のポイントです。
作業量が増加する
家族を雇用する場合に限りませんが、人を雇用する分さまざまな事務作業が増える点もデメリットの1つです。源泉徴収や年末調整なども必要になるため、専門知識を身に付けなくてはなりません。通常の業務にどのような作業がプラスされるのかは、従業員を雇用する前に確認しておきましょう。
家族を従業員で雇用する際の注意点
家族を従業員で雇用する際には、さまざまな注意点を理解する必要もあります。以下では、家族を従業員で雇用する際の主な注意点を解説します。
不当に高額な給与は認められない可能性がある
家族に対して労働に見合わない高額な給与を支払っている場合、確定申告で指摘される可能性があります。控除として認められず、節税ができないリスクがあるため、給与計算は適正に実施するように注意しましょう。
家族の気持ちをきちんと確認しておく
家族を従業員として雇用する場合、相手の気持ちをきちんと確認する必要があります。家族という関係上、働くことを断りづらいケースもあり得るからです。
嫌々働くことのないように、家族の気持ちを尊重した上で雇用するか判断することがポイントです。
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まとめ
個人事業主は、雇用の際に家族を従業員として迎え入れることも検討されます。家族を従業員として雇用する場合、採用フローの短縮や事業専従者控除による節税などさまざまなメリットにつながります。家族が個人事業主の仕事に興味があるのなら、従業員として雇用する方法を確認してみると良いでしょう。
個人事業主が家族を従業員として雇用する場合、お金にまつわる多くの知識が必要です。しかし、個人事業主の仕事をしながらお金に関する勉強をすることは難しいため、後回しになってしまうケースも多いでしょう。
- 個人事業主は家族を従業として雇うことができるよ！
- 初めて家族を雇用する際は、気をつけなきゃいけないこともあるから注意しようね！
- 節税につながったりすることもあるけど、家族の気持ちをしっかりと理解して挙げることが重要だよ！
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