フリーランスとして働く際に、万が一に備えて労災保険に加入したいと考える人は多いです。しかし、フリーランスは労災保険に加入できないため、別途「特別加入制度」を活用する必要があります。本記事ではフリーランスが加入できる労災保険の特別加入制度の概要と、加入方法について解説します。
- フリーランスは、労災保険に特別加入制度を利用して加入できるよ!
- 労災保険に加入することで、フリーランスにもメリットがたくさんあるから、情報を集めて、加入できるか確認してみよう!
目次
フリーランスは労災保険に加入できるのか
フリーランスとして働く場合、「労災保険に加入できるのか分からない」と悩むケースは多いです。事前に労災保険の詳細を確認し、加入の可否を把握しておくのがポイントです。以下では、「フリーランスは労災保険に加入できるのか」といった基本について解説します。
フリーランスは一般的な労災保険に加入できない
労災保険とは、「労働者として雇用されて、賃金をもらっている人」を対象にした制度です。そのためフリーランスなど個人で働く人は、労災保険の対象外となります。仮に労災保険を利用したくても、フリーランスという労働スタイルで働く際には一般的な方法での加入は叶いません。
フリーランスは労災保険の「特別加入制度」を利用できる
フリーランスは一般的な労災保険には加入できませんが、「特別加入制度」の利用が可能です。特別加入制度への手続きをすれば、フリーランスでも労災保険のサポートを活用できます。フリーランスという労働スタイルを維持しつつ、労災保険を使いたい場合には、特別加入制度について知るのがポイントです。
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労災保険の特別加入制度とは?
フリーランスとして働く際には、万が一に備えて労災保険の特別加入制度について把握しておくことが推奨されます。以下では、労災保険の特別加入制度の概要を解説します。
フリーランスや個人事業主向けの労災保険のこと
「労災保険の特別加入制度」とは、フリーランスや個人事業主など個人で働く人に向けた労災保険の制度です。本来は「雇用されていること」が労災保険の加入条件ですが、特別加入制度ではその点が問題視されません。
特定の業務を担当しているフリーランスは「保護する必要がある」とみなされるため、労災保険の特別加入制度を利用できます。危険が伴う業務や保護を必要とする仕事に携わるフリーランスは、労災保険の特別加入制度に加入できる可能性があるため確認がおすすめです。
会社員の労災保険との違い
フリーランスが加入できる労災保険の特別加入制度は、会社員が加入する一般の労災保険といくつかの違いがあります。以下では、労災保険の特別加入制度と一般制度の違いについて解説します。
会社員の労災保険は会社が負担する
会社員の労災保険は、会社側が費用を負担してくれます。しかし、フリーランスは自身で保険料を支払う必要があるため、加入後は出費が増えることになります。
特別加入の保険料は、「保険料算定基礎額(給付基礎日額に365を乗じたもの)に、それぞれの事業に定められた保険料率をかける」形で計算されます。事前に事業の保険料率を確認し、保険料の負担額を把握しておくと良いでしょう。
すべてのフリーランスが対象になるわけではない
労災保険の特別加入制度は、すべてのフリーランスが加入できるわけではありません。あくまで特定の事業・分野に該当する人のみが加入できるため、事業内容によっては制度を利用できない可能性もあります。労災保険の特別加入制度を利用できる対象者を確認することが、加入における最初の準備となります。
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労災保険の特別加入制度の対象者
労災保険の特別加入制度の対象者には、いくつかの種類があります。以下を参考に、労災保険の特別加入制度を利用できる対象者の詳細を確認してみてください。
一人親方や特定作業従事者に該当する人
一人親方や特定作業従事者に該当する人は、労災保険の特別加入制度に加入できます。一人親方とは、漁業、林業、個人タクシー、大工、廃棄物の収集や解体などを仕事にしている人が当てはまります。特定作業従事者は、国や地方公共団体が実施する訓練従事者や、家内労働者およびその補助者などが該当します。
芸能、アニメ制作、柔道整復師、原付や自動車を使う運送事業、IT系事業者も対象に
2021年4月1日から、芸能関係、アニメ制作、柔道整復師が労災保険の特別加入制度の対象者に加わりました。従来の制度では加入できないと諦めていた人も、現在は利用できる可能性があるため再確認がおすすめです。その後2021年9月1日からは、運送事業・IT系事業者も特別加入制度の対象になっています。
令和4年から「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師」と「歯科技工士」も対象になる
令和4年4月1日からは、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師も労災保険の特別加入制度の対象となることが決まっています。さらに令和4年7月1日からは、歯科技工士も新たに対象となる予定です。令和4年度移行に関しても、さらに労災保険の特別加入の対象者は増えると予想されるため、今後の展開に期待できます。現在は対象外の仕事をしているフリーランスも、労災保険の特別加入制度について事前に調べておけば、対象となった際にスムーズに加入ができます。
今後も加入対象者は拡大する可能性がある
上記のように労災保険の特別加入制度の対象者は、現在進行形で拡充しています。人々の働き方や労働への意識が変化している昨今の事情を考慮して、今後も制度の対象者が増える可能性は十分にあるでしょう。労災保険の特別加入制度のさらなる充実に期待して、こまめに情報は確認しておきましょう。
フリーランスが労災保険に特別加入するメリットは?
フリーランスの労災保険への特別加入には、多くのメリットがあります。加入に迷っている場合には、以下のメリットを参考に労災保険の利用を検討してみてください。
業務上のケガなどに備えられる
万が一仕事中にケガをして働けなくなった場合、フリーランスの場合収入が絶たれてしまう恐れがあります。労災保険に特別加入しておけば、治療費の負担をカバーしてくれるため、金銭的な問題に発展しづらい点がメリットです。業務上ケガの可能性を排除しきれない場合には、労災保険に加入して万が一に備えるのがおすすめです。
休業特別支援金が受けられる
労災保険に特別加入すると、「治療のために4日以上働けない」場合に休業特別支給金が受けられます。給付基礎日額の6割に相当する休業補償給付と、2割の休業特別支給金が得られるため、合計で所得の8割ほどの補償に期待できる点がメリットです。収入面への不安を排除した上で治療に専念できるため、精神的な負担が少なくなります。
フリーランスが労災保険の特別加入制度を活用する場合の手続き方法
労災保険の特別加入制度を活用する際には、所定の手続きが必要です。以下では、労災保険の特別加入制度における手続き方法を解説します。
特別加入団体に認定されている組合を通して申し込む
労災保険の特別加入制度を利用する際は、特別加入団体に認定されている組合を通して申し込めます。組合から「特別加入に関する変更届」を都道府県労働局長に提出してもらう方法で、制度に加入する形になります。そのため加入の際には、まず特別加入団体に認定されている組合を探す必要があります。
新規で特別加入団体を立ち上げる方法
新規で特別加入団体を立ち上げて都道府県労働局長から承認を受けることでも、労災保険の特別加入制度への申し込みが可能です。特別加入団体として承認されるには、「相当数の一人親方等で構成される単一の団体である」「団体の運営方法が整備されている」「労働保険事務を処理できる事務体制や財務体制が整えられている」といった条件を満たす必要があります。
特定の業務に携わっている人は加入時に健康診断を受ける必要がある
特定の業務に一定期間携わっている場合、加入時点で健康診断を受けなければならない点に注意が必要です。例えば3年以上の間、粉塵作業に関する業務を担当していた場合、塵肺の健康診断の受診が求められます。そのほか、振動工具を使用する業務に1年以上携わっていた場合には、振動障害健康診断の受診が必要です。
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まとめ
フリーランスとして働く場合、一般的な労災保険には加入できません。その代わりに労災保険の特別加入制度を利用できるため、この機会に制度の詳細を確認しておくと良いでしょう。
労災保険は安心して仕事を続けるために、重要な役割を担う制度です。労災保険のメリットをあらためて把握し、加入できるかチェックしてみるのがおすすめです。
フリーランスは労災保険を含めて、専門知識を多数学ぶ必要があります。特にお金に関する知識は重要となり、フリーランスとして事業を継続する上で欠かせないものとなり得るでしょう。
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