個人事業主が開業する時の資金調達はどうするの?8つの方法を解説!

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個人事業主として開業する際には「開業資金」をしっかりと調達しておくのが重要です。資金的な余裕がないと、重要な判断を間違えたり、成長スピードが鈍ったりする原因になります。

本記事では、個人事業主が開業資金を調達するための方法を8つ紹介します。開業資金・開業費の仕訳方法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

やっぷん
  • 開業資金を調達するためには、カードローンやファクタリングなどさまざまな方法を活用できるよ
  • 開業資金の仕訳には「元入金」や「開業費」などの勘定科目を使用するんだ
  • 開業資金を調達する際は「無借金経営」にするかどうかをよく検討しよう!

個人事業主の開業資金とは?

そもそも開業資金とは、開業のために用意するお金のことです。開業するためには、設備・物件・ITツール・スタッフ採用など、さまざまな費用がかかります。必要になるお金を確保し、余裕をもって開業するための資金が「開業資金」です。

開業資金の相場

開業資金の相場は「550万円」です。日本政策金融公庫の『2023年度新規開業実態調査』によると、2023年度の開業資金の平均は1,027万円、中央値は550万円でした。1991年の平均値1,440万円、中央値970万円から、年々減少傾向にあります。

ただし、上記は法人も含めた相場です。個人事業主の場合は、法人より少額でスタートする方も多くいるため、相場はより少なくなると考えられます。

開業資金の相場は、業種によって大きく異なります。例えば、在宅で業務ができるライターやデザイナーは数十万円でも十分に開業可能です。しかし、飲食店や製造業であれば、物件賃料や設備費などがかかるため、数百万円は必要になるでしょう。

開業資金として必要な経費は?

「開業資金をいくら確保するか?」と考えるために、まず必要経費を把握しましょう。

開業資金として必要な経費
  • 店舗賃料
  • 設備費
  • ITツール導入費
  • 水道光熱費
  • 広告費
  • 名刺作成費用
  • 税理士などの依頼料
  • 人件費

リストから、自分に必要なものを全てチェックしましょう。そして、それぞれいくら必要かを考えれば、開業資金として必要になる金額が算出できます。

それでは、開業資金として必要な経費について、それぞれ解説します。

店舗賃料

美容院・ネイルサロン・雑貨店・飲食店といった業種は、店舗の賃料がかかります。テナント物件だと、賃料10か月分の敷金および保証金・2か月分の礼金がかかるのが一般的です。住宅家賃よりも初期費用が非常に高額なので、注意しましょう。

飲食店や美容院だと、月々の賃料は売上の10%以下が良いとされています。例えば、月の売上が500万円であれば、賃料は50万円前後がベターです。固定費は削減が難しい部分なので、最初から高額すぎる物件を借りないよう注意しましょう。

設備費

開業に必要な設備を買う費用も、開業資金として確保しなければなりません。具体的には、以下のような設備が必要になります。

開業に必要となる設備の例
  • 美容院のシャンプー台
  • 商品陳列棚
  • 製造ロボット
  • 冷蔵庫
  • 車両
  • PC
  • デスク

設備費は、どんな商品を選ぶかによって大きく上下します。例えば飲食店であれば、コスパの優れたテーブルなのか、高級木材を使用したテーブルなのかで数十万円ほど変わってしまうのです。

また、開業するタイミングになって「これも必要だった」「あれも買わなきゃ」となりやすいのも設備面です。事前に「どのランクの製品にするか」を決めたうえで、少し余裕をもって確保しておくと良いでしょう。

ITツール導入費

昨今は、POSレジや予約管理システムなど、ITツールの導入も必須になりつつあります。具体的には、以下のようなツールが必要になるでしょう。

ITツールの例
  • POSレジシステム
  • 受注管理システム
  • 予約管理システム
  • セキュリティ対策ソフト
  • 動画編集ソフト
  • イラスト・デザインソフト
  • 確定申告ソフト
  • 名刺管理システム
  • Web会議システム

業種によって必要なツールは異なりますが、ほとんどの人が必要なのは「確定申告ソフト」でしょう。昨今は定額制ソフトが主流で、年額3万円ほどかかります。

確定申告ソフト以外にも、定額制ソフトは増えており、固定費が増えてしまう原因にもなっています。ITツール導入費に関しては、年どのくらいかかるのか、買切りソフトで代替できないかを考えて、固定費が増えすぎないよう注意しましょう。

水道光熱費

店舗を構える事業者は、水道光熱費の確保も必要です。半年〜1年くらいの水道光熱費を確保しておくと、安心して事業を継続できます。

水道光熱費の相場は、個人経営のサロンだと月4万円ほど、売上の4〜5%ほどとなっています。ただし、昨今は電気料金やガス料金の値上げが相次いでいるので、余裕をもった金額を確保しておきましょう。

参考:厚生労働省『生活衛生関係営業経営実態調査報告 美容業

広告宣伝費

広告宣伝費は、どの業種であっても必要になります。SNS広告・ポスティング・街頭サイネージ・電車の中吊り広告・テレビCMなど、広告媒体はさまざまです。個人事業主だと、SNS広告の運用からはじめる方が多いのではないでしょうか。

数万円でも運用できますが、予算が少なすぎると、表示されるユーザーが限定されすぎて効果が出ません。月20〜50万円ほどかかると想定して予算組みしておきましょう。

またSNS広告運用には、ある程度の知識が必要です。運用方法がまったく分からない場合は、外部の運用会社に依頼したほうが良いケースもあります。広告運用の知識がない方は、外部企業への依頼料も含めて予算を考えましょう。

名刺作成費用

デザイナーやライターなど「依頼をもらう立場」になる方は、名刺も必要になります。名刺作成費用は「デザイン料」と「印刷・発送料」がかかるので、それぞれどのくらいかかるか考えてみましょう。

デザイン料は、誰に依頼するかで大きく変わります。名刺デザインサービスであれば1〜3万円ほどですが、有名なデザイナーに依頼すれば、10万円を超える場合もあるでしょう。

印刷料は、色数によって異なります。色数が多ければ料金が高額に、また両面フルカラーならさらに料金は高額になるでしょう。モノクロ100枚なら2,500円前後、両面フルカラーだと4,500円ほどが相場です。

税理士などの顧問料

確定申告や税金対策を税理士に依頼する場合は、顧問料がかかります。依頼内容によって変動しますが、個人事業主であれば年30〜50万円ほどかかるでしょう。

税理士の顧問料は、訪問回数や確定申告手続きにおける代行業務の範囲などで、大きく異なります。以下の記事では、税理士の顧問料や、依頼料を抑えるためのポイントを解説していますので、あわせてご覧ください。

税理士費用

人件費

スタッフを雇う場合は、人件費もかかります。人件費には月給だけでなく、採用や教育にかかるコストも含まれる点に注意が必要です。

例えば求人広告大手バイトルだと、1週間あたり4,100〜100,000円以上の掲載料がかかります。複数の媒体に掲載するなら、数か月でも10万円以上はかかってしまうかもしれません。

また、スタッフ用のマニュアルを作成したり、研修を行ったりと、開業前からさまざまなコストがかかります。

地域ごとに最低賃金も異なるので「何人をどのくらいの時間で教育し、どのくらいシフトに入ってもらうか」を細かく計算しましょう。

法人設立する場合の開業資金は?

法人の場合は、個人事業主よりも開業にかかるコストが多くなります。なぜなら、法人登記するために「定款認証手数料」や「登録免許税」などがかかるためです。また、事業規模が大きくなれば、それだけかかるコストも増えます。

ただし、一口に法人といっても、株式会社やNPO法人など形態によって開業資金の相場が異なる点に注意しましょう。

法人の主な種類
  • 株式会社
  • 合同会社
  • NPO法人
  • 一般社団法人
  • 一般財団法人

それでは、法人の種類ごとに開業資金の相場を解説します。

株式会社

株式会社の場合、開業資金は約25万円かかります。まず、株式会社の開業で必須となる費用を見てみましょう。

株式会社の開業に必要となる費用
  • 資本金:1円以上
  • 登録免許税:150,000円、もしくは資本金の0.7%(高いほう)
  • 定款用収入印紙代:40,000円
  • 定款の認証手数料:約2,000円
  • 印鑑、謄本などの費用:約10,000円

基本的には、25万円にプラスして資本金が必要になると考えておきましょう。なお、定款関連の費用は紙と電子で異なりますので、費用を抑えたい方は電子定款で作成することをおすすめします。

合同会社

合同会社とは、出資者と経営者が同一人物の会社です。設立費用や固定費が抑えられる点がメリットですが、株式会社より社会的信用が低いといったデメリットもあります。

合同会社の場合、株式会社と異なり「定款の認証手数料」「定款の謄本手数料」がかかりません。そのため、開業に必要な経費は以下のようになります。

合同会社の開業に必要となる費用
  • 資本金:1円以上
  • 登録免許税:60,000円、もしくは資本金の0.7%(高いほう)
  • 定款用収入印紙代:40,000円
  • 印鑑、謄本などの費用:約10,000円

上記をあわせると、合同会社の開業資金は11万円プラス資本金となります。

NPO法人

NPO法人(特定非営利活動法人)とは、営利活動を目的とせず、社会貢献活動を行う法人のことです。以下17種類の活動を行う団体のみが、NPO法人に認定されます。

NPO法人として認められる活動
  • 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
  • 社会教育の推進を図る活動
  • まちづくりの推進を図る活動
  • 観光の振興を図る活動
  • 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
  • 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
  • 環境の保全を図る活動
  • 災害救援活動
  • 地域安全活動
  • 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
  • 国際協力の活動
  • 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
  • 子どもの健全育成を図る活動
  • 情報化社会の発展を図る活動
  • 科学技術の振興を図る活動
  • 経済活動の活性化を図る活動
  • 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
  • 消費者の保護を図る活動
  • 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
  • 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

引用:内閣府NPOホームページ『特定非営利活動(NPO法人)制度の概要

NPO法人の場合は、資本金や登録免許税など諸費用が不要となっています。印鑑作成費や証明書取得費などの費用のみで開業可能です。

一般社団法人

一般社団法人とは、同一の目的を持った人々による非営利の団体です。学術団体・同窓会・協会などが一般社団法人として活動しているケースが多くあります。団体が大規模になった際、ただの集まりだと口座開設や財産管理などが困難です。そのため、法的に認められた団体である一般社団法人となり、社会的な信用を獲得しながら活動しています。

一般社団法人の開業費用相場は、約12万円です。それでは、開業費用の内訳を見てみましょう。

一般社団法人の開業費用の内訳
  • 定款認証手数料:約50,000円
  • 登録免許税:60,000円
  • その他、印鑑作成費など:約10,000円

一般財団法人

一般財団法人とは、社団と同じく非営利の団体です。社団は「同じ目的をもった人の集まり」だったのに対して、財団法人は「特定の目的のために財産を運用する団体」となっています。そのため、基本財産は300万円以上と高額です。

一般財団法人の開業資金の相場は、312万円ほどとなっています。内訳は以下のとおりです。

一般財団法人の開業費用の内訳
  • 定款認証手数料:50,000円
  • 定款謄本取得代金:約2,000円
  • 登録免許税:60,000円
  • 拠出財産:3,000,000円以上

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法人と個人事業主の違いは?

ここまで法人と個人事業主の開業資金について解説しましたが、読者のなかには「法人と個人事業主どっちが良いの?」と感じた方もいるかもしれません。

法人と個人事業主は、主に「社会的信用」と「税制」の2つが大きく異なります。それでは、具体的な違いについて以下で見ていきましょう。

社会的信用

個人事業主に比べて、法人のほうが社会的信用は高い傾向にあります。なぜなら、法人のほうが開業が大変だからです。個人事業主の場合、定款(企業の基本情報やルールをまとめたもの)や資本金が必要なく、開業届を提出すればすぐ開業できます。

法人の場合は、資本金を調達したり、謄本を作成したり、登記申請書類を用意したりと、非常に手間がかかります。こうした手間がかかるからこそ、法人は「それだけビジネスに本気なんだな」と信用してもらいやすいのです。

社会的信用の高さは、クレジットカードや物件の審査に大きく影響します。個人事業主が、賃貸やクレジットカード、各種融資の審査に通りにくいとされているのは、社会的信用を得にくいためです。

税金

税金面も、法人と個人事業主は大きく異なります。

売上が立った場合、法人が支払うのは「法人税」です。普通法人の法人税の税率は、以下のようになっています。

資本金1億円以下の法人など年800万円以下の部分下記以外の法人15%
適用除外事業者
年800万円超の部分23.40%
上記以外の普通法人23.40%
※令和4年4月1日以降の税率 参考:国税庁『No.5759 法人税の税率

一方、個人事業主の場合は、課税所得に対して「所得税」がかかります。所得税率は、以下のとおりです。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から
1,949,000円まで
5%0円
1,950,000円 から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から
8,999,000円まで
23%636,000円
9,000,000円 から
17,999,000円まで
33%1,536,000円
18,000,000円 から
39,999,000円まで
40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円
引用:国税庁「No.2260 所得税の税率

税率のみで比較すると、所得税は「9,000,000円から17,999,000円まで」が33%となっており、法人税の税率を上回っています。こうしたことから、年間の売上が1,000万円ほどになったら、法人化をしたほうが良いとされているのです。

なお、法人化のタイミングについては以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。

個人事業主が開業資金を調達する8つの方法

個人事業主の場合は社会的信用が得にくいものの、以下にあるような様々な方法で資金調達できます。

個人事業主が開業資金を調達する8つの方法
  • カードローン
  • 日本政策金融公庫
  • 銀行融資
  • 補助金や助成金
  • 自治体の融資制度
  • ファクタリング
  • 家族や知人からの借入
  • クラウドファンディング

それでは、それぞれどのように活用するのか、以下で詳しく解説します。

カードローン

カードローンは、手軽さが大きな魅力です。収入の多さや事業内容に関わらず、信用情報に大きな問題がなければ利用できます。もちろん、金融会社ごとに審査基準は異なりますが、銀行融資や補助金などと比べれば、審査申し込みが簡単で、審査も柔軟です。

ただし、カードローンで借りられるのは「年収の1/3まで」と貸金業法で決まっています。そのため、大規模な借入は難しいでしょう。また、利息が比較的高く、社会的信用がない個人事業主だと年利15〜18%ほどに設定されることが多くあります。

カードローンを利用する際には、無理なく返済できるか慎重に検討しましょう。

ペイッター カードローン

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫は、税金で運営されている融資機関です。銀行融資を受けるのが難しい中小企業や個人事業主に向けて、資金面の支援を行っています。創業に向けた支援や、無担保・無保証人で利用できる融資制度もあるので、開業資金の調達にもぴったりです。

日本政策金融公庫を利用するデメリットは、手続きの煩雑さでしょう。書類審査だけでなく面談もあるので、準備にとても時間がかかります。

カードローンのように即日で入金されることは無いので、申し込みは余裕を持って行ってください。

銀行融資

銀行融資は、大規模な資金調達に適しています。社会的な影響力の大きなビジネスをしたい、スピード感を持って事業展開をしていきたいと考えている方には、おすすめの資金調達方法です。

起業時に使える制度には「プロパー融資」があります。審査が厳しめなものの、金利は低くなっています。また、厳しい審査を通過したという実績によって、社会的信用が高まる点も魅力です。

デメリットとしては、日本政策金融公庫と同様に、手続きに時間と労力がかかる点に注意しましょう。申し込みから融資開始までに数か月かかり、また申し込んでも審査落ちする可能性も十分考えられるので、審査落ちしても問題ないくらい時間的余裕をもって利用してください。

補助金や助成金

補助金や助成金とは、国や地方自治体などが運営する資金支援制度です。補助金は不採択になるケースが多くありますが、助成金は基本的に支援を受けられる点が大きく異なります。補助金を申請する際には、採択事例を参考にして、どんな事業が採択されやすいか傾向を掴んでおくのがおすすめです。

なお、補助金や助成金に関しても、申し込みの準備に時間がかかります。また、入金が「事業計画書にある取り組みを実施した後」となっている制度も少なくありません。

申し込みから入金までに数か月はかかるので、こちらも余裕をもって準備しましょう。

自治体の制度融資

制度融資とは、自治体が信用保証協会および金融機関と連携して行う融資のことです。信用保証協会は、中小企業や小規模事業者がスムーズに資金援助を受けられるように、信用面におけるサポートをしている機関です。

信用保証協会を入れての融資となるため、起業時で社会的信用があまりない方でも利用しやすいのがメリットとなっています。

自治体の制度融資は、この信用保証協会に保証料を支払う必要があるため、金銭面の負担が大きい点には注意が必要です。また、自己資金額とほぼ同額が限度額なので、大規模な資金調達には不向きな点にも注意しましょう。

ファクタリング

ファクタリングとは、報酬を受け取る権利「売掛債権」を売却して、資金を調達する方法です。

基本的には、ファクタリングサービス会社に請求書データを送付し、記載金額からサービス手数料を差し引いた金額が入金されます。報酬支払い日よりも前に、報酬額相当を手に入れられるのがメリットです。ただし、そもそも売掛債権を有していない方だと利用できません。

弊社ペイトナー株式会社が運営する「ペイトナーファクタリング」は、累計申請件数10万件超と多くの方に利用していただいているファクタリングサービスです。手数料は10%、ペイトナーカードをお持ちの方なら8%でご利用いただけます。ご興味のある方は、こちらのページをご覧ください。

家族や知人からの借金

社会的信用が低い、利息の支払いが難しいといった場合には、家族や知人からの借金が適しています。税金の未払い・赤字・借金などがあったとしても、借りられるかもしれません。

しかし、家族や知人からの借金は、人間関係を大きく崩しかねない行為です。親しい仲でも、金銭が絡むと大きなトラブルを引き起こす場合が多くあります。

家族や知人から借金をする場合には、必ず借用書や誓約書を作成し、言った言わないのトラブルにならないよう注意しましょう。また、返済期日や返済方法などを明確にしておき、絶対に約束通りに返済できるように計画を立てておくのも重要です。

クラウドファンディング

発信力のある方や、注目を集めるビジネスを立ち上げられる方であれば、クラウドファンディングもおすすめです。クラウドファンディングは返済の必要がないので、資金繰りを圧迫するリスクがありません。また、クラウドファンディングの告知をするなかで、ファンを増やせるケースも多くあります。

一方で、昨今はクラウドファンディングのプロジェクトが非常に多く、埋もれてしまうビジネスも少なくありません。目標金額に達しなければ全額返金となってしまうため、資金調達ができなかったとしても問題ないかを考えましょう。

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      開業資金に関する確定申告の方法

      開業資金についても、確定申告で仕訳しておく必要があります。しかし、手持ちの開業資金をどのように仕訳すれば良いのか、迷ってしまう方も少なくありません。

      それでは「開業資金を口座に入れた場合」と「開業資金を使った場合」の2つの事例について、仕訳方法・勘定科目を確認していきましょう。

      開業資金を入金した際の仕訳

      開業資金を口座に預け入れた場合、勘定科目は借方勘定科目は「普通預金」、貸方勘定科目は「元入金(もといれきん)」となります。

      借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
      普通預金300,000円元入金300,000円開業費

      摘要には「開業費」「開業資金」などと入れておくと良いでしょう。

      開業前にかかった経費の勘定科目・仕訳

      開業前にかかった経費については、基本的に「繰延資産(くりのべしさん)」という勘定科目を使って仕訳します。

      繰延資産とは、支払い済みかつ、効果が1年以上となるものです。具体的には、以下のような費用が繰延資産に該当します。

      繰延資産に該当するもの
      • 開業費
      • 開発費
      • 法人の場合:創立費、株式交付費、社債発行費等

      具体的にどういったものが「開業費」になるのか、より詳しく見てみましょう。

      開業費に該当する・しない経費
      • 開業費になるもの
        • エリア調査のための交通費や宿泊費
        • ミーティングにかかった食費
        • 通信費
        • 開業資金を借りた際の利子
        • 設備費、備品費
        • 宣伝広告費
      • 開業費にならないもの
        • 10万円以上の経費
        • 材料の仕入費
        • 敷金、礼金

      10万円以上の経費は、固定資産になるため開業費になりません。仕入費に関しては、日頃からかかるものなので、対象外です。敷金や礼金は、一見開業費になりそうですが、将来的に返ってくるため開業費にならないので注意しましょう。

      それでは、開業費になる経費について、仕訳方法を紹介します。今回は、10,000円の椅子(備品費)を購入したケースを想定して、仕訳します。

      借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
      開業費10,000円元入金10,000円椅子購入
      ※開業前は事業資金に該当するものがないので、元入金という勘定科目を使用します

      個人事業主の開業資金に関するよくある質問

      個人事業主の開業資金に関しては、以下のような疑問を抱く方が多くいます。

      個人事業主の開業資金に関するよくある質問
      • 借入をして開業資金を調達しても良い?
      • カフェの開業資金はいくら?
      • 開業資金の集め方は?

      それでは、よくある質問3つについて回答します。

      借入をして開業資金を調達しても良い?

      借入をして開業資金を調達する場合、返済可能かを慎重に考えないといけません。なぜなら、個人事業をスタートした当初は、まったく売上が立たないことも多くあるためです。

      また、最初1〜3年は安定して売上がたっていても、段々と右肩下がりになってしまう可能性もあります。

      開業時に借金をする場合、売上が立たなくなっても、アルバイト等で返済額相当を稼げるくらいの範囲内で利用するのが良いでしょう。

      カフェの開業資金はいくら?

      カフェの開業資金の相場は、600〜1,000万円ほどとされています。ただし、地域によって店舗賃料が大きく異なるため、1,000万円を超えるケースも少なくありません。それでは、カフェの開業資金を800万円だったと想定して、内訳を見てみましょう。

      カフェの開業資金の内訳(800万円想定)
      • 物件取得費:150万円
      • 内装費:25万円
      • 設備費(厨房設備や配管、照明など):150万円
      • 備品費(テーブル、椅子、レジ、食器など):50万円
      • 宣伝広告費:25万円
      • 半年分の運転資金:400万円

      飲食店の運転資金に関しては、細かな相場があります。光熱費や人件費などについて、売上の何%程度にすれば良いのかも、参考程度に見ていきましょう。

      飲食店の運転資金は、売上の何%が理想?
      • 家賃:10%以下
      • 仕入:30%前後
      • 人件費:20〜30%
      • 光熱費:5〜10%

      開業資金の集め方を選ぶときの注意点は?

      開業資金の集め方には、カードローンや補助金などさまざまな方法があります。調達方法を選ぶ際に重要なのは「借金をするかどうか」です。日本の経営者だと、無借金経営にこだわる方が多くいます。しかし、必ずしも無借金経営が良いとは限りません。それでは、無借金経営のメリットとデメリットを見てみましょう。

      無借金経営のメリット・デメリット
      • メリット
        • 返済に追われることがない
        • 利息による資金繰り悪化の心配がない
        • 外部からの見え方が良くなる
        • 銀行による経営への介入がない
      • デメリット
        • 成長スピードが鈍化する可能性がある
        • 金融機関との関係が築けない
        • いざという時に金融機関との関係がなく資金調達が難航する
        • 借入および返済の実績がないため信用度が高まらない
        • 元手が少ないと人材を雇いにくい

      上記のように、無借金経営だと競合に勝ちにくくなったり、金融機関との関係が築けなかったりと、デメリットもあります。メリットとデメリットをふまえたうえで、借金をすべきか検討し、資金調達方法を選んでいきましょう。

      まとめ

      開業資金を調達する方法としては、カードローン・ファクタリング・融資・クラウドファンディングなどさまざまな種類があります。まずは必要金額を算出して、余裕をもった資金調達ができる方法を選択しましょう。

      資金調達においては、借金をするかが重要な分かれ道になります。借金をする・しないどちらにしても、メリットとデメリットがあるので、自分なりの判断ができるよう慎重に考えてみてください。

      なお、借金をすれば自己破産してしまう可能性もあります。借入は返済可能な範囲に止め、無計画な借入をしないようご注意ください。

      やっぷん
      • 開業資金を調達するためには、カードローンやファクタリングなどさまざまな方法を活用できるよ
      • 開業資金の仕訳には「元入金」や「開業費」などの勘定科目を使用するんだ
      • 開業資金を調達する際は「無借金経営」にするかどうかをよく検討しよう!
      監修者プロフィール

      ペイトナー執行役員 邨山毅

      立教大学経済学部卒。投資会社にて内部統制・米国新興事業の国内展開に従事。その後VOD運営会社にて経営戦略・機械学習・調達戦略領域の経験を経て、ペイトナー株式会社に入社。執行役員ファクタリング事業本部長として、ファイナンスサービスの運営及びフリーランスの与信構築全般を所掌している。

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