会社員からフリーランスになる人がやることは?失業保険や税金、確定申告について解説!

会社員からフリーランス

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会社員からフリーランスになる場合、たくさんの手続きが必要になります。年金や健康保険はもちろん、所得税や消費税関連などの手続きも必要です。

また、そもそも会社から独立するために、どうやって仕事を獲得すれば良いのか分からない方も多いでしょう。

本記事では、会社員からフリーランスになる人がやるべきことを徹底解説します。事業の立ち上げ方から、各種手続き、準備しておく物まで解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

やっぷん
  • 会社員からフリーランスになる際は、年金・健康保険・所得税などに関する手続きが必要だよ!
  • 事業をはじめる際には、業種選びやスキルアップなどをひとつずつやっていこう
  • 独立した人が後悔しがちなこともふまえて、本当にフリーランスになるのか、後悔しないためにどう対策するかを考えておこう!

目次

会社員とフリーランスはどう違う?

会社員とフリーランスの大きな違いは、企業との関係性や、社会保険(年金、健康保険)の種類などがあげられます。

会社員フリーランス
契約の種類雇用契約(基本)業務委託契約
企業との関係性企業に対して労働者が従属対等
年金の種類厚生年金国民年金
年金保険料の支払い会社と折半全額自己負担
健康保険の種類社会保険国民健康保険
健康保険料負担会社と折半全学自己負担
所得の種類給与所得事業所得

個人事業主とフリーランスの違い

個人事業主とフリーランスの違いは、開業届を提出しているかどうかです。

個人事業主は、開業届を提出して個人事業を営んでいる人を意味します。税務上の分類であり、開業届を提出しているのは必須条件です。

一方、フリーランスは開業届を提出している・いないに関わらず、自分自身で事業を営む方全般を意味します。開業届を提出せず、副業で自分で仕事を獲得している方も、フリーランスと言えるのです。

2つの言葉はよく似た意味を持ちますが、フリーランスは開業届の提出に関わらず名乗れるので、より広い範囲を指す言葉と言えるでしょう。

辞める前に!会社辞めてフリーランスになり後悔したこと

会社員からフリーランスになりたいと考えている方は、まずフリーランスになった方が後悔しがちなポイントを知っておきましょう。

会社辞めてフリーランスになり後悔したこと
  • 収入が安定しない
  • 社会的信用が低い
  • 経験が足りず収入が伸び悩む
  • 勉強するモチベーションが湧きにくい
  • 孤独を感じることが増えた
  • 確定申告や請求書作成が面倒
  • 人脈がなかなか広がらない
  • ずっと仕事のことを考えて休まらない

多くの人が後悔しているポイントを把握すれば、本当にフリーランスになるべきか、どんな対策をすべきかが分かります。以下では、フリーランスになった人が後悔しがちな8つのポイントを詳しく解説するので、参考にしてください。

収入が安定しない

フリーランス=安定しない、というイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、会社から独立したいと考えている人の多くは「収入の波があっても大丈夫だろう」と考えがちです。

不安定でも大丈夫と考えがちになる要因として、以下のような点があげられます。

「収入が不安定でも大丈夫だろう」と考えてしまう要因
  • 会社員の時点では、ある程度の収入があるから
  • 副業収入もあって、金銭的に余裕があるから
  • 年金・保険料を自分で支払う(天引きされない)状態がイメージできてないから
  • 貯蓄があり、精神的に余裕があるから
  • 精神的な余裕により副業がスムーズにいきやすい状態になっているから

会社員時代は、給与もボーナスも貯蓄もあり、さらに副業収入まであるので、事業所得が多少減っても大丈夫だろうと楽観視しがちです。

しかし、いざフリーランスになって固定給がなくなり、さらに年金保険料・健康保険料・住民税・所得税を自分で払うようになると、段々と精神的余裕がなくなってきます。

金銭的・精神的余裕がなくなると、事業に集中できなくなり、さらに収入が減ってしまうケースが少なくありません。

こうしたことにならないように、収入がゼロになったら何ヶ月耐えられるか、最悪会社員に戻れるほどのスキルや実績があるかを考えておきましょう。

社会的信用が低い

昨今はフリーランスが増えていますが、それでも会社員と比べれば社会的信用は低いままです。収入が不安定なフリーランスは、特に金融系サービスを利用したいときに、さまざまなデメリットが生じます。

具体的には、以下のようなデメリットがあげられるでしょう。

社会的信用が低いとどうなる?
  • クレジットカードが作れない
  • カードローンや住宅ローンの審査が下りない
  • 物件が借りにくい

収入が不安定だと、貸したお金を返済してくれるか分からないため、クレジットカードやローンなどの審査に通りにくくなります。

そのため、フリーランスになる前にクレジットカードやローンの審査を申し込んでおく、引っ越しを済ませておくといった対策が必要でしょう。

経験が足りず収入が伸び悩む

副業からフリーランスになった方の多くが、経験やスキルの不足に悩みます。

フリーランス協会の調査では、多くの人が「働くなかでの学習」に悩んでいることが分かりました。

フリーランス白書2024より
  • .フリーランスとしての働き方を始めてからスキルアップのための学びが必要だと感じたことがありますか。
    • ある:97.8%
    • ない:1.5%
    • わからない:0.7%
  • 働きながら学ぶ上で、どんなことに困りましたか。または困ると思いますか。
    • 学びのための時間が確保できない:64.0%
    • 学びのための費用が確保できない :53.3%
    • 学びにかける時間が断続的になる:41.9%

引用:フリーランス協会『フリーランス白書2024

つまり、大半のフリーランスは自分のスキル不足を感じていつつも、時間や費用が確保できず学習できていないのです。

こうした現状をふまえて、自分自身のスキルが十分かを客観的に判断してもらう機会を設けることや、スキルアップの時間や費用を確保するよう意識することが重要と言えます。

勉強するモチベーションが湧きにくい

フリーランスになってから、勉強するモチベーションが維持しにくいという声も多くあります。これには、主に2つの要因が考えられます。

1つは「独立しよう」「副業で〇円稼ぐぞ」といった目標を持ちにくくなることです。独立後、生活に困らないくらい稼げるようになってしまうと、途端にモチベーションが下がってしまう方が多くいます。

会社員時代のように「現職が辛い」「早く独立したい」といったストレスがないと、余計にモチベーションは維持しにくいでしょう。

2つ目の要因は、進捗状況を確認してくれる存在がいなくなることです。

会社員が業務に必要な資格を取る場合、上司が進捗状況を確認してくれます。企業によっては、資格取得にかかる費用をサポートしてくれるケースも少なくありません。

こうした周囲の人々からのプレッシャーやサポートが、モチベーション維持に役立ちます。

しかし、フリーランスは勉強をしてもしなくても、プレッシャーをかけられることはありません。周囲の目がないために、勉強意欲が維持できず挫折してしまうのです。

孤独を感じることが増えた

業種にもよりますが、孤独を感じるフリーランスは少なくありません。

昨今はWEBライターやITエンジニアなど、在宅で仕事をするフリーランスが増えています。

そのため、人とオフラインで関わる機会が少なく、孤独を感じやすいのです。

SNSを頑張ったり、オンラインサロンに加入したりといった対策もありますが、オンライン上のつながりだと孤独感を解消しにくいという方が多いようです。

交流会に参加する、シェアハウスに住む、社会人サークルに加入するなど、自分に合った対策を考えておきましょう。

確定申告や請求書作成が面倒

フリーランスの困りごととしてトップクラスに多いのが、事務作業が煩雑というものです。

請求書や納品書などすべてを自分で作成しないといけないので、かなり面倒に感じるでしょう。

また、確定申告も自分で行うため、レシート・領収書の整理や、各種金額の入力作業など、さまざまな事務作業が発生します。

税理士や秘書を雇う方法もありますが、駆け出しフリーランスの場合は、自分でやる方がほとんどです。

自分は事務作業が期日までにできるか、できないとしたら外部委託するだけの売上があるかなど、事務作業の負担について真剣に考えておきましょう。

確定申告 やり方

人脈がなかなか広がらない

フリーランスになってみて、思ったより人脈が広がらないという声も多くありました。

特にIT系やデザイナー、ライターなど在宅ワークが中心の方は、リアルでの人脈が広がりにくいようです。

人脈が広がらないと、仕事の幅も広がらず、収入も伸び悩んでしまうでしょう。

そのため、仕事をしているだけで人脈が広がるとは考えず、交流会やSNSを活用して積極的に人脈を広げる努力が必要になります。

案件獲得

ずっと仕事のことを考えて休まらない

フリーランスは自分で業務時間を設定できるため、休日を作らず働くことも可能です。

依頼を断るのに恐怖心があり、どんどん仕事を詰めてしまう方も少なくありません。

また、収入が不安定なために、休みの日まで資金繰りや案件獲得について考えてしまう人も多くいます。

せっかく自由な働き方を手に入れたのに、会社員時代よりも仕事について考えっぱなしになる人が多くいるということです。

ずっと仕事のことを考えていると、精神的に休まらず、鬱や自律神経失調症などを引き起こす可能性もあります。

毎月一定額を貯金しておく、取引先を増やす、仕事仲間を増やすなどして、金銭的な不安を軽減しておくのが、仕事のことを考えすぎないために大切です。

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会社員からフリーランスになるための8ステップ

「フリーランスになりたいけど、どんな順番で何をしていけば良いの?」と悩む方も多くいます。

会社員からフリーランスになるための代表的なステップは、以下のとおりです。

会社員からフリーランスになるための8ステップ
  1. 業種を決める
  2. 最低限のスキルを身に付ける
  3. 副業で実績を積む
  4. 有料教材でさらにスキルを高める
  5. ネット上で発信活動をする
  6. 現状の収入の倍程度を稼げるようにする
  7. フリーランスになるための準備をする
  8. 独立

それでは、各ステップでどのようなことをするか、詳しく解説します。

①業種を決める

意外と飛ばしがちなのが、業種の選定です。

この業種の選定をどれくらいしっかりと行うかで、独立のしやすさや、独立後の収入が大きく変わります。

業種を決める際には、以下のポイントを意識してみましょう。

業種選定のポイント
  • 自分の専門分野か
  • その業界についてある程度の人脈があるか
  • その業界について何十年も勉強し続けられるか
  • ある程度の収入が得られる業種なのか

昨今は「未経験から月収〇〇万円」といった広告をよく見かけるでしょう。

たしかに、ITエンジニアやアフィリエイターなどは、未経験からでも月収何十万と稼げるケースがあります。

しかし、最初の数年でたくさん稼げたとして、そのモチベーションを本当に維持できるでしょうか?

単に稼げるという理由で選ぶのではなく、何十年も勉強し続けられるかを慎重に考えてください。

また、ある程度の収入が得られる業種かも大切です。

例えばテープ起こしやWEBライター、アイキャッチデザイナーなどは、以前よりも稼ぎにくくなっているのが現状です。

最新の情報をもとに、この先数十年しっかり稼げる業種なのかも、業種選定においては非常に大切です。

②最低限のスキルや知識を身に付ける

業種が決まったら、まずは最低限のスキルを身に付けましょう。

ここで大切なのは、自分自身の経験はどうであれ、基礎知識をおさえ直すということです。

例えば出版関係で働いている方でも、WEBライターとなると仕事のやり方や必要な知識がかなり異なってきます。

デザイナーやイラストレーターも、独学でやっている方に関しては、業界スタンダードの仕事のやり方を把握しておくべきです。

どれだけスキルがある人でも、その業界で一般的とされる用語や仕事の進め方を知らなければ、仕事をもらえません。

まずは最低限必要となるスキルや知識を調べて、基礎を固めてください。

③副業で実績を積む

最低限のスキルや知識を身につけたら、副業で実績を積みましょう。

ここで大切なのは、②の学習期間を長く設定しすぎず、ある程度のところで案件獲得をしていくということです。

取引先に迷惑をかけないよう、勉強をしっかりするのは大事です。

しかし、本やWEBサイトで学べることには、限界があります。

実際に仕事をしてみて、取引先からFBをもらって、はじめて学べることも多くあるのです。

なお副業を始めたら、所得によっては確定申告が必要になるかもしれません。

以下のページを参考にして、確定申告が必要かどうか、必要な場合はどのようにするかを知っておきましょう。

個人事業主兼業

④有料教材でさらにスキルを高める

ある程度の実務経験を積んだら、さらにスキルを高めていきましょう。

フリーランスとして安定して仕事を獲得するためには、プロからFBをもらう機会が必要です。

天才的に絵がうまいイラストレーターや作曲家であれば、独学でも成功するかもしれません。

しかし多くの人は、良くない癖が改善できなかったり、一定のレベルから伸びなやんだりして、どこかで案件獲得に困るタイミングが来ます。

その業界で活躍している人からの客観的な意見をもらったほうが、早期に自分の課題を解決して、多くの人から求められる人材になれるでしょう。

⑤ネット上で発信活動をする

ある程度の実績を積み、スキルも身に付けてきたら、ネット上での発信活動をしていきましょう。

このタイミングからスタートするのは、あなたの発信に説得力がある状態になっているからです。

初心者時代からSNSを活用して、成長記録を発信していくといった方法もあります。

しかし、昨今は副業ワーカーはまったく珍しくないので、フォロワー数を伸ばすのが難しいでしょう。

無理に人脈を広げようとするのではなく、まずは自分自身の市場価値を高めたうえで、SNS運用をスタートしたほうが、アカウントを伸ばしやすいためオススメです。

福利厚生

⑥現状の収入の倍程度を稼げるようにする

独立するために、会社員として収入の2倍の売上をあげられるようにしてください。

フリーランスになると、年金保険料・健康保険料・交通費・経費などすべて全額自己負担になります。

また収入が不安定になりやすいので、倍程度の収入を稼げる状態をつくれたほうが安心して独立できるでしょう。

ここで大切なのは、会社員時代と大きく変わらない労働量で倍程度が稼げるかどうかです。

会社員時代の倍働いて、倍収入を得られるのは当然です。

しかし、ずっと会社員時代の倍働こうとしても、心身が付いてきてくれないでしょう。

会社員時代と同じ、もしくは1.5倍程度の労働量で収入が倍になれば、その業種は本当にあなたに合っていると言えます。

⑦フリーランスになるための準備をする

独立の目処がたったら、フリーランス(個人事業主)になるための準備を進めましょう。

具体的には、以下のような準備が必要です。

フリーランスになるための準備
  • 会社に退職したい旨を伝える
  • 退職日、有給消化のスケジュールなどを相談
  • 事業用口座、クレジットカード、名刺、印鑑などを作成
  • 日々の生活費や預貯金の状態などを計算し、資金繰り計画を立てる
  • 確定申告ソフトを導入
  • 開業にかかった経費はレシート・領収書を保管し、開業費として経費計上できるようにする

フリーランスになるための準備については、この後の項目で詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

⑧独立

退職日になったら、いよいよ独立です。

独立のタイミングでは、年金や健康保険の切り替えが必要になります。

また開業届の提出や、インボイス関連の申請など、さまざまな事務作業が必要です。

書類を作成したり役所へ行ったりして、半日〜1日は潰れてしまうので、開業作業のための日を数日間は空けておきましょう。

また取引先へは、開業したことを伝えても伝えなくても問題ありませんが、業務報酬の支払い口座が変更になる場合は、事前に連絡したほうが無難です。

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会社員からフリーランスになるときの手続き

会社員からフリーランスになるときは、保険・年金の切り替えや、開業届の提出など、さまざまな手続きが必要です。

会社員からフリーランスになるときの手続き
  • 失業保険
  • 国民年金
  • 国民健康保険
  • 税金(開業届、確定申告)
  • インボイス関連

それでは各手続きについて、以下で詳しく解説します。

失業保険

開業のタイミングを遅らせれば、失業保険を受け取ることができます。

失業保険とは、名前のとおり失業したときに受け取れるお金です。

以下の条件を満たした場合、フリーランスになる場合でも失業保険を受け取れます。

失業保険の受給条件
  • ハローワークで失業手当の申請をした
  • ハローワークで再就職活動をしている
  • 副業時間は1日4時間未満
  • 個人事業を開業していない
  • 自己都合退職の場合、過去2年間で雇用保険に12か月以上加入していた
  • 会社都合等での退職の場合、過去1年間で雇用保険に6か月以上加入していた

つまり、副業を1日4時間までにセーブし、個人事業も開業しなければ、失業保険を受け取れるということです。

ただし、そこまでして失業保険を受け取るよりも、早期に開業してしまったほうが良いケースも多くあります。

以下の記事も参考にしながら、失業保険を受け取るべきかを判断しましょう。

国民年金

年金は、厚生年金から国民年金へと切り替えになります。切り替えは、住んでいる自治体の役所で行いましょう。

切り替えて続きは、退職日の翌日から14日以内に行うことが定められているので、なるべく早めに行うのことをおすすめします。

厚生年金から国民年金への切り替えに必要なもの
  • 退職日を証明できる書類(離職票、退職証明書、健康保険喪失証明書など)
  • 年金手帳

国民年金は厚生年金よりも保険料が安くなりますが、全額自己負担である点や、受給金額が少ない点がデメリットです。受給金額が減るため、老後に備えて以下のような制度を活用し、老後資金を積み立てていきましょう。

老後資金の積立に使える制度
  • 付加年金
  • iDeCo
  • 小規模企業共済
  • つみたてNISA

なお、以下の記事では老後資金の積立について詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

国民健康保険

年金の切り替えと一緒に、健康保険も切り替えましょう。

以下のものを持参して、住んでいる自治体の役所で手続きを行ってください。

国民健康保険への切り替え手続きに必要なもの
  • 健康保険資格喪失証明書
    • 「退職証明書」「雇用保険の離職票」でも代用可
  • マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類
    • 保険証は既に失効しているため使用不可

なお、会社員時代の保険を任意継続する「健康保険任意継続制度」もあります。しかし、保険料が全額自己負担となるため、負担が大きすぎないか確認しておきましょう。

税金(開業届、確定申告)

つぎに、税務署へ行って所得税関連の手続きをします。

所得税関連の手続き
  • 開業届
  • 青色申告承認申請書(任意)

開業届は、個人事業を開業する方は必ず提出する書類です。開業日から1か月以内に必ず提出しましょう。

青色申告承認申請書は、青色確定申告をしたい方のみ提出します。原則として申告する年の3月15日まで、その年の1月16日以降に開業する方は開業日から2か月以内に提出しましょう。

各書式は国税庁HPからダウンロードできるほか、税務署でももらえます。

青色申告承認申請書

インボイス関連

インボイス制度に対応したい場合は、以下の手続きも必要です。

インボイス関連の手続き
  • 適格請求書発行事業者の登録手続
  • 消費税簡易課税制度選択届出手続

そもそもインボイス制度とは、国の定めたフォーマットで請求書(インボイス)を作成して、適切な納税をしていきましょうという制度です。国が定めた条件を満たした請求書をインボイスと言い、このインボイスを発行するためにはインボイス事業者としての申請が必要になります。

そしてインボイス事業者として登録をすると、消費税納税が義務になります。この消費税の納税額に関して、より簡単に計算できるのが「簡易課税制度」です。簡易課税制度を利用したい場合は、上記の事前手続きが必要になります。

簡易課税制度については、以下の記事を参考にしてください。

会社から独立する前に準備すべきこと

これからフリーランスになる方は、各種手続きに加えて、以下のものを準備しておきましょう。

会社から独立する前に準備すべきこと
  • 開業資金、貯金
  • クレジットカード
  • 事業用の銀行口座
  • 印鑑
  • 住宅(引っ越し)
  • 名刺
  • 事業用メールアドレス

それぞれ、必須なのか任意なのか、どのように準備するかを解説します。

開業資金、貯金

独立するにあたって必須なのが、開業資金や貯金です。具体的には、半年分〜1年分の生活費+事業にかかる費用を貯めておきましょう。

開業前にどれくらい資金をつくっておけるかが、独立後の精神的余裕に関わってきます。ある程度の貯金があれば、事業がうまくいかないタイミングがあっても、冷静に対処できるのです。

一方、まったく貯金がない状態だと、無理に低単価の案件を受けてしまったり、厳しい納期を切ってスケジュールが破綻したりします。結果として信頼を失い、余計に収入が減る悪循環に陥るでしょう。

固定給がなくなり収入もメンタルも不安定になりやすいからこそ、最低でも半年分の生活費は貯金しておくようにしてください。

資金調達方法

事業用メールアドレス

必ず用意していただきたいのが、事業用のメールアドレスです。

プライベートのメールアドレスだと、SNSやホームページに記載しにくかったり、メルマガに埋もれて取引先からの連絡を見落としたりします。

フリーメールでまったく問題ないので、事業用のメールアドレスをひとつ用意しておいてください。

クレジットカード

フリーランスになると収入実績がなくなるので、社会的な信用が下がります。安定した収入がなく、クレジット利用料やローン返済金を用意できるかが不明確なため、審査に通りにくくなるのです。

社会的信用がある会社員のうちに、審査が必要なものは一通り申し込んでおきましょう。事業用の支払いに使うクレジットカードがなければ、独立前に申し込んでおくのがおすすめです。

事業用の銀行口座

事業用の銀行口座も、フリーランスになる前から用意しておくのがおすすめです。プライベートの貯金用と一緒でも良いですが、青色申告では口座の入出金履歴も記載しますので、プライベートと一緒だと履歴件数があまりに多く、作業が煩雑になります。

また屋号がある場合、屋号付きの口座を作っておいたほうが、取引先が混乱せずに済みます。屋号とは「〇〇サロン」「〇〇卸売店」や芸名などのことです。屋号がなかったとしても、振込用口座があったほうが何かと便利なので、1つ作っておくことをおすすめします。

印鑑

必要に応じて、印鑑も用意しましょう。昨今は電子署名が増えたので、印鑑を押す機会はかなり減ってきました。しかし、今でも大切な契約には印鑑が必要なケースが多いかと思います。

プライベートで使用している印鑑でも問題ありません。しかし屋号のある方は、屋号の印鑑を用意しておいたほうが、いざという時に焦らずすみます。

住宅(引っ越し)

前述のとおり社会的信用度が下がるので、賃貸の審査も厳しくなります。いま賃貸の契約更新が近い方は、独立前に引っ越しておいたほうが良いでしょう。

フリーランスになってから引っ越しになる場合は、収入が安定している連帯保証人を探したり、家賃保証会社を利用したりするのがおすすめです。

名刺

名刺も昨今は渡す機会が減りましたが、オフラインで取引先と会うことの多い業種であれば、用意しておきましょう。

ネットで検索すれば、名刺デザインのサービスがたくさんヒットします。デザイナーやデザイン会社の実績を見ながら、自分の気に入ったデザインができるところに依頼してみてください。

デザインや紙質にこだわった名刺は、もらった相手の印象に残り、仕事に繋がる可能性も高まります。

開業資金を調達するための方法

開業資金や事業資金が足りない場合は、以下の方法で調達しましょう。

開業資金を調達するための方法
  • カードローン、ビジネスローン
  • 銀行融資
  • 日本政策金融公庫からの融資
  • 家族や友人からの借金
  • 私物の売却
  • 補助金、助成金
  • ファクタリング

ファクタリングとは、報酬を受け取る権利を売って、早期に現金を受け取れるサービスです。例えば2か月後が振込期日になっている場合、ファクタリングを使えば最短その日に現金を調達できます。

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会社員からフリーランスになる場合のよくある質問

会社員からフリーランスになる場合、以下のような疑問・不安を抱く方が多くいます。

会社員からフリーランスになる場合のよくある質問
  • フリーランスは失業保険をもらえない?
  • 厚生年金と国民年金の違いは?
  • フリーランスは保育園の審査に通らない?
  • 住民税ってどうして払うの?
  • フリーランスは手続きなしでもなれる?
  • 退職時に保険証はどうする?

それではよくある質問について、以下で回答していきます。

フリーランスは失業保険をもらえない?

フリーランスであっても、開業のタイミングをずらせば失業保険を受け取れます。

そもそも失業保険は、名称のとおり失業した方が受け取れるものです。退職後にすぐ個人事業を開業したり、副業だった仕事を退職後も1日4時間以上やっていたりする方は、対象外になります。

失業保険を受け取るためには、失業期間をつくらないといけません。そのため、開業を遅らせたり、副業としてやっていた仕事をセーブしたりする必要があります。

厚生年金と国民年金の違いは?

厚生年金と国民年金の違いは、以下のとおりです。

厚生年金国民年金
対象者会社員や公務員など第2号保険者でない20〜60歳未満の方
保険料所得に応じて変動一律、年度ごとに改定2024年度は月額16,980円
保険料負担会社と折半全額自己負担
扶養制度ありなし
遺族年金対象者被保険者により生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母被保険者により生計を維持されていた子のある配偶者および子
障害年金対象者障がいの程度が1〜3級に該当する方障がいの程度が1〜2級に該当する方

フリーランスが加入する国民年金は、保険料が安いのがメリットです。一方、将来の受給額が少なかったり、遺族年金や障害年金の条件が厳しかったり、扶養がなかったりします。

フリーランスは保育園の審査に通らない?

フリーランスは、業務実態が証明しにくいため、保育園の審査に通りにくいケースがあります。保育園に預けなくても、仕事をしながら自宅で子育てができるのではと考えられてしまうためです。

また収入が不安定なために、月謝がしっかり払えるか不透明と判断され、審査に不利になるケースもあります。

しかし、きちんと対策をすれば、フリーランスでも保育園を利用することは可能です。以下の記事では、フリーランスが保育園審査に通過するためのポイントを解説しています。ぜひご覧ください。

住民税ってどうして払うの?

住民税は、住んでいる地域の行政サービスに役立てられます。具体的には、福祉施設・教育機関・生活保護・子育てサービスなどです。また道路や水道管などのインフラ整備や、公園、公営住宅などの建設・維持費用にも使われます。

こうした行政サービスやインフラをまったく使わずに生きている人はいません。住民税の負担は少なくありませんが、自分が住んでいる地域がこれからも維持できるように、きちんと納税しましょう。

フリーランスは手続きなしでもなれる?

フリーランスは、言葉の意味からすると、手続きなしでもなれます。

そもそもフリーランスとは、自ら事業を営んでいる人の総称です。個人事業主と似た意味ですが、フリーランスの場合は、副業ワーカーをはじめとした開業届を提出していない人も含みます。そのため、手続きがなくてもフリーランスを名乗れるのです。

一方、個人事業主というのは税務上の区分で、開業届の提出が必須となります。個人事業主に関しては、手続きなしでなることはできません。

退職時に保険証はどうする?

退職時は、健康保険証を会社に返却してください。

健康保険証は、退職日から5日以内に組合に返却する必要があります。そのため、社員は退職日までに必ず健康保険料を会社に返却しないといけないのです。

なお保険証を紛失した場合、再交付届や回収不能届などを発行してもらう必要があります。組合によって扱いが異なるので、紛失に気付いたら早急に会社に相談してください。

まとめ

会社員からフリーランスになると、収入が不安定になったり、社会的信用が下がったりして、生きづらさを感じることもあります。

「フリーランス=自由な働き方」といったイメージがありますが、そのぶん、デメリットもたくさんあるのです。

しかし、モチベーションを高く保って事業を頑張れば、会社員時代には想像できないような経験ができるかもしれません。本記事を参考にして、自分に合った働き方を実現していきましょう。

やっぷん
  • 会社員からフリーランスになる際は、年金・健康保険・所得税などに関する手続きが必要だよ!
  • 事業をはじめる際には、業種選びやスキルアップなどをひとつずつやっていこう
  • 独立した人が後悔しがちなこともふまえて、本当にフリーランスになるのか、後悔しないためにどう対策するかを考えておこう!
監修者プロフィール

ペイトナー執行役員 邨山毅

立教大学経済学部卒。投資会社にて内部統制・米国新興事業の国内展開に従事。その後VOD運営会社にて経営戦略・機械学習・調達戦略領域の経験を経て、ペイトナー株式会社に入社。執行役員ファクタリング事業本部長として、ファイナンスサービスの運営及びフリーランスの与信構築全般を所掌している。

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