個人事業主になる場合、会社に勤めていたときとは異なる社会保険に加入します。加入できる社会保険の種類や特徴について、あらかじめ確認しておくことで、各種保険の有効活用が可能となります。
本記事では、個人事業主が加入できる社会保険の種類と、注意点やリスクについて解説します。これから個人事業主になる人は、社会保険に関する知識も把握しておきましょう。
- 個人事業主は、社会保険に加入する必要があるよ!
- 社会保険にはいくつかの種類があって、従業員を雇ったりする場合は別の社会保険に入る必要もあるよ!
- 個人事業主は社会保険料を自己負担しなきゃいけないから、会社員に比べると支払う額が多かったりとリスクもあるから事前に確認しておこう!
目次
個人事業主が加入できる社会保険とは
個人事業主は、生活する上で社会保険に加入することになります。以下では、社会保険の基本について解説します。
そもそも社会保険とはどんな制度?
社会保険とは、労働災害による病気やケガ、失業などによって働けなくなる状況を想定して、個人を支援する制度のことを指します。国、自治体、企業が支えることから、「公的保険制度」と呼ばれます。個人事業主も仕事をしていく上で病気やケガの可能性があるため、社会保険制度への加入が可能です。事前に社会保険に加入することで、リスクに備えられます。
社会保険への加入は必須?
原則、個人事業主は社会保険への加入が必須です。企業に雇用されていない働き方をしていても、社会保険に加入する義務があります。自分の意思で、「社会保険に入らない」という判断はできません。そのため個人事業主になる際には、どのような保険に加入するのか、どんな特徴・メリット・注意点があるのかを、事前に把握しておくことが重要です。
個人事業主は「国民健康保険」「国民年金保険」「介護保険」に加入できる
個人事業主は、「国民健康保険」「国民年金保険」「介護保険」といった社会保険に加入します。以下では、各社会保険の詳細を解説します。
国民健康保険について
国民健康保険とは、自治体が運営している健康保険です。病気やケガをした際にかかる医療費を、一部負担してくれる制度となっています。具体的には、年齢によって以下の割合で自己負担額が決められます。
- 70歳未満:3割の自己負担
- 6歳(義務教育就学前)未満:2割の自己負担
- 75歳以上:1割(ただし、現役並みの所得がある場合には3割)の自己負担
国民健康保険の保険料は、前年の所得を参考に決められます。そのため個人事業主としての所得が多いほど、国民健康保険料も比例して高くなります。
国民年金保険について
国民年金保険とは、個人事業主や農業・漁業などをしている人が加入する年金制度です。20~60歳のすべての人に加入義務があり、毎月決められた保険料を納付します。国民年金は基礎年金とも呼ばれ、以下の3種類の保険者に分けられます。
第1号被保険者 | 個人事業主や学生、農業や漁業を営む人 |
第2号被保険者 | 会社員や公務員として働く人 |
第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養されている人 |
個人事業主は「第1号被保険者」となり、直接保険料を納付する必要があります。配偶者が第2号被保険者であり、個人事業主としての年収が130万円未満かつ扶養者の1/2未満であれば、扶養に入って第3号被保険者になることも可能です。第3号被保険者になると、国民年金保険の保険料は扶養者が納付する形になります。
介護保険について
介護保険とは、40歳以上から加入することになる保険です。介護が必要な高齢者を支える仕組みの1つとして、加入が義務付けられています。世帯にいる40歳以上の人全員分の介護保険料を、国民健康保険料と同時に納付します。介護保険に加入している人も、65歳以上の「第1号被保険者」と、40〜64歳で医療保険に加入している「第2号被保険者」に分けられます。
どちらも介護保険を納付しますが、基本的に介護サービスを受けられるのは第1号被保険者のみです。一方で、第2号被保険者でもがんや関節リウマチなどの特定疾病に該当する場合、介護認定を受けてサービスを利用できます。
個人事業主が従業員を雇用する際に加入すべき社会保険とは
個人事業主が従業員を雇用する場合、上記とは別の社会保険に加入する必要があります。以下では、従業員の雇用時に加入すべき社会保険について解説します。
労災保険について
労災保険とは、雇用した従業員が業務中や通勤時に、負傷・死亡した際に適用される保険制度です。療養給付、休業給付、障害給付、遺族給付、傷病年金、介護給付といった種類があります。働く本人だけでなく、その家族の生活を支える保険制度であるため、雇用時には加入が必須となっています。
雇用保険について
雇用保険とは、仕事が継続できなくなった場合に、従業員の再就職を支援するための保険制度です。基本手当、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付などの種類があります。それぞれに受給条件があり、労働者自身が適宜申請をして活用します。雇用保険に加入していないと各種制度が利用できないため、従業員を雇う際には速やかな加入申請が必要です。
個人事業主が社会保険に加入する場合の注意点
個人事業主が社会保険する際には、いくつかの注意点があります。以下では、個人事業主が社会保険に加入する際の注意点を解説します。
個人事業主は社会保険料をすべて自己負担する必要がある
個人事業主は、社会保険料をすべて自己負担で支払わなければなりません。会社員の場合、個人と会社で折半できるため、保険料は安くなります。しかし、個人事業主には折半する相手がいないため、負担額が会社に勤める従業員と比較して増加します。会社勤めから個人事業主になった場合、社会保険の負担額が増える可能性を考慮しておきましょう。
社会保険料は経費にはならない
個人事業主が納付した社会保険料は、経費として計上できません。そのため毎月の負担額をきちんと計算して、計画的に納付する必要があります。
社会保険料は経費にできませんが、「社会保険料控除」として控除申請が可能です。支払った社会保険料の全額が控除対象となるため、節税につながる点はメリットです。
個人事業主の社会保険におけるリスク
個人事業主が加入する社会保険には、さまざまなリスク・デメリットがあります。以下を参考に、個人事業主の社会保険におけるリスクやデメリットを確認しておきましょう。
将来受け取れる年金が少ない
個人事業主が加入する国民年金保険は、「老齢基礎年金」のみとなるため、将来的に受け取れる額が少なくなります。厚生年金と比較すると、2倍以上の差があります。国民年金保険だけに頼ることは、将来的なリスクにつながります。そのため個人事業主は将来に備えて、足りない年金分をカバーする方法を考えるのが重要です。
従業員を雇用する際に手続きが必要
個人事業主は、1人でも従業員を雇う場合、社会保険(労働保険)の手続きが必要です。手続きの手間がかかる結果、事業に使える時間が少なくなる可能性も懸念されます。特に最初は手続きの方法が分からず、調べながら手作業で進めるケースが多いため、時間を取られやすいです。従業員を雇用する予定がある場合、社会保険の手続き方法を事前に確認しておくなどの対策がポイントです。
保険料が経済的な負担になる
先に解説した通り、個人事業主の社会保険料は全額が自己負担となります。そのため収入が少ない間は、保険料が経済的な負担になるケースも多いです。収入が不安定な時期を考慮して、貯蓄や現金を獲得できる方法を探しておくと良いでしょう。例えば、売掛債権を売却する「ファクタリングサービス」などを利用し、報酬を早めに現金化する方法があります。
個人事業主が将来に向けて備えるべきこと
社会保険は将来に備えるための制度ですが、個人事業主はほかの方法も併用することが望ましいです。以下では、個人事業主が将来に向けて備えるべきことを解説します。
万が一に備えて、社会保険以外の保険に加入する
個人事業主は万が一に備えて、社会保険以外の保険に加入することが重要です。例えば医療保険、経営セーフティ共済、就業不能保険、個人年金保険などへの加入が考えられます。これらの制度を利用することで、高額な医療費がかかる病気になった場合や、仕事ができなくなったときに、経済的な支援が受けられます。
ファクタリングなどの活用も検討する
個人事業主には、ファクタリングサービスを利用して資金繰りを安定化させる方法もあります。ファクタリングによって現金を早期に手にできれば、生活に余裕を持たせられます。仕事が安定しないときなどには、保険だけでなくファクタリングも活用して生活を支える方法がおすすめです。「ペイトナー ファクタリング」なら、最短10分で入金が可能です。
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まとめ
個人事業主として働く際、社会保険への加入が必要です。社会保険の種類や特徴を理解した上で、有効活用できるように備えることがポイントです。個人事業主は人を雇用する場合にも、社会保険への加入手続きをする必要があります。事業拡大のために人を雇う予定があるのなら、雇用に関係する社会保険についても調べておきましょう。
- 個人事業主は、社会保険に加入する必要があるよ!
- 社会保険にはいくつかの種類があって、従業員を雇ったりする場合は別の社会保険に入る必要もあるよ!
- 個人事業主は社会保険料を自己負担しなきゃいけないから、会社員に比べると支払う額が多かったりとリスクもあるから事前に確認しておこう!
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